日々のショップ運営において、カスタマーサポートは欠かせない業務のひとつです。注文内容の確認や配送状況の問い合わせ、返品・交換の相談など、Shopifyストアにはさまざまな質問や要望が寄せられます。しかし、対応件数が増えるにつれて「メールやSNSのDMの対応が追いつかない」「同じ説明を何度も繰り返している」「対応の抜け漏れが発生してしまう」といった課題が生じやすくなります。
こうした状況を放置すると、担当者の負担が増えるだけでなく、返信の遅れや対応のばらつきによって、お客様の満足度低下やクレームにつながる可能性もあります。一方で、問い合わせ対応の流れや仕組みを見直し、効率化することで、少ない工数で安定した品質のサポートを提供することが可能になります。
本記事では、特別なITスキルがなくても実践できる、Shopifyストア向けの「問い合わせ対応のベストプラクティス」を整理してご紹介します。対応チャネルの整理方法、よくある質問への対応の仕組み化、テンプレートやアプリの活用、チーム内での情報共有のポイントなど、今日から取り入れやすい実務的な工夫を中心に解説します。カスタマーサポートの負担を抑えつつ、お客様にとっても分かりやすく安心できる対応体制づくりの参考にしてください。
目次
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カスタマーサポート効率化の全体像と基本方?
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よくある問い合わせを洗い出しテンプレート化する方法
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Shopify管理画面とメールを連携した問い合わせ対応フローの整え方
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チャットや問い合わせフォームを使った窓口の整理とルール作り
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FAQページとヘルプコンテンツで自己解決を促すための工夫
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タグやメモ機能を活用した顧客情報の一元管理と引き継ぎ
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対応品質を維持しながら応対時間を短縮するためのチェックポイント
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問い合わせデータを分析して業務改善につなげる方法
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最後に
カスタマーサポート効率化の全体像と基本方?
まず押さえておきたいのは、「問い合わせ対応の効率化」は単発の施策ではなく、ストア運営フロー全体を見直すプロジェクトだという点です。カスタマーサポートを
「どのチャネルで受けて」「どのツールで管理し」「どの指標で評価するか」
を整理し、日々のオペレーションに落とし込むことで、ようやく安定した改善サイクルが回ります。そのためには、Shopify 管理画面だけで完結させる部分と、外部ツールに任せる部分を切り分ける視点が重要になります。
全体像を描くうえで、まずは現在の問い合わせの流れを書き出すと整理しやすくなります。
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お客様がどのチャネルから問い合わせているか(メール、問い合わせフォーム、チャット、SNS など)
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社内で誰が、どの画面・どのツールで対応しているか
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よくある質問と、対応に時間がかかっているパターン
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対応状況をどのように共有・引き継ぎしているか
これらを書き出したうえで、「なくせる作業」「まとめられるチャネル」「自動化できるパターン」を見つけていくのが、効率化の第一歩になります。
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基本方針 |
目的 |
具体例 |
|---|---|---|
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チャネルを整理する |
対応の分散を防ぐ |
問い合わせフォームとメールに集約 |
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よくある質問を見える化 |
同じ回答の繰り返しを削減 |
FAQ ページ・テンプレートの整備 |
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自動化ポイントを限定 |
ミスなくスピード対応 |
自動返信メール・チャットボットで一次受付 |
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数字で振り返る |
感覚ではなくデータで判断 |
対応件数・回答時間・問い合わせ理由を定期集計 |
よくある問い合わせを洗い出しテンプレート化する方法
まずは、ストアに届く問い合わせを期間を区切ってすべて書き出します。メール、チャット、SNSのDMなど、チャネルごとに分けて収集し、内容をざっくりとカテゴリ分けしていきます。例えば、
配送関連
、
支払い・請求
、
返品・交換
、
商品仕様
、
アカウント・ログイン
などの大枠を先に決め、それぞれの中に具体的な質問パターンを整理します。この作業は一度で完璧にしようとせず、最初はラフに分類して、後から統合・分割していく方がスムーズです。
次に、分類した問い合わせごとに回答の「たたき台」を作ります。このとき、
お客様にとって必要な情報が一度で揃うこと
と、
サポート担当が状況に応じて調整しやすいこと
を両立させるのがポイントです。テンプレートには、以下の要素を入れておくと汎用性が高くなります。
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冒頭のあいさつ定型文
(ショップ名・担当者名を差し込める形)
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よくある前提説明
(配送日数の目安、手数料の考え方など)
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ステータスに応じた分岐文
(「発送前の場合」「発送後の場合」など)
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お客様にお願いしたい情報
(注文番号・お名前・不具合の写真など)
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締めの定型文
(追加の問い合わせ先や営業時間の案内)
最後に、よく使うテンプレートは簡単に選べるように整理し、チーム内で共有します。以下のような一覧表を作っておくと、問い合わせ種別に応じて即座にテンプレートを呼び出せるため、対応スピードと内容の均一化に役立ちます。
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カテゴリ |
テンプレート名 |
主な利用シーン |
|---|---|---|
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配送 |
発送状況確認用 |
追跡番号の案内・遅延時の説明 |
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返品・交換 |
初回問い合わせ対応 |
条件案内と手続き方法の説明 |
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商品 |
サイズ・カラー質問 |
在庫状況とサイズ感の説明 |
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支払い |
決済エラー案内 |
再試行方法と代替手段の案内 |
Shopify管理画面とメールを連携した問い合わせ対応フローの整え方
まず整理したいのは、「どの問い合わせが、どの注文・顧客情報と紐づいているか」を迷わずたどれる状態をつくることです。Shopify管理画面から送信される通知メール(注文確認・発送通知・顧客招待など)には、注文番号や顧客名が必ず含まれます。この情報をメール側で見つけやすくするために、件名ルールを統一したり、GmailやOutlookでフィルタ/ラベルを設定すると、受信トレイの段階で問い合わせ種別ごとに自動で整理できるようになります。例えば、注文番号を含む件名には自動ラベルを付与し、ワンクリックで該当の注文画面にジャンプできる環境を整えるイメージです。
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注文番号(#1001 など)をキーに検索する運用を徹底する
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受信したメールに必ず「顧客名+注文番号」をメモして返信する
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Shopify管理画面の「タイムライン」に、メールでのやりとり要約を残す
この3点を守るだけでも、後から別の担当者が引き継ぐ際に状況把握が格段にスムーズになります。特にタイムラインへのメモは、メールツールとShopifyを「頭の中だけで連携」させるのではなく、実際に記録をつなぐための重要な作業です。
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ステップ |
メール側の作業 |
Shopify側の作業 |
|---|---|---|
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1. 受信 |
注文番号・顧客名を確認し、ラベルを付与 |
「注文」「顧客」検索で該当レコードを開く |
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2. 対応 |
テンプレートを使い、必ず注文番号を引用して返信 |
ステータス変更やメモをタイムラインに記録 |
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3. クローズ |
対応完了ラベルを付け、スレッドをアーカイブ |
タグやメモで「対応済」「要フォロー」などを明示 |
最後に、問い合わせが増えても対応品質を維持できるよう、メールとShopifyの行き来を標準化した簡単なフローをチーム内で共有しておくと効果的です。例えば、
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「メール受信 → Shopifyで該当注文/顧客を開く → タイムラインに要約 → メール返信 → ステータス更新」
を1セットとして定義する
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ステップごとの担当範囲(一次対応/確認担当/最終承認)をあらかじめ決めておく
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よくある質問は共通テンプレート化し、Shopifyの管理画面URLやヘルプページへのリンクを含める
といった形で「誰が見ても同じ手順で動ける」状態にしておくと、担当者が変わっても問い合わせ体験を一定に保つことができます。
チャットや問い合わせフォームを使った窓口の整理とルール作り
チャットやフォームでの対応をスムーズにするには、まず「どの窓口を、どんな時に使ってもらうか」をはっきりさせることが重要です。たとえば、緊急度の高い配送トラブルはチャット、返品やキャンセルなど証跡を残したい内容は問い合わせフォーム、といった区分けです。店舗側の運用ルールも合わせて決めておくと、スタッフ間で判断がブレにくくなります。
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チャット:
在庫確認・配送状況・クーポンの使い方など、その場で完結させたい質問
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問い合わせフォーム:
返品・交換、定期購入の解約、領収書発行など、後から履歴を確認したい内容
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メール/その他:
コラボ依頼、BtoB卸の相談など、顧客サポート以外の連絡
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窓口 |
推奨する用途 |
社内ルール例 |
|---|---|---|
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チャット |
簡単な質問・急ぎの確認 |
営業時間内は15分以内に一次返信 |
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問い合わせフォーム |
手続きが必要な依頼 |
1営業日以内に対応方針を決定 |
|
メール |
企業間連絡・長文相談 |
週に数回、担当が一括で確認 |
次に、窓口ごとに共通のルールとテンプレートを用意しておきます。
「名乗り方」「お礼・お詫びの表現」「確認する項目」
を統一するだけで、誰が対応しても一定の品質を保てます。また、Shopifyの注文番号や顧客名など、最初に必ず確認する情報をチェックリスト化しておくと、聞き漏れが減り、やり取りの回数も抑えられます。
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最初の一通目で必ず確認する項目をリスト化する
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チャット用・フォーム用に、それぞれ返信テンプレートを用意する
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迷った問い合わせは、誰にエスカレーションするかを明文化しておく
最後に、窓口運用のルールは一度決めて終わりにせず、
月に一度程度、問い合わせの内容と件数を振り返る
ことをおすすめします。チャットに長文の相談が集中していればフォームへの誘導文を工夫する、同じ質問が多ければFAQや自動応答の内容を見直す、というように、実際のデータをもとに微調整を重ねることで、少人数のチームでも無理なく高い水準のカスタマーサポートを維持できます。
FAQページとヘルプコンテンツで自己解決を促すための工夫
まず意識したいのは、「どんな質問がどこに書いてあるのか」がすぐに分かる構造づくりです。カテゴリごとにFAQを整理し、ユーザー目線のラベルを使うことで、検索前に”目で探せる”状態にします。例えば、運営側の言葉である「フルフィルメント」「ロジスティクス」ではなく、購入者が使いそうな「発送について」「返品・キャンセルについて」といった表現を採用します。また、よくある問い合わせは
1問1答形式
で簡潔にまとめ、詳細が必要な場合はヘルプ記事へのリンクで深掘りさせる二段構成にしておくと、読み手の負担を減らしながら自己解決率を高められます。
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カテゴリ分け:
配送・支払い・会員情報・不良品/返品など、購入フローに沿った分類
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検索窓の設置:
キーワードでFAQとヘルプ記事を横断的に検索できるようにする
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キーワードの工夫:
お客様の言い回し(例:後払い、コンビニ支払い)をタイトルと本文に含める
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リンク設計:
FAQから詳細ヘルプ、ヘルプから関連FAQへ相互リンク
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目的 |
FAQ/ヘルプでの工夫 |
期待できる効果 |
|---|---|---|
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問い合わせ削減 |
トップ3の質問を目立つ位置に固定表示 |
同じ内容のメール・チャットを抑制 |
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自己解決の後押し |
画像付きのステップガイドやチェックリストを掲載 |
操作に不慣れなユーザーも迷いにくい |
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安心感の提供 |
返品条件や返金タイミングを具体例とともに明記 |
「とりあえず問い合わせ」が減る |
さらに、FAQやヘルプコンテンツは
「生きたドキュメント」
として運用していくことが重要です。Shopifyの管理画面やアプリ構成を変えた時、配送会社を切り替えた時、キャンペーンを増やした時など、問い合わせ内容も必ず変化します。サポートへの問い合わせログやチャット履歴を月に一度でも振り返り、「何度も聞かれているのにFAQにないテーマ」「説明が不足しているために誤解を生んでいる項目」を洗い出して追記・修正していきます。更新日時を明記しておくと、「ここに載っている情報は今のルール」とお客様が判断しやすくなり、結果としてサポートへの依存度を下げながら、運営側・お客様双方にとって負担の少ないサポート体制を整えられます。
タグやメモ機能を活用した顧客情報の一元管理と引き継ぎ
問い合わせ履歴をバラバラに残してしまうと、「前回どんな対応をしたか」「どのチャネルからの問い合わせか」を毎回探す必要があり、対応スピードが落ちます。そこで役立つのが、サポートツールやShopifyアプリに備わっているタグ・メモ機能です。例えば、問い合わせごとに
「配送遅延」「初回購入」「VIP顧客」「返品希望」
といったタグを付け、顧客情報画面には対応の経緯を短くメモしておくことで、誰が見ても状況を一目で把握できる状態にします。
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タグ:
問い合わせの「種類」や「優先度」「顧客ランク」を分類
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メモ:
会話の背景や注意点、提案済みの施策を簡潔に記録
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テンプレ化:
タグ名・メモの書き方をチームで統一
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更新ルール:
対応完了時に必ずタグ・メモを見直す運用
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タグ例 |
意味 |
運用ポイント |
|---|---|---|
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要フォローアップ |
後日連絡が必要な案件 |
期限をメモに明記する |
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クレーム対応中 |
注意が必要な対応中顧客 |
対応履歴を時系列で残す |
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VIP |
リピート・高単価顧客 |
特別対応ルールを共有 |
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セット購入者 |
特定セット商品の購入者 |
クロスセルの候補をメモ |
これらを継続的に運用すると、問い合わせ対応だけでなく、引き継ぎの品質も安定します。担当が変わっても、後任者は
タグで全体像を把握し、メモで細かな文脈を確認
できます。結果として、顧客からは「誰に相談しても話が通じる」「前回の内容を毎回説明しなくて良い」と感じてもらえ、サポート体験の一貫性が高まります。運用開始時はタグを増やしすぎず、まずは優先度やクレーム、VIPなど重要度の高い軸から導入し、運用しながら少しずつ拡張していくとスムーズです。
対応品質を維持しながら応対時間を短縮するためのチェックポイント
応対時間を短縮しつつ品質を落とさないためには、「どこを削るか」ではなく「どこを標準化するか」を明確にすることが重要です。たとえば、よくある質問はあらかじめテンプレート化し、Shopifyの注文情報や顧客情報の確認手順をチーム内で統一しておくことで、迷いながら画面を行き来する時間を減らせます。さらに、テンプレートはそのまま使うのではなく、
最初の1~2文だけ顧客ごとに必ず書き換える
などのルールを設ければ、個別感と効率のバランスが取りやすくなります。
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問い合わせ種別ごとのチェックリスト
(返品・配送・支払い・アカウントなど)を用意する
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Shopifyの管理画面で
最低限確認すべき項目
(注文番号・支払状況・フルフィルメント状況・メモ欄)を決めておく
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マクロや返信テンプレートには、
確認すべきポイントのメモ
も一緒に埋め込んでおく
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複雑な案件は「一次回答(受付・状況確認中)」と「確定回答」の
二段階で返す運用
にして、抱え込み時間を減らす
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チェックポイント |
見る場所 |
狙い |
|---|---|---|
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顧客の意図が一文で言えるか |
問い合わせ本文 |
要点整理で無駄な聞き直しを防ぐ |
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必要情報が1回で揃う質問か |
返信テンプレート |
往復回数を最小限にする |
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類似ケースの過去対応 |
サポートログ・タグ |
判断を再利用して検討時間を短縮 |
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顧客が次にやることが明確か |
回答文の末尾 |
追加問い合わせの発生を減らす |
問い合わせデータを分析して業務改善につなげる方法
まず押さえたいのは、「なんとなく」問い合わせを眺めるのではなく、テーマごとに整理して”見える化”することです。期間を決めて(例:直近1か月)、件名やメモ欄、タグをもとに問い合わせを分類し、よくあるパターンを洗い出します。手元でできる範囲なら、スプレッドシートで構いません。以下のように、シンプルな切り口から始めると分析のハードルが下がります。
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商品情報系:
サイズ・素材・色味・在庫などに関する質問
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配送・支払い系:
配送状況、送料、支払い方法に関する問い合わせ
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操作・アカウント系:
クーポンの使い方、ログイン、パスワード関連
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不具合・クレーム系:
破損、誤配送、品質に関する不満
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カテゴリ |
件数 |
主な原因 |
改善施策の例 |
|---|---|---|---|
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商品情報系 |
45件 |
サイズ表が分かりにくい |
サイズガイド画像・Q&Aの追加 |
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配送・支払い系 |
28件 |
発送目安の記載不足 |
カート付近に発送目安を常時表示 |
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不具合・クレーム系 |
12件 |
同一商品の梱包不備 |
該当商品の梱包手順を見直し |
分類と集計ができたら、次は「問い合わせを減らすために、どこを変えるか」を決めます。ポイントは、
Shopifyの管理画面やテーマ設定だけで改善できるものから着手する
ことです。例えばよくある質問は、商品ページの説明欄やFAQページ、カート付近に追記し、チャットや問い合わせフォームにも関連ヘルプへのリンクを設定します。また、同じ質問が繰り返される場合は、
テンプレート返信を更新するタイミング
と捉え、回答文を整理して、ストアポリシーやヘルプページの内容と揃えることで、担当者ごとのバラつきも抑えられます。
最後に
本記事では、Shopifyストアの問い合わせ対応を効率化するためのポイントと、具体的なベストプラクティスを整理してきました。
カスタマーサポートは、売上やリピート率に直結する重要な業務でありながら、日々の運営の中で後回しになりやすい領域でもあります。だからこそ、「属人的な対応」から一歩進めて、「誰が対応しても一定の品質を保てる仕組みづくり」を意識することが大切です。
もし、今のサポート体制に以下のような課題がある場合は、本記事で紹介した内容を一つずつ試してみてください。
– 同じ質問への回答がスタッフごとにばらついている
– 問い合わせ対応に時間を取られ、他の業務に手が回らない
– メール・チャット・SNSなど、窓口ごとの管理が煩雑になっている
まずは、よくある質問の整理やテンプレート作成といった、すぐに始められる取り組みから着手し、その後ツールの活用や体制づくりへと段階的に広げていくと、無理なく改善を進めやすくなります。
カスタマーサポートの改善は、一度仕組みを作って終わりではありません。
お客様からの声を継続的に見直し、回答内容や運用フローを更新し続けることで、はじめて「効率」と「満足度」を両立できる体制に近づいていきます。
この記事が、自社のサポート体制を見直す際のチェックリストや、改善のきっかけとしてお役に立てば幸いです。

