① 何が変わったか
本日 2026年9月1日から、Shopify の在庫分析が在庫の数え方を変えます。
Shopify は2026年8月14日に公式 Changelog へ「Inventory reports now show on-hand quantity(在庫レポートが実在庫数を表示するようになりました)」を掲載し、適用は9月1日からと明記しました。
出典: Shopify Changelog「Inventory reports now show on-hand quantity」2026年8月14日
https://changelog.shopify.com/posts/inventory-reports-now-show-on-hand-quantity
変わるのは1点です。在庫分析のモデルが、これまでの available(販売可能数)ではなく on-hand(実在庫数)で在庫を測るようになります。
公式は、2つの数の違いをこう定義しています。
| 何を数えるか | |
|---|---|
| on-hand(実在庫数) | その拠点に物理的にある全ユニット。開いている注文に引き当てられた分と、現在利用できない分を含む |
| available(販売可能数) | 売れる分だけ |
つまり、9月1日以降のレポートに出る在庫数は、これまでより多くなることがあります。
公式はその理由を「引き当て済みと利用不可の分だけ多くなる」と説明しています。
🔴 数字が増えても、在庫が増えたわけではありません。数え方が変わっただけです。
ここを取り違えると、実際には動いていない在庫を「余っている」と読んで、値下げや発注停止の判断に使ってしまいます。
影響を受けるレポート(公式が名前を挙げているもの)
- Products by sell-through rate(消化率)
- Products by days of inventory remaining(在庫日数)
- Inventory adjustment changes(在庫調整)
- Inventory sold daily by product(商品別の日次販売)
- ABC product analysis(ABC分析)
- Month-end inventory value(月末在庫金額)
- Inventory transfer orders and shipments(在庫移動と出荷)
- Month-end inventory snapshot(月末在庫スナップショット)
ShopifyQL を書いている場合は、FROM inventory と FROM inventory by location に現れます。
🔴 公式に「書かれていないこと」
- 管理画面の在庫一覧の表示も変わるのかは書かれていません。公式が言っているのは分析モデルについてです
- アプリ経由で在庫データを取得している場合にどうなるかは書かれていません
- 9月1日をまたぐ期間を指定したとき、どちらの定義で出るのかは書かれていません
- 棚卸し・会計上の扱いについては何も書かれていません
② いつから/誰に効くか
日付は2つあります。混ぜないでください。
- 2026年8月14日 … 公式が告知した日
- 2026年9月1日 … 実際に切り替わる日。本日です
そして公式は、過去のデータは変わらないと明記しています。
9月1日より前のレポートは available のままで、履歴と傾向はそのまま残ります。
🔴 ここに、この変更のいちばん厄介な点があります。
8月までの数字と、9月からの数字は、別の定義になります。
前月比・前年同月比を並べている資料は、そのままでは異なる物差しを並べることになります。
公式が「過去は変わらない」と書いていることの、そのまま裏返しです。

影響の大きさは、引き当て済み在庫がどれだけ滞留しているかで決まります。
- 効く店: 予約販売・受注生産・BtoB・出荷までに日数がかかる店。注文が入ってから出荷するまでの在庫が常にあるので、その分が丸ごと乗ってきます
- 効きにくい店: 受注したその日に出す店。引き当て済みの在庫が滞留しないため、差は小さくなります
- 関係がない店: そもそも在庫レポートを見ていない店。ただし、見ていないこと自体は別の課題です
③ 現場では何が起きるか
私たちは200社以上のECサイト制作・改善に関わってきました。その実地から、この変更をどう見ているかを書きます。
🔑 いちばん危ないのは「気づかないこと」です
この変更は、エラーも警告も出しません。
レポートを開くと、いつもの画面に、いつもより大きい数字が入っているだけです。
数字が変わったときに人が最初に考えるのは、「何かが起きた」であって「定義が変わった」ではありません。
9月の在庫金額が8月より増えていれば、仕入れすぎを疑います。消化率が下がっていれば、売れ行きの悪化を疑います。
どちらも、実態は何も変わっていないのに出る現象です。
月末在庫金額を使っている店は、先に確認してください
公式が名前を挙げているレポートの中に Month-end inventory value(月末在庫金額) があります。
この数字を社内資料や試算表の参考値にしている店では、9月から金額が上がる可能性があります。
🔴 ただし、これが会計上の棚卸資産の扱いにどう関わるかは、公式には何も書かれていません。
私たちも判断できません。金額が変わる可能性がある、というところまでが確かなことです。
数字を会計に使っている場合は、顧問税理士に「Shopifyの在庫レポートの定義が変わった」と伝えるところから始めてください。
「利用不可」の中身は、店ごとに違います
on-hand には「現在利用できない分」が含まれます。
何が利用不可になっているかは店の運用によって異なり、検品待ち・破損・保留などが入り得ます。
この機会に、自店の「利用不可」に何が入っているかを一度見ておくと、9月以降の数字を読み間違えません。
むしろ、普段は見ないその数字が可視化されること自体は、良い方向の変更です。
④ 今すぐやること/様子見でいいこと
今すぐやること(10分で終わります)
- 9月1日以降にレポートを開いたら、まず在庫数が上がっていないかを見る。
上がっていたら、その差分は「引き当て済み+利用不可」です。仕入れの失敗ではありません。 - 月次で在庫の数字を報告している店は、9月の資料に一行だけ注記を入れる。
「9月からShopifyの在庫の数え方が変わったため、8月までと単純比較できない」。これだけで事故が止まります。
該当する店だけがやること(30分)
- ShopifyQL や外部アプリで在庫を引いている場合、
FROM inventoryの値を9月1日の前後で見比べる。
仕様を読んで想像するより、実際に2回引いて差を見るほうが早く確実です。 - 月末在庫金額を会計・試算表に使っている場合は、顧問税理士に共有する(③参照)
様子見でよいこと
- 受注即出荷で、在庫レポートをほとんど見ない店 — 何もしなくてよいです
- 管理画面の在庫一覧の見え方 — 公式に記載がありません。変わるかどうか分からないものに、先回りして手を打つ必要はありません
出典
- Shopify Changelog「Inventory reports now show on-hand quantity」2026年8月14日(適用開始 2026年9月1日)
https://changelog.shopify.com/posts/inventory-reports-now-show-on-hand-quantity
本記事は上記の公式 Changelog を一次情報として作成しています。
Changelog に書かれていない事項(管理画面の在庫一覧への影響、アプリ経由での取得への影響、9月1日をまたぐ期間指定の扱い、棚卸し・会計上の扱い)は、
本記事執筆時点で公式に記載がないため「未確認」 として扱い、推測で補っていません。
この記事について
キクシル編集部(運営: 株式会社ギャザリング)
Shopify・EC の公式アップデートを、200社以上のEC制作・改善の実地から読み解いています。

