売上が足りないと感じたとき、あなたはたぶん「人を集めよう」と考えます。
広告を出す、SNSを増やす、新しい入口を作る。
どれも間違ってはいませんが、どれもお金と時間がかかります。
その前に、確かめておくと楽になる数字があります。
あなたの店で、一回の買い物にいくら使われているかです。
この数字を知ると、集客に走る前に打てる手が見つかります。
平均注文額は「一回の買い物でいくら使われたか」です
計算は割り算ひとつです。
> 売上 ÷ 注文の件数
難しそうに見えるかもしれませんが、用意するのは2つの数字だけです。
期間を決めて、その期間の売上を、その期間の注文件数で割ります。
出てきた金額が、あなたの店の平均注文額です。
呼び名は場所によって変わります。
「平均注文額」「客単価」「AOV」は、どれもほぼ同じものを指しています。
どの言い方で書かれていても、中身は上の割り算です。
画面のどこにあるかは、道具によって違います
この数字は、たいていの管理画面や集計ツールに入っています。
ただし置き場所も呼び名も、使っている道具でばらつきます。
ここでは画面の道順は書きません。
探すのは数字の名前です。
上の3つの言い方のどれかで探せば、あなたはたどり着けます。
見つからない場合も、困りません。
その期間の売上と注文件数さえ分かれば、自分で割れば出ます。
売上は、三つの掛け算でできています
平均注文額が効いてくる理由は、ここにあります。
売上は、おおまかに次の形をしています。
> 来た人の数 × 買った人の割合 × 一回の金額
三つのうち、いちばん外にあるのが「来た人の数」です。
ここを動かすには、広告費か、時間か、その両方が要ります。
残りの二つは、あなたの手元にあります。
ページの書き方、送料の見せ方、商品の組み合わせ。
外にお金を払わずに動かせる部分です。
だから順番としては、手元の二つを見てから外へ出るほうが軽く済みます。
集客をやめろという話ではありません。
やる前に、同じお金でどこまで戻ってくるかが読めるようになる、という話です。
平均だけを見ると、実態を取り違えます
ここに落とし穴があります。
「平均」は、真ん中ではありません。
高額の注文が一件混ざると、平均はそちらへ引っ張られます。
ほとんどの注文がもっと安い金額でも、平均だけは高く出ます。
その平均を信じて商品を組むと、実際の買われ方とずれます。
だから平均を出したら、もう一手だけ加えてください。
手間に見えるかもしれませんが、並べ替えるだけで終わります。
注文を金額の安い順に並べて、真ん中あたりを見る。
並べた真ん中の金額と、平均が大きく離れていたら、少数の高額注文が効いています。
その場合は、真ん中のほうをあなたの店の実感として扱ってください。
金額の「かたまり」がどこにあるかを見ます
もう少し踏み込めるなら、注文額をいくつかの価格帯に分けてください。
分け方は粗くて構いません。
- いちばん安い層
- 真ん中の層
- 高い層
件数がどこに集まっているかを見ます。
かたまりの位置が分かると、次に触る場所がはっきりします。
平均という一つの数字より、かたまりの位置のほうが多くを教えてくれます。
「いくらが正しいか」は、外を探しても出てきません
平均注文額を出すと、次に相場を知りたくなります。
自分の店が高いのか安いのか、確かめたくなるからです。
当社は、あなたの業種の平均注文額を持っていません。
持っていない数字を目安として渡すことはしません。
拍子抜けさせてしまうかもしれませんが、ここは曖昧にできない一点です。
それに、外の平均が分かっても、あなたの次の一手は決まりません。
扱う商品も、価格帯も、送料の条件も店ごとに違うからです。
比べる相手は、こちらです。
先月のあなたの店。そして、その前の月のあなたの店。
同じ店の、同じ数え方の数字を並べます。
上がったか下がったかが見えれば、あなたは理由を探しに行けます。
平均注文額が動く場所は、だいたい決まっています
金額を上げたいとき、触れる場所はそれほど多くありません。
おおよそ次のどれかです。
- 一点あたりの値段 — 値上げ。効果は直接ですが、影響も大きいので最後に考えます
- 一回に入る点数 — 関連商品、まとめ買い、詰め合わせ
- 送料の条件 — 無料になる金額の線
- 数量の提案 — 定期便、複数個セット、大きいサイズ
上から順に難しく、下に行くほど試しやすい並びです。
まずは下の三つから始めてみてください。
戻しやすい手から試すほうが、あなたの負担は軽くなります。
値上げは、他と性質が違います。
買う人の数そのものが変わる可能性があるからです。
触るなら、他の手を試したあとにしてください。
送料無料の線は、金額のかたまりの隣に置きます
送料の条件は、平均注文額といちばん近いところにあります。
あなたの店の「送料無料になる金額」を思い出してください。
そして、さっき見た注文額のかたまりの位置と見比べてみてください。
見比べるだけなので、計算をやり直す必要はありません。
- 線がかたまりよりずっと上 — 届かないので、ほとんどの人に効いていません
- 線がかたまりよりずっと下 — すでに超えているので、あと一点を足す理由になっていません
- 線がかたまりのすぐ上 — ここで初めて、あと一点を足す動機になります
どこに置くかは、あなたの原価と送料の負担で決まります。
ここで言えるのは、線の位置は勘ではなく注文額のかたまりから決められるということです。
期間は直近30日で切ると、見やすくなります
週で切ると、小さな店では件数が少なくなります。
件数が少ないと、平均は一件の大きな注文で跳ねます。
そこで、まずは直近30日でまとめてください。
そして、その前の30日と並べます。
- 直近30日の売上と注文件数、そこから出した平均注文額
- その前の30日の、同じ三つ
この並べ方なら、月ごとの動きが読めます。
セールをやった期間は、印をつけて別に扱ってください。
セール期間の金額を普通の期間と比べても、読み取れることは多くありません。
平均注文額が上がっても、売上が下がることがあります
最後に、取り違えやすい点をひとつ。
平均注文額は割り算です。
注文件数が減っても、この数字は上がります。
高いものだけが売れて、安いものが売れなくなった状態でも上がります。
だから、この数字を単独で追わないでください。
売上・注文件数・平均注文額を、いつも三つ一組で置いてください。
平均が上がったときは、こう確かめます。
- 注文件数は保たれているか
- 売上そのものは増えているか
三つのうち二つが同じ向きに動いていれば、その手は効いています。
平均だけが動いているときは、中で何かが入れ替わっています。
今日、あなたがやることは三つです
順番どおりにやれば、そう時間はかかりません。
- 直近30日の売上と注文件数を出し、割ります — 平均注文額が出ます
- その前の30日でも同じことをします — 二つを並べます
- 注文を金額の安い順に並べ、真ん中あたりを見ます — 平均とのずれを確かめます
ここまでで、あなたは「一回いくら使われているか」と「その金額がどこに集まっているか」を手にします。
そのうえで、送料無料の線をかたまりと見比べてください。
触る場所が一つに絞れたら、来月また同じ三つを出します。
毎月おなじ三つを出し続けるほど、あなたは動きの理由を読めるようになります。
集客は、そのあとでも遅くありません。
持ち帰ってほしい三点はこれです
- 言いたいこと: 客数を増やす前に、一回の買い物でいくら使われているかを知ると、手元で打てる手が見つかります
- 見る数字: 平均注文額(客単価、AOV)。売上 ÷ 注文件数で出ます
- 次にやること: 直近30日の売上と注文件数から平均注文額を出し、前の30日と並べます

