個人でネットショップを始めるとき、特定商取引法の表示で手が止まる人がいます。
とくに迷いやすいのは、住所の欄です。
自宅の住所を載せるのかどうか、迷う人がいます。
この記事では、消費者庁の「特定商取引法ガイド」の記載を並べます。
Shopify のヘルプにある、表記を載せる場所も並べます。
並べる順番とまとめ方は、編集部の整理です。
法律の当てはめを、この記事で決めることはしません。
書かれていることと、書かれていないことを分けて置きます。
「特定商取引法ガイド」は、消費者庁のページからつながっています
はじめに、使うページがどこのものかを確かめます。
消費者庁のページ「特定商取引法」には、次の1文があります。
なお、逐条解説(特定商取引に関する法律の解説)などの詳細については、「特定商取引法ガイド」をご覧下さい。
この文のすぐ下に「特定商取引法ガイド」のリンクがあり、ガイドのサイトにつながっています。
ガイドの「お問合せ窓口」のページには、当サイトに関するお問合せの先が載っています。
消費者庁取引対策課
ここからは、ガイドの次の3つのページを主に使います。
- 「通信販売」
- 「通信販売広告について」
- 「通信販売広告Q&A」
「通信販売」のページには、こう断り書きがあります。
(以下の内容は概要です。詳しくは、特定商取引法の条文の該当部分を御覧ください。)
「通信販売広告について」のページにも、同じ断り書きがあります。
「通信販売」と「通信販売広告について」のページは、条文の概要として書かれています。
条文そのものの読み方は、ここでは扱いません。
個人でも、特定商取引法の「販売業者」に当たることがあります
「通信販売」のページは、まず「販売業者」の意味を書いています。
注の※1に、その文があります。
※1「販売業者又は役務提供事業者」とは、販売又は役務の提供を業として営む者を意味します。業として営むとは、営利の意思を持って、反復継続して取引を行うことをいいます。
同じ注には、続けてこう書かれています。
上記要件に該当すれば、個人でも特定商取引法上の「販売業者又は役務提供事業者」となります。
営利の意思があるかどうかは、客観的に判断されると書かれています。
その者の意思にかかわらず、と書かれています。
何回の取引から当たるのかという数は、このページには書かれていません。
オークションの出品者が「販売業者」に当たるかの考え方は、別のガイドラインを見るよう書かれています。
広告に表示する事項は、法第11条で決められています
「通信販売」のページは、広告に表示する事項を並べています。
事項は、箇条で並んでいます。
通信販売は、隔地者間の取引であり、販売条件等についての情報は、まず広告を通じて提供されます。
そのうち、事業者の氏名・住所・電話番号の行を抜き出します。
法人の代表者名などの行は、ここでは扱いません。
事業者の氏名(名称)、住所、電話番号
ほかに、販売価格や送料、支払いの時期と方法なども並んでいます。
全部の事項は、「通信販売」のページで見られます。
ネットのお店のどこが「広告」に当たるかは、Q&Aの Q3 に書かれています。
インターネット通信販売を行う場合、商品を紹介するランディングページや、販売業者等がその広告に基づき通信手段により申込みを受ける意思が明らかであり、かつ、消費者がその表示を受けて購入の申込みをすることができるものは、特定商取引法に定める広告に該当するため、当該広告内において特定商取引法第11条に定める事項を表示する必要があります。
Shopify のどの画面が広告に当たるかは、Q&Aには書かれていません。
氏名は、屋号だけでは足りないと書かれています
個人の場合の名前の書き方は、Q16 にあります。
問いは、事業者の名称は屋号の表示で足りるか、というものです。
販売業者又は役務提供事業者の「氏名又は名称」については、個人事業者の場合は戸籍上の氏名又は商業登記簿に記載された商号を、法人にあっては登記簿上の名称を記載することを要し、通称や屋号、サイト名のみを表示することは認められません。
「通信販売広告について」のページには、「通称や屋号、サイト名は認められません」とも書かれています。
同じページの不適切な表示例の1つは、「通称や商業登記されていない屋号のみ」の表示です。
屋号を氏名と並べて書いてよいかは、出典にしたページには書かれていません。
住所は、現に活動している住所を表示すると書かれています
「通信販売広告について」のページは、住所をこう書いています。
事業者の氏名・住所・電話番号の項目の中の文です。
「住所」については、個人事業者、法人いずれにおいても、現に活動している住所(法人の場合には、通常、登記簿上の住所と同じと考えられる。)を正確に表示する必要があります。
同じページには、認められない表示の例も挙がっています。
住所の番地が省略されているような不正確な表示も認められません。
現に活動していない私書箱等の住所のみを表示することも認められません。
自宅の住所を載せるかどうかに直接答える文は、「通信販売広告について」のページには書かれていません。
私書箱については、Q19 にも答えがあります。
Q19 は、「住所」を営業上の活動の拠点となる場所としたうえで、こう書いています。
私書箱を表示しても、このような場所を表示したことにはならないので、「住所」の表示をしたことにはなりません。
「通信販売広告について」のページと Q17 には、電話番号は確実に連絡が取れる番号を表示すると書かれています。
営業していない夜間などの時間帯は、留守番電話などを使ってかまわないと Q20 にあります。
住所と電話番号の表示を省略できる場合が、条件つきで書かれています
個人の住所と電話番号の扱いは、Q17 で問われています。
問いは、次のとおりです。
Q17私は個人事業者ですが、住所及び電話番号を必ず表示しなくてはいけないのでしょうか。
答えは、住所と電話番号の目的を書いたあと、「現に活動している住所」「確実に連絡が取れる番号」を表示する必要がある、と続きます。
そのあとに、省略できる場合が続きます。
消費者からの請求によって、広告表示事項を記載した書面又は電子メール等を「遅滞なく」提供することを広告に表示し、かつ、実際に請求があった場合に「遅滞なく」提供できるような措置を講じている場合には、事業者の住所及び電話番号の表示を省略することも可能です。
条件は、2つが「かつ」でつながっています。
- 1つ目は、請求があれば、広告表示事項を記載した書面か電子メール等を遅滞なく提供することを、広告に表示していること
- 2つ目は、実際に請求があったときに、遅滞なく提供できる措置を講じていること
「遅滞なく」の意味も、同じ答えに書かれています。
なお、ここでいう「遅滞なく」提供されることとは、販売方法等の取引実態に即して、申込みの意思決定に先立って十分な時間的余裕をもって提供されることをいいます。
「通信販売」のページには、省略できるかどうかの表もあります。
この表は、上と同じ2つの条件を満たす場合のものとして置かれています。
表の2つの列は、販売価格・送料などを全部表示したときと、しないときです。
「販売業者の氏名(名称)、住所、電話番号」の行は、表の2つの列のどちらでも「省略できる」です。
ただし、表には省略できない事項も並んでいます。
返品に関する事項は、省略できないと書かれています。
返品に関する事項(返品の可否・返品の期間等条件、返品の送料負担の有無)
この行は、表の2つの列のどちらでも「省略できない」です。
請求に何日で応じればよいかという日数は、ガイドの3つのページには書かれていません。
省略を表示するときの文言の例も、出典にしたページには書かれていません。
バーチャルオフィスなどの住所を表示する場合について、措置が書かれています
バーチャルオフィスなどの住所を載せる場合の話は、Q18 にあります。
答えは、まず住所と電話番号の目的から入ります。
特定商取引法に基づき広告に表示することとされている住所及び電話番号は、事業を行う上で、トラブルが生じた場合や消費者から問合せがある場合の対応等に備えるためのものです。
そのうえで、3つの措置が並んでいます。
・ 個人事業者がプラットフォーム事業者の住所及び電話番号を表示する場合、当該個人事業者の通信販売に係る取引の活動が、当該プラットフォーム事業者の提供するプラットフォーム上で行われること
・ 個人事業者がプラットフォーム事業者又はバーチャルオフィスの住所及び電話番号を表示する場合、当該プラットフォーム事業者又は当該バーチャルオフィスの住所及び電話番号が、当該個人事業者が通信販売に係る取引を行う際の連絡先としての機能を果たすことについて、当該個人事業者と当該プラットフォーム事業者又は当該バーチャルオフィス運営事業者との間で合意がなされていること
・ 個人事業者がプラットフォーム事業者又はバーチャルオフィスの住所及び電話番号を表示する場合、当該プラットフォーム事業者又は当該バーチャルオフィス運営事業者は、当該個人事業者の現住所及び本人名義の電話番号を把握しており、当該プラットフォーム事業者又は当該バーチャルオフィス運営事業者と当該個人事業者との間で確実に連絡が取れる状態となっていること
このような措置が講じられ、住所と電話番号の要件が満たされる場合について、答えはこう書いています。
通信販売の取引の場を提供するプラットフォーム事業者やバーチャルオフィスの住所及び電話番号を表示することによっても、特定商取引法の要請を満たすものと考えられます。
答えの最後には、ただし書きがあります。
ただし、個人事業者、プラットフォーム事業者又はバーチャルオフィス運営事業者のいずれかが不誠実であり、消費者から連絡が取れないなどの事態が発生する場合には、特定商取引法上の表示義務を果たしたことにはなりません。
Shopify がこの「プラットフォーム事業者」に当たるかどうかは、出典にした7つのページには書かれていません。
合意の形(書面など)も、Q18 には書かれていません。
日本で Shopify ペイメントを使う場合の、表記を追加する場所が書かれています
ここからは、Shopify のヘルプの記載です。
ヘルプ「日本のチェックアウトページにストアポリシーと重要情報を表示する」には、こう書かれています。
日本で Shopify ペイメントを利用する場合は、特定商取引法に基づく表記に必要な情報を含めることが義務付けられています。ページとしてではなく、[設定] > [ポリシー]の[特定商取引法に基づく表記]セクションにこの情報を追加してください。ここには日本向けのテンプレートが用意されています。
この文の条件は、日本で Shopify ペイメントを利用する場合です。
表示する場所は、オンラインストアとチェックアウトページの両方とされています。
日本国内に配送しない場合でも、日本で Shopify ペイメントを使うマーチャントは表示が義務付けられていると書かれています。
表記の中に書く項目の一覧は、このヘルプには書かれていません。
同じヘルプの「チェックアウトページにポリシーを追加する」の節には、こうあります。
保存されたポリシーは、チェックアウトのフッターに自動でリンクされます。
オンラインストアの下部にリンクを出す手順も、同じページにあります。
テーマエディタの [フッター] で、[ポリシーリンク] をオンにする手順です。
Shopify ペイメントを使わない場合の扱いも、このヘルプには書かれていません。
Shopify のヘルプにも、住所についての注意があります
ヘルプ「ストアポリシーを追加する」には、自宅の住所についての注意があります。
注意は、自動化されたポリシーを確認する節の中に置かれています。
ポリシーはお客様に一般公開され、多くの場合、住所、電話番号、メールアドレスが含まれます。特に自宅でビジネスを運営している場合は、適切なビジネスの連絡先情報を使用してください。
個人の連絡先を載せたくない場合の案として、郵便物の宛先に私書箱を借りる方法が挙がっています。
変更する前に、ビジネスと各ポリシーの住所要件を確認するよう書かれています。
そのすぐあとに、こう続きます。
一部の法的開示事項では物理的なビジネスの住所が必要であり、私書箱は認められません。
ガイドの Q19 でも、私書箱は「住所」の表示をしたことにはならないとされています。
行政規制に違反すると行政処分の対象になり、一部は罰則の対象にもなると書かれています
「通信販売」のページには、違反したときの扱いも書かれています。
ページの【行政規制】の節の最後に、こうあります。
上記のような行政規制に違反した事業者は、業務改善の指示(法第14条第1項)や業務停止命令(法第15条第1項前段)、役員等の業務禁止命令(法第15条の2第1項)等の行政処分の対象となるほか、一部は罰則の対象にもなります。
罰則の対象になる「一部」がどれかは、「通信販売」のページには書かれていません。
聞く先は、ガイドの「お問合せ窓口」に載っています
迷ったときに聞く先も、ガイドに載っています。
「お問合せ窓口」のページは、消費者向けと事業者向けで窓口を分けています。
消費生活センターや消費者ホットライン188番は、消費者の皆様からのご相談の欄にあります。
事業者からの法律解釈の問い合わせ先は、【事業者の皆様からのお問合せ】の欄にある地方経済産業局の窓口です。
同じ局の「消費者相談室」は、消費者向けの欄にあります。
事業者の皆様からの法律解釈に関するお問合せは、地方経済産業局で承ります。
なお、法律解釈についてのご説明のみとなり、事前の指導等や個別の事例についての判断はできませんので、予めご了承ください。
窓口は法律解釈の説明をする、という書き方です。
個別の事例についての判断はできない、とも書かれています。
Shopify のヘルプ「ストアポリシーを追加する」には、弁護士への相談が挙がっています。
ご自身のビジネスに適用される要件の判断についてサポートが必要な場合は、弁護士にご相談ください。
この文は、自動化されたストアポリシーの節に置かれています。
店がやること
🔵 この節は、キクシル編集部の整理です。公式の記載ではありません。
- 自分の売り方が、ガイドの言う「業として営む」に当たるかを、ガイドの文で読む
- 表示する氏名は、戸籍上の氏名か商業登記簿の商号にする
- 住所は、現に活動している住所を、番地まで書く
- 私書箱だけを住所の欄に書かない
- 住所の表示を省略したいときは、Q17 の2つの条件を両方とも用意できるかを確かめる
- バーチャルオフィスを使うなら、Q18 の2つ目と3つ目の措置がそろうかを、運営事業者と確かめる
- 返品に関する事項は、省略できない側に入っているので、表示しておく
- 日本で Shopify ペイメントを使うなら、[設定] > [ポリシー] の [特定商取引法に基づく表記] セクションに書いて保存する。同じヘルプの手順では、[法的通知] セクションと書かれています
- 保存したあと、オンラインストアとチェックアウトの両方から表記が見えるかを見る
- 法律解釈の説明は地方経済産業局の窓口に聞く
- Shopify ヘルプの文のとおり、自分の店に当てはまるかの判断に手助けが要るときは、弁護士に相談する
公式に書かれていないこと
次のことは、出典にした7つのページには書かれていません。
推測では埋めずに、そのまま並べます。
- 何回の取引から「反復継続して」に当たるかの数は、書かれていません
- 住所の表示を省略したとき、Shopify ペイメントの要件を満たしたことになるかは、書かれていません。Shopify のヘルプにあるのは、表記に必要な情報を含めることが義務付けられている、という文です
- 請求があってから、何日以内に提供すれば「遅滞なく」に当たるかの日数は、書かれていません。書かれているのは、申込みの意思決定に先立って十分な時間的余裕をもって、という意味だけです
- 「通信販売」のページの前払式の節には「1週間程度」という言葉があります。これは商品の送付の「遅滞なく」の話で、書面の提供の日数とは書かれていません
- 省略を表示するときの文言の例は、これらのページには書かれていません
- Shopify が Q18 の「プラットフォーム事業者」に当たるかは、書かれていません
- 罰則の対象になる「一部」がどの違反かは、「通信販売」のページには書かれていません
- Shopify のヘルプ「日本のチェックアウトページにストアポリシーと重要情報を表示する」は、表記を追加するセクションを [特定商取引法に基づく表記] とも [法的通知] とも書いています。管理画面でどちらの名前が出るかは、ページからは決められません
出典
- 消費者庁「特定商取引法」2026年10月18日時点
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_transaction/specified_commercial_transactions/ - 消費者庁 特定商取引法ガイド「通信販売」2026年10月18日時点
https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/mailorder/ - 消費者庁 特定商取引法ガイド「通信販売広告について」2026年10月18日時点
https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/mailorder/advertising.html - 消費者庁 特定商取引法ガイド「通信販売広告Q&A」2026年10月18日時点
https://www.no-trouble.caa.go.jp/qa/advertising.html - 消費者庁 特定商取引法ガイド「お問合せ窓口」2026年10月18日時点
https://www.no-trouble.caa.go.jp/consultation/ - Shopify ヘルプセンター「日本のチェックアウトページにストアポリシーと重要情報を表示する」2026年10月18日時点
https://help.shopify.com/ja/manual/intro-to-shopify/initial-setup/sell-in-japan/japan-checkout-page - Shopify ヘルプセンター「ストアポリシーを追加する」2026年10月18日時点
https://help.shopify.com/ja/manual/checkout-settings/refund-privacy-tos
上の7つのページだけを、一次情報として使っています。
「店がやること」の並びは、キクシル編集部の整理です。
公式の記載ではありません。

