Shopifyで日々ストアを運営していると、「リピーターを増やしたい」「広告の費用対効果を上げたい」「メルマガの反応率を改善したい」といった課題に直面する場面が多くあります。そのとき鍵になるのが、「顧客データをどう見るか」、そして「どのように活用するか」です。
本記事では、Shopify管理画面で確認できる顧客データの基本的な見方と、そこからどのように顧客をセグメント(グループ分け)していけばよいかを、非エンジニアの方でも理解しやすい形で解説します。専門用語の説明を交えながら、
– どの画面で、どのような顧客情報を確認できるのか
– 初心者でも押さえておきたい、顧客セグメントの基本的な考え方
– 具体的にどのような切り口で顧客を分け、施策に活かせるのか
といったポイントを順を追って整理していきます。
技術的な知識や分析ツールの経験がなくても、Shopify標準の機能だけで始められる内容を中心にまとめていますので、「これから顧客データをきちんと活用していきたい」という方の入門編としてご活用ください。
目次
- Shopifyで確認できる顧客データの基本項目と意味
- 顧客一覧と顧客詳細ページの見方と活用のポイント
- 購入履歴と注文頻度から読み解くリピーターの特徴
- タグとフィルターを使ったシンプルな顧客セグメントの作り方
- 客単価と購入サイクルを基準にした顧客グループ分けの実践例
- メールマーケティングに活かす顧客セグメント設計のコツ
- クーポンや特典を用いたセグメント別アプローチの実務手順
- 成果を測定するための基本指標と改善サイクルの回し方
- 最後に
Shopifyで確認できる顧客データの基本項目と意味
まず押さえておきたいのは、Shopifyの顧客情報は「誰が・どこから・どのように買っているか」を把握するための基本材料だという点です。代表的な項目としては、氏名・メールアドレス・電話番号・住所といった連絡先情報に加え、顧客タグ・メモ・マーケティングメールの同意状況などがあります。これらは、問い合わせ対応や配送トラブルの防止だけでなく、どの顧客にどのようなコミュニケーションを取るかを判断する際の基準にもなります。特に「メールの受信可否」は、キャンペーン配信の対象リストを作るうえで欠かせない項目です。
- 連絡先情報:氏名・メール・電話・住所など、顧客と確実につながるための基本情報
- 注文・購入履歴:購入回数・購入日・購入金額など、リピーターかどうかを見極める基準
- 顧客タグ・メモ:オペレーション側で付けるラベル。問い合わせ内容や属性のメモに活用
- マーケティング同意:メールやSMSの配信可否。許諾のある顧客だけを対象に施策を実行するために必須
| 項目 | 画面上の位置・例 | 意味・活用のポイント |
|---|---|---|
| 顧客ステータス | 顧客詳細の上部(例:有効・アーカイブ済み) | 現在アクティブに取引があるかどうかを判別し、配信やフォローの対象を整理する指標 |
| 累計注文数 / 累計購入金額 | 注文概要エリア(例:注文3件・合計¥25,000) | 優良顧客や離反リスク顧客を見つけるための基本指標。セグメント分けの出発点になる |
| 直近の購入日 | 最新注文の日時として表示 | どのくらいの頻度で購入しているかを判断し、休眠直前の顧客へのリマインド施策に活用 |
顧客一覧と顧客詳細ページの見方と活用のポイント
まず、一覧画面では「誰にどれくらい売れているか」をひと目で把握できるようにすることが重要です。標準の列だけでなく、必要に応じて表示項目を調整し、日々見るべき情報を絞り込みましょう。たとえば、「合計購入額」「注文回数」「前回購入日」などは、優良顧客の発見や休眠顧客の抽出に役立ちます。フィルターや検索機能を使い、特定期間に購入があった顧客や、メールアドレス登録済みの顧客だけを抽出しておくと、そのままセグメント作成やキャンペーンの対象選定につなげやすくなります。
- 顧客名・連絡先:メールや電話でフォローできるかどうかをまず確認
- 注文回数:リピーターか新規かを素早く判定
- 合計購入額:優良顧客候補の目安として活用
- タグ:店舗独自の分類(VIP・要注意・卸など)を視覚的に管理
| 項目 | 一覧での確認ポイント | 詳細ページでの活用例 |
|---|---|---|
| 注文履歴 | 購入の有無・回数をざっくり把握 | 購入周期や商品傾向を見て提案内容を決める |
| メモ・内部メモ | 重要な注意点の有無をチェック | クレーム履歴や好みを記録し接客の質を維持 |
| タグ | どのセグメントに属しているかを確認 | メール配信や特典付与の条件として利用 |
顧客詳細ページでは、「この人はどんなきっかけで、どのくらいの頻度で、何を買っているか」をストーリーとして読み取る意識がポイントです。注文履歴と購入商品の組み合わせからニーズを推測し、おすすめ商品の提案やクーポン配布のタイミングを考えます。また、メモ欄には問い合わせ内容や配送上の注意点、好み(サイズ感・色・用途など)を残しておくことで、スタッフが変わっても一貫した対応を行えます。最後に、タグとセグメント条件はできるだけシンプルに保ち、「どの顧客をどのアクションにつなげるか」がすぐ判断できる状態を維持すると、一覧と詳細ページの情報がセグメント運用とスムーズに連動するようになります。
購入履歴と注文頻度から読み解くリピーターの特徴
Shopifyの顧客一覧から「購入回数」「総支払額」「前回注文日」を組み合わせて見ると、リピーターの輪郭がはっきりしてきます。単純に「購入回数が多い=優良」と決めつけず、どのくらいの期間で何回買っているか、1回あたりの平均購入額はいくらかを確認します。例えば、半年以内に3回以上購入しているか、平均客単価が全体平均より高いかといった基準を1〜2個決めておくと、ショップにとっての「理想的なリピーター像」をブレずに判断できます。
- 直近3〜6ヶ月の購入回数:頻度が高いほど、関係性が強い顧客
- 平均購入額:単価アップ施策に反応しているかの指標
- 購入間隔:定期的に戻ってきているか、偶然の複数購入かを見分ける材料
- 最終購入日:休眠に入りつつあるリピーターの早期発見に有効
| タイプ | 購入回数 | 平均購入間隔 | 特徴 | 有効なアプローチ |
|---|---|---|---|---|
| ヘビーユーザー | 5回以上 | 30日以内 | 新商品にも反応しやすい中核顧客 | 先行案内・限定企画・レビュー依頼 |
| 成長リピーター | 2〜4回 | 31〜90日 | ロイヤル化の途中段階 | 次回購入のきっかけになるクーポンやセット提案 |
| 離反予備軍 | 2回以上 | 90日超 | しばらく購入が空いている層 | 再来店を促すリマインドと用途提案コンテンツ |
タグとフィルターを使ったシンプルな顧客セグメントの作り方
まずは、タグを「ラベル付け」以上のものとして設計することから始めます。思いつきでタグを増やすのではなく、あらかじめ「どんな切り口で顧客を分けたいか」を決めておくと、その後のフィルターが一気に使いやすくなります。たとえば、購入回数・購入カテゴリ・キャンペーン参加履歴など、運営でよく使う視点を洗い出し、それぞれに対応するタグ名のルールを決めておきます。以下のような簡単な方針をチーム内で共有しておくだけでも、セグメント作成の精度とスピードが大きく変わります。
- 行動ベース:
repeat_2plus(2回以上購入)、no_purchase_90d(90日未購入) - 興味・カテゴリ:
interest_skincare、interest_apparel - キャンペーン・施策:
camp_blackfriday2024、coupon_firsttime
| 目的 | タグ例 | よく使うフィルター |
|---|---|---|
| リピーター施策 | repeat_2plus |
タグ+注文回数 |
| 休眠防止 | no_purchase_90d |
最終購入日 |
| カテゴリ別メルマガ | interest_skincare |
タグ+国・地域 |
タグを付けるルールを固めたら、Shopify管理画面の顧客一覧でフィルターを組み合わせて「再現可能な条件」を作るのが次のステップです。例えば、「直近90日以内に購入があり、合計金額が2万円以上、かつinterest_skincareタグが付いている顧客」のように、タグ+購入履歴+期間を組み合わせると、シンプルでも運用に使いやすいセグメントが作れます。この条件をそのままセグメントとして保存しておけば、次回以降はフィルターをやり直さずに、常に最新の条件で顧客が自動更新されます。
最初から複雑な条件にせず、「1つの目的に対して3つまでの条件」にとどめると、現場で迷わず使えるセグメントになります。たとえば、休眠対策なら「最終購入日」「タグ(重要顧客/通常)」「国・地域」、アップセルなら「累計購入金額」「購入カテゴリ」「タグ(キャンペーン参加)」といった具合に、目的ごとに使うフィルターを固定しておくと、チームメンバー間で条件の解釈がぶれません。定期的にセグメント一覧を見直し、「使われていないものは削除」「似たものは統合」といった棚卸しを行うことで、運用しやすいシンプルな構成を保つことができます。
客単価と購入サイクルを基準にした顧客グループ分けの実践例
Shopifyの顧客一覧から「平均注文額(AOV)」と「購入回数」「最終注文日」を組み合わせると、シンプルですが実務で使いやすいグルーピングができます。たとえば、過去6〜12か月のデータを対象に、まず平均注文額でしきい値を決め、そのうえで購入サイクル(購入間隔の日数)で層を分けていきます。しきい値は業種や単価帯によって変わりますが、まずは全体平均を基準にして、少し高め・少し低めのラインを仮設定し、あとから調整すると運用しやすくなります。
| グループ | 客単価 | 購入サイクル | 特徴 |
|---|---|---|---|
| プレミアム固定客 | 高 | 短い(30日以内) | 少数だが売上貢献度が高い |
| 潜在ロイヤル層 | 高 | 中〜長期(31〜90日) | 定期的に戻ってくる見込み客 |
| ボリューム層 | 中 | 中期(45〜90日) | 全体の母数が多い標準的顧客 |
| 価格敏感層 | 低 | 不定期 | セール・クーポンに反応しやすい |
それぞれのグループには、狙うべきコミュニケーションの役割を明確にしておくと運用が進めやすくなります。たとえば、プレミアム固定客には「単価維持と離脱防止」、潜在ロイヤル層には「購入サイクルの短縮」、ボリューム層には「購入頻度アップ」、価格敏感層には「在庫消化やキャンペーンの受け皿」といった位置づけです。Shopifyのセグメント機能では、これらを組み合わせた条件でリストを作成し、
- メルマガ配信内容の出し分け(高単価層にはセット提案/低単価層には割引情報)
- リマーケティング広告の配信優先度(プレミアム固定客や潜在ロイヤル層を優先)
- ポイント・クーポン設計(購入サイクルが長い層に期限付きクーポン)
といった具体的な施策に落とし込むことで、数値に基づいた運用サイクルを回しやすくなります。
メールマーケティングに活かす顧客セグメント設計のコツ
メール施策で成果を出すためには、「誰に・どんなタイミングで・どんなメッセージを送るか」を、顧客データから逆算して設計することが重要です。Shopifyの標準項目(購入回数、最終購入日、平均注文額など)だけでも、配信内容を変える軸は十分に作れます。たとえば、リピート促進と休眠防止のメールを同じ内容で送るのではなく、行動の違いに合わせて文面・オファー・送信頻度を分けることで、開封・クリックだけでなく、返信や問い合わせといった「反応の質」まで変わってきます。
実務では、まず「このメールで達成したい目的」を決めてから、必要なセグメントを設計します。目的があいまいなまま細かく分けすぎると、運用が複雑になり、結局配信できなくなりがちです。おすすめは、次のようなシンプルな軸から始めることです。
- 購入ステージ別:初回購入前/1回購入/2回以上購入
- 休眠リスク別:最終購入日が〇日以内/〇〜△日/△日以上
- 単価レンジ別:平均注文額が一定金額以上・未満
- カテゴリ関心別:特定商品カテゴリの購入実績あり
| セグメント例 | ねらい | 送る内容の方向性 |
|---|---|---|
| 初回購入前のメルマガ登録者 | 初回購入の後押し | ブランド紹介・人気商品の具体例・安心材料の提示 |
| 1回購入のみ・30日以内 | 2回目購入につなげる | 前回購入商品の活用提案・相性のよい関連商品の案内 |
| 2回以上購入・90日以上未購入 | 離脱防止・思い出してもらう | 購入履歴に基づくおすすめ・最近のアップデート情報 |
こうしたセグメントを作ったら、配信結果を必ずセグメント単位で振り返ります。全体平均だけを見るのではなく、どのグループにどのメッセージが合っているかを比較し、反応が良い組み合わせを徐々に標準化していきます。最初から完璧な設計を目指す必要はありません。「3〜4個のわかりやすいセグメント」から始め、反応に合わせて条件を見直すサイクルを回すことが、Shopifyの顧客データをメールマーケティングで活かすうえで現実的かつ継続しやすい方法です。
クーポンや特典を用いたセグメント別アプローチの実務手順
まずはShopifyのセグメント条件とクーポン条件をすり合わせるところから始めます。たとえば、「過去90日以内に2回以上購入」「平均注文額1万円以上」「最後の購入から30日以上空いている」など、行動ベースの条件でセグメントを作成し、それぞれに適したインセンティブを設計します。そのうえで、ディスカウントコードか自動ディスカウントかを決め、利用期限や対象商品、最低購入金額などを設定します。ここでは「誰に・何を・いつまで」の3点を明確にしておくと、後の分析と改善がしやすくなります。
- 新規顧客向け:初回購入完了後のフォローとして次回使える少額クーポン
- リピーター向け:購入回数に応じた段階的な特典(送料無料・セット割など)
- 休眠顧客向け:復帰を促す「期間限定」値引きやポイント付与
- 高LTV顧客向け:限定コレクションへの先行アクセスや非公開セール
| セグメント例 | 配布する特典 | 実務上のポイント |
|---|---|---|
| 初回購入から30日以内 | 次回5%オフクーポン | 注文確認メールと同時にコードを案内 |
| 2回以上購入&平均客単価高め | 送料無料+限定商品案内 | セグメント専用のコレクションURLを添付 |
| 90日以上未購入 | 利用期限付き10%オフ | 件名と本文で期限を明記し、再入店を促す |
施策を回したあとは、必ずセグメント単位での成果測定を行います。Shopifyのレポートで「クーポン使用売上」「クーポン使用回数」「セグメント別の再購入率」などを確認し、「割引率を下げても効果が維持できるか」「特典ではなく内容案内だけで反応するセグメントはどこか」を見極めます。その結果に応じて、次のキャンペーンでは割引幅を調整したり、特典を金額割引から送料無料へ切り替えるなど、セグメントごとに条件を微調整していきます。この繰り返しによって、特典に頼りすぎず、顧客との関係性を育てながら収益性も保つ運用が可能になります。
成果を測定するための基本指標と改善サイクルの回し方
顧客データを活用するうえで、まず押さえておきたいのは「何を見れば成果といえるのか」を明確にすることです。Shopify管理画面では、セグメント別に売上やリピート率、平均注文額などを確認できますが、最初は次のようなシンプルな指標から始めると把握しやすくなります。
- リピート率:特定期間に再購入した顧客の割合
- 平均注文額(AOV):1回の注文あたりの平均購入金額
- 購入頻度:顧客1人あたりの平均購入回数
- セグメント別売上構成比:どのセグメントがどれだけ売上に貢献しているか
| セグメント例 | 見るべき指標 | 判断の目安 |
|---|---|---|
| 新規顧客 | 初回購入額 / 次回購入率 | 2回目購入につながっているか |
| リピーター | 購入頻度 / 平均注文額 | 購入ペースが落ちていないか |
| 休眠予備軍 | 最終購入日 / メール開封率 | コミュニケーションが届いているか |
指標を設定したら、次は「計測 → 分析 → 施策 → 再計測」のサイクルを回します。Shopifyのレポートやセグメントを使い、週次または月次で数字を固定のタイミングで確認し、変化のあったセグメントにだけ絞って原因を考えると運用負荷を抑えられます。たとえば、あるセグメントの平均注文額が下がってきた場合、次のような流れで改善を進めます。
- 計測:対象セグメントの指標を定点で確認する
- 分析:どの商品構成・割引・チャネルの変化が影響しているかを洗い出す
- 施策:セット販売の提案やおすすめ商品の見せ方を変更する
- 再計測:同じ指標を同じ期間軸で見て、変化を比較する
改善サイクルを形骸化させないためには、「いつ・誰が・どの数字を見るか」をあらかじめルール化しておくことが重要です。小規模な運営であれば、月に1回、主要なセグメントごとにリピート率・平均注文額・購入頻度の3つだけを確認し、「増えた・減った・変わらない」を簡潔にメモする運用から始めると継続しやすくなります。そのメモをもとに、次月に試す施策を1〜2個だけ決め、結果をまた同じ指標で確認することで、無理のないペースでデータに基づいた改善を積み重ねていくことができます。
最後に
本記事では、Shopifyにおける顧客データの基本的な見方と、セグメントを活用する際の考え方について整理しました。
顧客の「属性」(居住地・言語・会員/ゲストなど)と「行動」(購入回数・購入金額・最終購入日・カゴ落ちなど)を分けて捉えることで、データが具体的な施策につながりやすくなります。また、「すべての顧客に一度にアプローチする」のではなく、小さなセグメントごとにメッセージやオファーを調整することで、無理のない範囲で顧客体験を改善できます。
まずは本記事で紹介したような、以下のような基本的なセグメントから始めると運用しやすくなります。
– 初回購入から日が浅い新規顧客
- 一定期間リピートしている優良顧客
– しばらく購入がない休眠傾向の顧客
– カゴに商品を入れたまま離脱した顧客 など
最初から完璧な分類や運用を目指す必要はありません。自店舗の状況に合いそうなセグメントをひとつ選び、簡単な施策(フォローメール、限定クーポン、情報提供コンテンツの案内など)から試してみてください。反応を見ながら条件や内容を見直していくことで、徐々に「自社らしい」顧客セグメントの活用方法が見えてきます。
日々の販売データを「振り返りの材料」として継続的に確認し、小さな改善を積み重ねていくことが、長期的な顧客関係の構築につながります。今回の内容を参考に、自社のショップ運営に合った顧客データの活用を検討してみてください。

