Shopify が、AI の買い物客(AI shoppers)を使う機能の更新を2つ紹介しました。
1つは SimGym に、買い物の目標を決めて始めるシミュレーションが加わった話です。
もう1つは、Sidekick がストアの改善案を作り、AI の買い物客で今のストアと比べる話です。
どちらも掲載は2026年10月28日で、場所は Shopify Changelog(更新情報)です。
出典: Shopify Changelog「SimGym adds shopping goals with more actionable insights and visual guidance」2026年10月28日
https://changelog.shopify.com/posts/simgym-adds-shopping-goals-with-more-actionable-insights-and-visual-guidance
出典: Shopify Changelog「Get AI tested storefront suggestions from Sidekick」2026年10月28日
https://changelog.shopify.com/posts/get-ai-tested-storefront-recommendations-from-sidekick
先に、いちばん大事な一文を置いておきます。
Sidekick の改善案は、実際の買い物客では試されておらず、本番の A/B テストでもない、と公式ははっきり書いています。
These recommendations are not tested on real shoppers and are not live A/B tests.
(これらの改善案は、実際の買い物客で試したものではなく、本番の A/B テストでもありません)
ここを押さえたうえで、2つの更新を順に見ていきます。
そもそも SimGym とは、どんな道具なのでしょうか?
SimGym は、ストアの中で AI の買い物客を動かすシミュレーション(模擬の買い物)を走らせる道具です。
Changelog での分類は Apps(アプリ)です。
Editions のページでも、SimGym の名前に「Get app」(アプリを入手)のリンクが付いています。
原文は、テーマの比較(theme comparisons)に加えて、新しいテストの焦点が入ったと書いています。
SimGym now includes new testing focuses, so you can start simulations with specific shopping goals, and get visual references of recommendations.
(SimGym に新しいテストの焦点が入りました。特定の買い物の目標を決めてシミュレーションを始め、改善案を目で見て分かる形で受け取れます)
テストの焦点は、どんな種類があるのでしょうか?
原文が挙げるテストの焦点(testing focuses)は3つです。
どれも、AI の買い物客がストアの中で何をするかで分けてあります。
1つ目は、買い物の流れ全体(Entire shopping journeys)です。
AI の買い物客がストアを通しで回り、いちばん大きな引っかかり(friction・買い物の途中のつまずき)を探します。
2つ目は、商品の見つけやすさ(Product discovery)です。
AI の買い物客がストアを見て回り、探しているものに合う商品へたどり着けるかを見ます。
3つ目は、カートに入れる決め手(Add to cart confidence)です。
商品の詳しい情報が、買うと決めるのに足りるかどうかを AI の買い物客が確かめます。
Entire shopping journeys: AI shoppers move through your store to help you uncover your biggest points of friction.
(買い物の流れ全体:AI の買い物客がストアを回り、いちばん大きなつまずきの場所を見つける手助けをします)
Add to cart confidence: AI shoppers check whether your product details give them enough information to buy.
(カートに入れる決め手:AI の買い物客が、商品の詳しい情報で買うのに十分かどうかを確かめます)
あなたの店で気になっている場所に合わせて、焦点を選ぶ形です。
3つの焦点を、ご自身の店のつまずきやすい場所と並べて見てください。
改善案の見せ方は、どう変わったのでしょうか?
改善案(recommendations)は、より直接的で手を付けやすい書き方に変わったそうです。
番号付きの印(numbered markers)が、それぞれの改善案とページの上の場所を結ぶ形になりました。
Recommendations have been updated to be more direct and actionable with numbered markers that connect each recommendation to the relevant page location so you get a clear visual of where to apply them on your store.
(改善案は、より直接的で行動に移しやすい形に変わりました。番号付きの印が、それぞれの改善案とページの該当の場所を結ぶので、ストアのどこに当てはめればよいかが目で見て分かります)
改善案から、AI の買い物客の訪問のまとめ(summary)へ進むこともできます。
再生の動画(playback videos)で、つまずいた場所と、よい反応をした場所を見られる、と原文は書いています。
改善案の理由を知りたいときは、まとめと動画まで見てください。
Each one links to a summary of the AI shopper’s visit, and you can watch playback videos to see where the shopper ran into friction and what they responded to positively.
(それぞれの改善案は AI の買い物客の訪問のまとめにつながり、再生の動画で、つまずいた場所とよい反応をした点を見られます)
Sidekick の改善案は、どこまでやってくれるのでしょうか?
Sidekick の更新は、改善の見つけ方から比べ方までを一続きにしたものです。
原文の流れは3段です。
改善の候補を見つけ、変更の下書き(draft version)を作り、AI の買い物客で今のストアと比べます。
Sidekick can identify storefront improvements, build a draft version of the change, and compare it with your current storefront using AI-simulated shoppers.
(Sidekick はストアの改善点を見つけ、変更の下書き版を作り、AI でシミュレーションした買い物客を使って今のストアと比べられます)
Editions のページは、この改善案を Sidekick が SimGym を使って見つけて試すもの、と紹介しています。
ここでいう「試す」は、Changelog の言葉では AI-simulated shoppers(AI でシミュレーションした買い物客)を使って、下書きと今のストアを比べることです。
Review proposed improvements to your store that are identified and tested by Sidekick using SimGym, then choose which changes to apply.
(Sidekick が SimGym を使って見つけ、試したストアの改善案を見直し、どの変更を当てはめるかを選びます)
どんな変更が、シミュレーションに選ばれるのでしょうか?
すべての改善案がシミュレーションに回るわけではありません。
原文は、選ばれる条件を2つ書いています。
Sidekick chooses changes for simulation when they can be tested as storefront theme changes and are expected to affect add-to-cart behavior.
(Sidekick がシミュレーションに選ぶのは、ストアのテーマの変更として試せて、カートに入れる行動に影響すると見込まれる変更です)
1つ目は、テーマ(ストアの見た目のひな形)の変更として試せることです。
2つ目は、カートに入れる行動(add-to-cart behavior)に影響すると見込まれることです。
AI の買い物客で比べるのは、この2つの条件に当てはまる変更だと覚えておいてください。
結果を、そのまま本物の数字として読んでよいのでしょうか?
答えは「いいえ」で、ここが今回いちばん読み違えやすいところです。
冒頭でも引いたとおり、改善案は実際の買い物客では試されていません。
本番の A/B テスト(実際の訪問者に2つの案を出し分けて比べるやり方)でもありません。
These recommendations are not tested on real shoppers and are not live A/B tests.
(これらの改善案は、実際の買い物客で試したものではなく、本番の A/B テストでもありません)
比べているのは、あくまで AI でシミュレーションした買い物客の動きです。
「AI tested」(AI で試した)という題の言葉も、この意味で読んでください。
最後に決めるのは、だれなのでしょうか?
変更を当てはめる前に、提案された変更をあなたが見直します。
適用するかどうかは、あなたが決めます。
Sidekick が勝手に当てはめる書き方にはなっていません。
You review the suggested change before deciding whether to apply it.
(提案された変更を見直してから、適用するかどうかを決めます)
Editions のページの書き方も同じで、どの変更を当てはめるかを選ぶ(choose which changes to apply)のは店の側です。
見直すときは、AI の買い物客で比べた結果だという前提で見てください。
🔴 公式に書かれていないこと
以下は、2本の Changelog と Editions の該当の項目に書かれていません。
- SimGym の料金(無料か有料か)は書かれていません
- 使える国・地域・プランは書かれていません
- 日本のストアや日本語のストアでの扱いは書かれていません
- AI の買い物客の人数や、1回のシミュレーションの規模は書かれていません
- シミュレーションの結果が、実際の買い物客の動きとどのくらい合うかは書かれていません
- Sidekick の改善案を使うのに、SimGym のアプリを入れる必要があるかは、Changelog には書かれていません(Editions は「SimGym を使って」とだけ書いています)
- 改善案を適用したあとに、元に戻せるかは書かれていません
- 原文から張られているヘルプセンターのページの中身は、本記事では読んでいません
- 🔴 記載が無いことをもって「結果は本物の買い物客と同じ」とも「当てにならない」とも書きません
あなたの店でやることを並べると、どうなるのでしょうか?
原文に出てくる流れを、店の側の順番に並べ直すと次のとおりです。
新しい機能なので、いきなり本番のストアに当てはめず、1つずつ見ていくようにしてください。
- SimGym で、気になる場所に合うテストの焦点(買い物の流れ全体・商品の見つけやすさ・カートに入れる決め手)を選んでシミュレーションを始める
- 番号付きの印で、改善案がページのどこの話かを見る
- 訪問のまとめと再生の動画で、つまずいた場所を見る
- Sidekick の改善案は、AI の買い物客で比べた結果だと分かったうえで見直し、適用するかどうかを決める
🔵 上の手順の並べ方はキクシル編集部の整理で、公式の記載ではありません。原文は、店にこの順番で使うことを求めていません。
出典
- Shopify Changelog「SimGym adds shopping goals with more actionable insights and visual guidance」2026年10月28日
https://changelog.shopify.com/posts/simgym-adds-shopping-goals-with-more-actionable-insights-and-visual-guidance - Shopify Changelog「Get AI tested storefront suggestions from Sidekick」2026年10月28日
https://changelog.shopify.com/posts/get-ai-tested-storefront-recommendations-from-sidekick - Shopify Editions Fall 2026 のページの該当の2項目(補助の出典・Shopify の公式サイト)
上記の Shopify 公式の情報だけを一次情報として使っています。
次の事項は「未確認」として扱い、推測で補っていません。
- SimGym の料金と、使える国・プラン
- シミュレーションの規模と、実際の買い物客との合い方、リンク先のヘルプセンターの中身

