店の数字の中で、転換率は誤解されやすいものです。
多くの人は、これを成績表だと思っています。
高ければ良い店、低ければ悪い店、という見方です。
その見方をしているかぎり、数字を見ても手は動きません。
転換率は、成績表ではありません。
どこを直せばいいかを教えてくれる地図です。
この記事を読み終えると、あなたはその地図の読み方を持ち帰れます。
転換率は「来た人のうち、買った人がどれくらいか」です
計算は単純です。
> 買った人の数 ÷ 来た人の数
これだけです。
難しそうに見えるかもしれませんが、使う数字は2つだけです。
来た人が◯人いて、そのうち買った人が△人なら、△ ÷ ◯ が転換率になります。
パーセントで表したいなら、それを百倍します。
言い換えると、転換率は「来た人が、どれくらい素通りしなかったか」を表します。
素通りされた人数そのものではありません。
割合である点が、あとで効いてきます。
使っている道具によって、置き場所は違います
この数字は、たいていの計測ツールや管理画面に最初から入っています。
ただし、画面のどこにあるかは道具によって変わります。
名前も「転換率」「コンバージョン率」「CVR」と揺れます。
ここでは画面の道順は書きません。
道順を覚えるより、探す数字の名前を覚えるほうが早いからです。
この3つの言い方のどれかを探せば、あなたはたどり着けます。
名前が揺れているだけなので、見つからなくても心配はいりません。
「何%なら合格か」を調べに行くと、手が止まります
転換率を知った人の多くが、次に業界平均を検索します。
気持ちは分かりますが、ここで止まってしまう人がいます。
理由は2つあります。
- 平均の中身が、あなたの店と違います。扱う商品も、価格帯も、客層も違います
- 平均は、あなたが次に何をするかを教えてくれません。合格か不合格かしか言いません
当社は、あなたの業種の平均値を持っていません。
持っていないものを目安として渡すことはしません。
頼りにしたかった数字が無いのは、心細いかもしれません。
代わりに、比べる相手を変えてみてください。
比べる相手は、先週のあなたの店です。
先週の転換率と、今週の転換率。
この2つを並べるだけで、数字は「良し悪し」から「変化」に変わります。
変化には理由があります。
理由があるなら、あなたは動けます。
全体の数字だけを見ていると、直す場所は見つかりません
ここからが本題です。
店全体の転換率は、いろいろな商品の数字が混ざった平均です。
平均は、中で起きている差をならしてしまいます。
全体だけを見ていると、あなたは「なんとなく低い」で終わります。
そこで、主要な商品ごとに分けて同じ割合を出してください。
売上の大きい順に、いくつかで構いません。
全商品をやる必要はありません。
まずは、いちばん売れているものから始めてみてください。
分けた瞬間、たいてい差が出ます。
その差が、あなたの地図です。
差の出かたで、直す場所が変わります
商品ごとに分けると、だいたい次のどれかの形になります。
- ある商品だけが低い → その商品のページか、その商品に来ている人の期待とのズレを疑います
- どの商品も同じくらい低い → 個別のページではなく、買う直前の共通部分を疑います(送料の見え方、支払い方法、会員登録の要求)
- ある商品だけが高い → そこで何が起きているかを読みます。他の商品に移せるものがあります
3つ目を見落とす人が多いです。
低いところを直すより、高いところを真似するほうが速い場合があります。
数が少ない週は、動いたように見えても動いていません
小さな店では、ここが落とし穴になります。
転換率は割り算です。
割り算の下、つまり来た人の数が小さいと、結果は大きく揺れます。
来た人が少ない週に1件買われただけで、転換率は跳ねます。
だからあなたは、割合と一緒に元の人数も見てください。
- 来た人の数
- 買った人の数
- その2つから出た割合
この3つを並べてください。
人数が小さいときの割合の動きは、話半分で受け取ってください。
その週は、割合ではなく人数の増減で判断するほうが安全です。
うまく読めない週があっても、あなたのやり方が悪いわけではありません。
割合が上がっても、売上が下がることがあります
転換率は割合です。
売上そのものではありません。
ここを取り違えると、良くない方向へ進むことがあります。
言葉で説明します。
広告を止めると、来る人は減ります。
残るのは、もともと買う気の強い人です。
すると転換率は上がります。
そして売上は下がります。
逆もあります。
新しい入口を作って人を集めると、来る人は増えます。
初めての人が増えるので、転換率は下がります。
そして売上は上がります。
だから転換率は、単独で追わないでください。
来た人の数・買った人の数・売上を、いつも一緒に置いてください。
割合が動いたときは、割り算の上と下のどちらが動いたのかを先に確かめます。
転換率が動かないとき、原因は3か所のどれかにあります
商品ごとに分けても、どこを触るか迷うことがあります。
そのときは、買うまでの道を3つに区切ってください。
- 来ている人 — 探しているものと、あなたの商品が合っているか
- 見ている画面 — 知りたいことが迷わず見つかるか(サイズ、素材、届く日、返品)
- 買う直前 — 送料、支払い方法、入力の多さ、在庫切れ
商品ごとの差は、1番を示すことが多いです。
全商品に共通する低さは、3番を示すことが多いです。
2番は、その中間にあります。
この区切りを持っておくと、あなたは次に触る場所を1つに絞れます。
比べるときは、期間の長さをそろえてください
今週と先週で、日数をそろえます。
片方だけ長い期間を使うと、差の理由が分からなくなります。
曜日のずれにも気をつけてください。
土日を含む期間と、平日だけの期間は、そのままでは比べられません。
週で見るなら、同じ曜日から同じ曜日までで区切るのが楽です。
セールをやった週には、印をつけて別扱いにしてください。
その週を普通の週と比べても、読み取れることは多くありません。
記録は、紙一枚で足ります
ここまでの数字を、毎週同じ場所に書いてください。
毎週というと面倒に感じるかもしれませんが、書くのは下の欄だけです。
道具は何でも構いません。
表計算でも、手帳でも回ります。
書く欄は、これだけあれば足ります。
- 週の始まりと終わりの日付
- 来た人の数
- 買った人の数
- 転換率
- その週にあなたが変えたこと(一行)
最後の欄が、あとで効いてきます。
数字が動いたとき、何を変えたかの記録が無いと、理由をたどれません。
何週か書きためたころから、この表は急に役に立ち始めます。
今日、あなたがやることは2つです
長く書きましたが、最初の一歩は小さくて構いません。
- 店全体の転換率を出します — 先週ぶんと今週ぶん、2つ
- 主要な商品を数点えらび、同じ割合を出します — 全体と比べます
これだけで、あなたの手元に地図ができます。
地図ができたら、いちばん差が大きかった場所を1つだけ選んでください。
一度に複数を触ると、何が効いたのか分からなくなります。
来週、同じ数字をもう一度出してください。
比べる相手は、また先週のあなたの店です。
最初の数週間は変化が小さくても、続けたぶんだけ読めることが増えていきます。
それを続けるほど、あなたの地図は細かくなっていきます。
持ち帰ってほしい3点はこれです
- 言いたいこと: 転換率は良し悪しの成績表ではなく、直す場所を指す地図です
- 見る数字: 転換率(コンバージョン率、CVR)。店全体と、主要商品ごとの2種類です
- 次にやること: 全体と主要商品の転換率を並べ、先週のあなたの店と比べます

