Shopifyストアを運営していると、集客・メルマガ配信・LINE配信・カゴ落ちフォロー・リピーターづくりなど、日々のマーケティング業務に多くの時間を取られがちです。少人数のチームや兼任担当者の場合、「やるべきことは分かっているのに、手が回らない」という状況も少なくありません。
こうした課題を解決する手段として、近年注目されているのが「マーケティングオートメーションツール(MAツール)」です。あらかじめシナリオやルールを設定しておくことで、顧客の行動に合わせたメール配信やクーポン案内、離脱防止のポップアップ表示などを自動で実行できるようになります。結果として、担当者の作業負担を減らしつつ、売上やリピート率の向上を狙うことが可能です。
本記事では、2026年時点でShopifyストア向けに利用しやすい「マーケティングオートメーションツール」を10個厳選し、それぞれの特徴や向いているショップの規模・用途を整理してご紹介します。専門用語はできるだけ避け、日常的にストア運営をされている方にも分かりやすい形でまとめていますので、
– どのツールから検討すべきか分からない
– すでに使っているアプリを見直したい
– メール以外の自動化手段も知りたい
といった方は、ツール選定の参考資料としてお役立てください。
目次
- Shopifyマーケティングオートメーションツールを導入する目的と選定の考え方
- 顧客データを活用したメール配信とステップ配信設計のポイント
- カゴ落ち・休眠顧客対策に強いツールの特徴と活用シナリオ
- LINEやSNS連携によるリピート施策の自動化と運用のコツ
- アップセルとクロスセルを自動化するレコメンド機能の見極め方
- 小規模店舗と成長期店舗で異なる料金プランと機能優先度の整理
- 自社に合うツールを比較検討するためのチェックリストと導入ステップ
- To Wrap It Up
Shopifyマーケティングオートメーションツールを導入する目的と選定の考え方
まず明確にしておきたいのは、「何を自動化するか」と「なぜそれを自動化したいのか」です。多くの店舗では、メールやLINEでのフォロー、カゴ落ちへのリマインド、リピート顧客向けの特典通知などを手作業で行っており、担当者の時間が圧迫されがちです。マーケティングオートメーションは、これらの作業を一度設計しておけば自動で回る仕組みに変えることで、運営側はクリエイティブや戦略に集中しやすくなります。また、配信タイミングや内容を一定に保てるため、担当者による「やった・やっていない」のムラを減らし、顧客体験を安定させることも目的のひとつです。
- 顧客ごとの行動に合わせた配信(初回購入・再訪問・休眠前など)
- 担当者の作業時間の削減と運営フローの標準化
- 機会損失の防止(カゴ落ち・定期購入の継続・再入荷通知など)
- 配信結果の可視化による改善サイクルの構築
ツール選定では、機能数の多さよりも「自店の運営体制と目的に合っているか」を基準に考えることが重要です。特に非エンジニアの運営チームであれば、画面の分かりやすさやワークフロー作成のしやすさが、長期的な活用を左右します。以下のような観点で候補を比較し、実際の画面をトライアルで触りながら検討すると失敗しにくくなります。
| 比較ポイント | 確認したい内容 |
|---|---|
| Shopify連携の深さ | タグ・セグメント・注文履歴をどこまで条件に使えるか |
| 操作性 | ドラッグ&ドロップでシナリオを組めるか、説明が日本語か |
| サポート体制 | 日本語サポートの有無、導入時の初期設計支援の有無 |
| 料金とスケール | 配信数や顧客数の増加に対する費用の伸び方 |

顧客データを活用したメール配信とステップ配信設計のポイント
まず意識したいのは、「誰に」「どんなタイミングで」「どの文脈で」メールを届けるかを、顧客データから逆算して設計することです。Shopifyの顧客タグや購入履歴、閲覧履歴、カゴ落ち状況などをもとに、配信リストを細かく分けていきます。たとえば、初回購入前・初回購入後・リピーター・休眠顧客といった大きな区切りに加え、平均購入単価やよく購入されるカテゴリ別にセグメントを切ることで、内容と頻度を変えられます。ステップ配信では、これらのセグメントごとに「登録から7日」「初回購入から30日」といった時間軸と、「カゴ落ち」「2回目購入完了」といったイベント軸を組み合わせてシナリオを設計します。
- オンボーディング: メール登録〜初回購入までに、ブランドの考え方やベストセラーを紹介し、不安を解消する内容を配置
- 育成(ナーチャリング): 使用方法FAQ、レビュー紹介、関連商品の使い分けなど、購入後の満足度を高める情報を中心に構成
- リピート促進: 購入サイクルに合わせた「そろそろなくなりそう」リマインドや、前回購入アイテムと相性の良い商品を提案
- 休眠顧客の掘り起こし: 一定期間購入のない顧客に、「最近のアップデート」やおすすめ活用術など、復帰のきっかけになる情報を提供
| シナリオ例 | 主なトリガー | 配信のねらい |
|---|---|---|
| 初回購入後フォロー | 初回購入完了+3日 | 使い方ガイドで満足度向上・返品防止 |
| カゴ落ちリマインド | カート投入から24時間放置 | 検討再開を促し、機会損失を減らす |
| リピートリマインド | 消耗品の平均使用日数経過 | 自然なタイミングでの再購入提案 |
| ランク別ニュースレター | 顧客LTV・購入回数 | ロイヤル層と新規層で内容と頻度を調整 |
運用時のポイントは、「送りすぎない」「開封したくなるテーマをつくる」「毎回”次の行動”を明確に示す」の3つです。非技術者でも扱いやすいオートメーションツールであれば、配信結果レポート(開封率・クリック率・購入率)を見ながら、件名・本文・配信タイミングを小さくテストできます。たとえば、A/Bテストで件名と送信時間帯だけを変えてみる、同じステップ内で商品紹介中心と活用ノウハウ中心の2パターンを試す、といった形です。テスト結果をもとに、反応のよかった要素だけをシナリオ全体に反映していくと、無理な値引きに頼らずに、自然な形で売上と顧客満足度を高める設計に近づけます。

カゴ落ち・休眠顧客対策に強いツールの特徴と活用シナリオ
カゴ落ちや休眠顧客へのアプローチに強いツールは、単に「リマインドメールを送る」だけではなく、顧客の行動や購入履歴に応じて内容とタイミングを自動で調整できることが重要です。理想的なのは、Shopifyのカート情報・閲覧履歴・過去の注文データと連携し、以下のようなセグメントを自動生成できるツールです。
- カートに商品を入れたまま24時間以上経過した顧客
- 最後の購入から60日以上経過している既存顧客
- 高単価商品だけをカゴ落ちしている見込み客
- メルマガ開封はしているが購入していない閲覧ユーザー
これらのセグメントに対しては、メールだけでなく、メール+Webプッシュ通知+SMS など複数チャネルを組み合わせて接点を増やすと、戻ってきてくれる確率が高まります。特に、Shopifyのディスカウントコードや自動ディスカウントと連携できるツールであれば、クーポンの出し分けも自動化できます。たとえば、初回購入前のカゴ落ちには「初回限定クーポン」、既存顧客の休眠防止には「まとめ買い割引」といった形で、顧客のステータスに合わせた条件設定がしやすくなります。
| シナリオ | トリガー | アクション内容 |
|---|---|---|
| カゴ落ちフォロー | カート放棄から3時間 | 商品画像付きリマインドメール+在庫数の案内 |
| 高額カート落ち | カート合計が一定金額以上 | 分割払い・後払い案内を含むメール送信 |
| 休眠直前フォロー | 最後の購入から45日経過 | 過去購入商品に合わせた関連商品の提案メール |
| 休眠顧客の呼び戻し | 最後の購入から90日経過 | 限定オファー+再訪を促すストーリー配信 |

LINEやSNS連携によるリピート施策の自動化と運用のコツ
LINEや各種SNSは、メルマガよりも反応が得られやすく、リピート購入を促すための重要なタッチポイントになります。マーケティングオートメーションツールを使うと、手動配信では難しい「顧客ごとに最適なタイミングと内容」での配信が可能です。たとえば、初回購入から30日後に「使い心地のフォロー+関連商品の提案」を自動送信したり、誕生日や会員ランクに応じてクーポンを出し分けることもできます。ポイントは、単にクーポンを配るのではなく、購入サイクルと利用シーンに合わせてシナリオを組むことです。
- 購入履歴連動メッセージ:購入商品カテゴリごとに、次のおすすめ商品や使い方コンテンツを配信
- 休眠防止シナリオ:最後の購入から◯日経過した顧客だけに、リマインド+軽めのインセンティブを自動配信
- ステップ配信:新規顧客に対し、購入〜7日〜21日と段階的にブランド理解を深めるコンテンツを送付
- イベント連動:セールや新作入荷の事前案内を、「関心の高いカテゴリ」を見ていた顧客だけに限定配信
運用のコツは、「最初から完璧なシナリオを目指さない」ことと、「数字を見ながら少しずつ磨き込む」ことです。まずは1〜2本のシンプルなフローから始め、開封率・クリック率・再購入率を確認しながら、配信タイミングやクリエイティブを調整します。また、現場で運用しやすくするために、配信ルールを社内で共有しておくと、属人化を防げます。
| 運用ポイント | 実践のヒント |
|---|---|
| 配信頻度 | まずは月2〜4回程度から開始し、ブロック率を見ながら調整 |
| メッセージ内容 | 毎回クーポンではなく、使い方・レビュー紹介など情報7:販促3を意識 |
| 効果測定 | 「これを送ったら、何件の再購入につながったか」を必ず確認 |
| 運用体制 | シナリオ設計・クリエイティブ作成・効果確認の担当を分けて負荷を平準化 |

アップセルとクロスセルを自動化するレコメンド機能の見極め方
アップセルやクロスセルを自動化するレコメンド機能を選ぶ際は、まず「どの画面で」「どのような文脈で」提案するかを明確にしておくと、ツールの比較がしやすくなります。たとえば、カート画面と注文完了ページでは、適した提案内容が異なります。カート画面では「一緒に買われている商品」の提案が有効ですが、注文完了ページでは「次回購入時に役立つ商品」の提案が自然です。ツールによっては、ページ単位で表示ルールを細かく設定できるものと、テンプレートが固定されているものがあるため、運営中のストア構成と照らし合わせて、どこまで柔軟に配置・表示条件をコントロールできるかを確認します。
- 顧客データの使い方:閲覧履歴だけでなく、購入回数・平均注文額・カテゴリの好みなどをどこまで反映できるか
- シナリオとの連携:メールやLINE、ポップアップなど、他チャネルの施策と一貫したロジックで提案できるか
- 表示速度とデザイン:ページ読み込みを遅くしないか、テーマに馴染むデザイン調整が可能か
- 手動調整の余地:AI任せではなく、特定商品の露出強化・除外が簡単に行えるか
| チェック観点 | 確認したいポイント | 運営上のメリット |
|---|---|---|
| ロジックの透明性 | 「なぜこの商品を出しているか」が説明文やヘルプで把握できる | 不自然な提案を避け、問い合わせ対応もしやすい |
| ABテスト機能 | ウィジェット配置や文言を簡単にテストできる | 感覚ではなく数値でアップセル効果を判断できる |
| レポートの粒度 | 提案枠ごとのCVR・売上貢献が見られる | 成果の高い位置やパターンにリソースを集中できる |
さらに、Shopifyの既存機能や他アプリとの相性も見落とせません。すでに導入しているレビューアプリやポイントアプリとデータ連携できれば、「高評価の商品」「会員ランク別のおすすめ」といった、より文脈に沿ったアップセルが可能になります。また、運用担当者が非エンジニアであることを前提に、管理画面の操作性も重視します。ドラッグ&ドロップで配置変更できるか、文言の編集がコード不要で行えるか、日本語サポートやヘルプ文書が整っているかを確認し、導入後に「設定変更が面倒で放置される」状況を避けることが、長期的な売上貢献につながります。

小規模店舗と成長期店舗で異なる料金プランと機能優先度の整理
まず意識したいのは、店舗のステージによって「払える金額」と「本当に必要な機能」が大きく変わるという点です。月商数十万円〜数百万円規模のショップでは、固定費を抑えつつ、日々の運営負荷を減らしてくれる機能に絞るのが現実的です。一方で、成長期に入り月商が安定して伸び始めると、「広告・メルマガ・LINE・リターゲティング」など複数チャネルを一元管理し、LTVを伸ばすための高度な仕組みに投資する価値が出てきます。この違いを理解せずに高機能ツールを導入しても、使いこなせずコストだけが残るケースを何度も見てきました。
目安として、以下のような優先度で考えると選定がスムーズです。
- 小規模店舗(テスト期〜安定前)
・月額費用は「売上の3〜5%以内」を目安に設定
・放棄カートメール・簡易なステップメール・クーポン配信を中心に必要最低限に絞る
・テンプレートが豊富で、ノーコードで設定できる管理画面を重視
・サポート言語(日本語対応の有無)とサポートのレスポンス速度を確認 - 成長期店舗(リピート拡大フェーズ)
・LTV改善が見込めるなら「売上の5〜8%」まで投資対象と考える
・セグメント配信・パーソナライズ・RFM分析・自動シナリオ構築などを積極的に活用
・複数ストア運営や海外展開を視野に入れたアカウント管理機能を確認
・他の分析ツール・広告ツールとの連携可否もチェックポイントにする
| ステージ | 料金の考え方 | 機能優先度 |
|---|---|---|
| 小規模店舗 | 低コスト・固定費最小 | 必須オートメーションと操作性 |
| 成長期店舗 | LTV向上前提で投資 | 高度なセグメント・分析・連携 |
自社に合うツールを比較検討するためのチェックリストと導入ステップ
ツール選定で迷ったときは、まず「自社の今」と「半年後〜1年後の理想像」を整理しておくと、表面的な機能比較に振り回されにくくなります。具体的には、現状の売上構成・平均注文単価・リピート率などの数字と、どのタッチポイントを自動化したいのかを洗い出します。そのうえで、次の観点で候補ツールを比較すると、ショップ規模や運営体制に合った選択がしやすくなります。
- 運営体制とのフィット感:1人運営か、専任担当がいるか/日々どれくらいの時間をツールに割けるか
- シナリオの柔軟性:カゴ落ち・ステップメール・ポイント連携など、自社の施策をどこまでカバーできるか
- データ連携:Shopifyの注文データやタグ、クーポン、レビューアプリなどとどの程度スムーズに連携できるか
- レポートの見やすさ:専門用語が少なく、運営メンバー全員が「何が成果か」を直感的に把握できるか
- コスト構造:月額固定+従量課金のバランス/売上増加時に負担が急増しないか
| 導入ステップ | 目的 | ポイント |
|---|---|---|
| 1. 要件整理 | 「やりたい施策」を明文化 | 既存メルマガ・LINE・広告の課題を書き出す |
| 2. ツール候補の絞り込み | 3〜4ツールに集約 | 無料トライアルとサポート体制を必ず確認 |
| 3. 小さく試す | リスクを抑えて検証 | カゴ落ちメールなど、1〜2施策からスタート |
| 4. 本格運用設計 | 自社の標準フローに組み込む | 配信頻度・KPI・担当者を明確に決める |
| 5. 定期レビュー | 改善と見直し | 月次で成果・工数・コストをチェック |
導入時は、いきなりすべてを自動化しようとせず、売上インパクトと設定の簡単さのバランスが良いところから始めるのが現実的です。例えば、「カゴ落ちフォロー → 初回購入者フォロー → 休眠顧客の掘り起こし」の順に広げていくと、現場の負担も最小限に抑えられます。また、ツール側のサポートやヘルプセンターを積極的に活用し、実装した施策ごとに「工数」「売上貢献」「今後の改善点」を簡潔にメモしておくと、ツールの乗り換え検討や社内共有もスムーズになります。
To Wrap It Up
本記事では、2026年時点で注目すべきShopify向けマーケティングオートメーションツールを10個ご紹介しました。
重要なのは、「どのツールが一番高機能か」ではなく、「自社の体制・予算・目標に合っているか」を基準に選ぶことです。たとえば、
– 少人数運営なら「設定や運用がシンプル」なツール
– 売上拡大フェーズなら「高度なセグメント配信や分析」が得意なツール
– 複数チャネルをまとめて管理したいなら「メール以外も自動化できる」ツール
といったように、現在の課題と照らし合わせて検討すると、導入後のムダが少なくなります。
また、マーケティングオートメーションは「入れたら終わり」の仕組みではありません。
– 最初は少ないシナリオから始める
– 結果を見ながら配信内容やタイミングを調整する
- 成功した施策を少しずつ増やしていく
というように、運用しながら育てていく考え方が大切です。
もしツール選びに迷う場合は、
– 無料トライアルで実際の画面や操作感を確認する
– サポート体制や日本語対応の有無をチェックする
– 将来の拡張(ステップ配信の追加、他ツール連携など)を見越して比較する
といった観点も参考になるでしょう。
自社に合ったツールを選び、無理のない範囲から自動化を進めていくことで、日々の作業負担を減らしながら、お客様とのコミュニケーションを継続的に改善していくことができます。本記事が、その第一歩を踏み出す際の判断材料としてお役に立てば幸いです。