オンラインショップを立ち上げ、デザインも整え、広告も回し始めた。アクセスはそこそこあるのに、なぜか「売れない」。一方で、同じようにShopifyを使っているのに、静かに売上を伸ばしていくショップがある。この差はどこから生まれているのでしょうか。
「売れる商品」と「売れない商品」は、見た目が似ていても、その裏側には決定的な違いが潜んでいます。それは単純に価格やクオリティだけではなく、「誰のどんな悩みを解決しているのか」「Shopify上でどう見せて、どう届けているのか」といった要素が複雑に絡み合った結果です。
本記事では、shopifyで実際に売上につながりやすい商品の条件と、なかなか売れない商品の共通点を整理しながら、「何を売るか」「どう売るか」を見直すための視点を紹介します。「とりあえず作った商品ページ」から一歩抜け出し、「売れる理由のある商品」に変えていくヒントを、一つずつ紐解いていきましょう。
売れる商品に共通する三つの「わかりやすさ」とは何か
まずひとつ目は、商品そのものが「何者なのか」が一瞬で伝わることです。たとえば「高品質なTシャツ」ではなく、
「洗濯してもヨレない、毎日着られる仕事用Tシャツ」
と書くと、用途・価値・ターゲットが一気にクリアになります。写真でも同じで、ただの物撮りではなく、「誰が・どんな場面で・どう使うか」が想像できる構図にすることで、ページを開いた数秒で理解してもらえるようになります。
二つ目は、ベネフィットの筋道が整っていることです。機能を並べるだけでは伝わりません。お客様が知りたいのは「だから自分の生活がどう変わるのか」。その差を埋めるために、文章や画像の中で
「機能 → 効果 → 変化」
をセットで提示すると、価値がストンと落ちてきます。
-
機能
:素材・仕様・仕組みなどの事実
-
効果
:起きる結果(疲れにくい・長持ちする など)
-
変化
:お客様の未来像(通勤が快適になる・買い替え頻度が下がる など)
三つ目は、購入までの道筋が迷路になっていないことです。同じ商品でも、
ボタンの位置・色・テキスト
、説明文の順番、価格表示の仕方ひとつで「わかりづらさ」は簡単に生まれます。Shopifyのテーマカスタマイズでは、余白や見出しの階層、カートボタン周辺の情報量を意識して、「いま自分がどこにいて、次に何をすればいいか」を一目で理解できるレイアウトに整えることが重要です。
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要素 |
売れるページ |
売れないページ |
|---|---|---|
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商品名 |
用途まで伝わる具体的な表現 |
おしゃれだが抽象的な表現 |
|
説明文 |
機能→効果→変化の流れ |
スペックの羅列だけ |
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導線 |
ボタンが目立ちシンプル |
情報過多で迷いやすい |
これら三つの「理解しやすさ」は、コピーライティングやデザインセンスだけの話ではありません。Shopifyの
タグ設計やコレクション構成、検索バーのチューニング
も、「探しやすさ=わかりやすさ」の一部です。ページを訪れた人が「この商品は何で、自分にどんな得があって、どうやって買えばいいのか」を、迷わず辿れるように組み立てられているかどうか――ここに、売れるか売れないかの決定的な差が生まれます。
売れない商品ページにありがちな「伝わらない説明」を今すぐ直?
アクセスやインプレッションはあるのに、なぜかカートに入らない――そんな商品ページには、魅力を削いでしまう「伝わらなさ」が潜んでいます。たとえば、どんな悩みを解決するのかが曖昧だったり、写真とテキストの情報がちぐはぐだったり、価格の根拠が説明されていなかったり。ユーザーは「なんとなく良さそう」では買わず、
「自分にとって必要だ」と確信できたときだけ
クリックします。その”確信”をつくるのが、コピーや構成、ビジュアルを含めた説明全体の仕事です。
ありがちな落とし穴は、スペック列挙だけでページを埋めてしまうことです。サイズや素材、容量などは必要ですが、それだけでは「で、私の生活はどう変わるの?」という問いに答えられません。説明文に足りていないのは、
ストーリーと具体的な使用シーン
です。たとえば「防水のバックパック」なら、「通勤中の突然の雨でも、PCと資料を守る」「ジムと仕事を一つのバッグでスマートに行き来できる」といった、ユーザーの1日の流れの中での価値を描く必要があります。
また、テキストは読まれない前提で組み立てることも重要です。長文をただ並べるのではなく、視線の流れに合わせて、
一瞬で意味が伝わる要素
を散りばめます。
-
短い見出し
で要点を分解する
-
箇条書き
でメリットを3〜5個に整理する
-
太字
や色を使って「買う理由」を強調する
-
画像近くに「この写真の何がポイントか」を一文で添える
こうした小さな工夫の積み重ねが、読み飛ばしながらでも魅力が伝わるページをつくります。
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NGな説明 |
改善した説明 |
|---|---|
|
高品質な素材を使用しています。 |
雨の日も色あせにくい 撥水キャンバスで、通勤バッグとして毎日使えます。 |
|
容量が大きいバッグです。 |
PC・A4書類・水筒が一度に入る ので、サブバッグがいりません。 |
|
シンプルなデザインです。 |
スーツにも私服にも合う
余計な装飾のないデザイン で、平日も休日も1つで完結。 |
さらに、「買わない理由」を先回りして潰すことも、説明の重要な役割です。ユーザーの頭の中には、次のような不安がうっすら存在しています。
-
「サイズが合わなかったらどうしよう」
-
「写真と色味が違ったら困る」
-
「もし壊れたら…サポートはあるの?」
これらに対して、
返品ポリシー・サイズ比較・利用シーンの写真・保証内容
を明示することで、「まあ試してみてもいいかも」という心理的ハードルを下げられます。説明とは、魅力を語るだけでなく、不安を一つずつ解消していく行為でもあるのです。
最後に、ページの説明を「オーナー目線」から「ショップの外にいる第三者目線」に切り替えてみてください。自分では当たり前すぎて書き忘れているポイントや、逆にこだわりすぎて伝わりにくくなっている専門用語が、きっと見つかります。
「この1スクロールで、ユーザーは何を理解できるべきか?」
という問いを各ブロックに投げかけながら、テキスト・画像・テーブルを再配置していくと、同じ商品でも”売れるほうのページ”に近づいていきます。
Shopifyで価格設定を最適化するための具体的なチェックポイント
まず見直したいのは、「原価+利益」でなんとなく決めてしまいがちな金額です。
1商品あたりの粗利
だけでなく、
広告費・送料・梱包材・決済手数料
まで含めた「1件獲得あたりの総コスト」を洗い出しましょう。Shopifyの分析レポートと広告アカウント(Meta広告、Google広告など)を照らし合わせて、
赤字ラインの価格帯
を明確にしておくと、売れても儲からない価格を避けられます。
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項目 |
チェック内容 |
|---|---|
|
原価 |
仕入れ+製造+保管コストを含める |
|
販売コスト |
広告・送料・梱包資材・手数料を反映 |
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目標利益 |
1件あたりいくら残したいかを数値化 |
次に見るべきは、競合との「価格ポジション」です。楽天やAmazon、Instagramショップなどで類似商品を調査し、自社アイテムが
「最安」なのか「こだわり高単価」なのか
を明確にします。中途半端な立ち位置は、ユーザーにとって価値が伝わりにくくなりがちです。以下のように、自分の商品がどこで勝負するのか、感覚ではなくリストで整理しましょう。
-
価格帯の基準
:市場の中央値より安いのか高いのか
-
差別化ポイント
:素材・デザイン・ストーリー・サポート体制
-
見せ方
:写真クオリティ、説明テキスト、レビュー数とのバランス
Shopifyの
ディスカウント機能
を使うときは、常に「割引率」から考えるのではなく、「
平均注文単価(AOV)
が上がるかどうか」で判断します。例えば、同じ20%オフでも、
セット割
や
まとめ買い割
にすることで、客単価を上げながら利益を確保できます。クーポン乱発で「常に安い店」というイメージがつくと、定価で買ってもらえない体質になるため、期間・対象商品・条件を細かく設計することがポイントです。
また、
スマホ画面での価格の見え方
も売上を左右します。テーマやカスタマイズで、以下のような視認性をチェックしましょう。
-
価格がファーストビューに入っているか
-
セール価格と通常価格の
差額
が一目でわかるデザインか
-
送料・定期購入・オプション費用など、追加コストが明示されているか
-
「今だけ」「残りわずか」などのラベルが価格付近に表示されているか
最後に重要なのが、
テストと検証のサイクル
です。1つの正解価格を探すのではなく、ShopifyのA/Bテストアプリや期間限定の価格変更を使い、「
クリック率・カート投入率・購入率・返品率
」を比較します。例えば、価格を500円下げたときに購入率が5%しか上がらないなら、その値下げは意味がないかもしれません。数字で「どの価格帯が、最も健全に売れるか」を検証し続けることで、感覚ではなくデータに裏打ちされた価格戦略が組み立てられます。
レビューとSNSの声を商品設計に反映させる実践的なやり方
レビューやSNSのコメントは、単なる「感想」ではなく、商品改善のための
無料のユーザーインタビュー
です。まずはShopifyアプリや管理画面、各SNSの検索機能を使って、自社ブランド名・商品名・ハッシュタグを定期的にチェックし、ポジティブ・ネガティブを問わず声をすべてリスト化します。この時点で評価に一喜一憂せず、「どんなシーンで」「どんな人が」「何に満足/不満足なのか」という文脈を丁寧に抜き出していくことが重要です。
集めた声は、感覚ではなく
タグ付け
して整理すると、商品設計に落とし込みやすくなります。たとえば次のような観点で分類し、GoogleスプレッドシートやNotionにまとめると、時間軸での変化も追いやすくなります。
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機能面
:サイズ感、耐久性、使いやすさ
-
情緒面
:デザイン、世界観、ブランドストーリー
-
体験面
:梱包、到着スピード、サポート対応
-
価格面
:割高感、コスパ、リピート意向
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カテゴリ |
よくある声 |
設計への落とし込み |
|---|---|---|
|
機能 |
「思ったより小さい」 |
サイズ表記の強調・画像追加 |
|
情緒 |
「色味が写真と違う」 |
自然光写真・比較画像を掲載 |
|
体験 |
「開封がワクワクする」 |
パッケージをブランド資産化 |
次に、整理したインサイトをもとに
「何を変えるか」を明文化
します。「ふわっと改善」ではなく、仕様やページのどこをどう変えるのかまで具体化し、Shopifyの商品テンプレートに落としていきます。例えば、サイズ感のクレームが多いなら、商品画像に身長別の着用写真や、他製品との比較写真を組み込み、商品説明文では「よくある質問」をQ&A形式で掲載するなど、レビューから逆算した情報設計に変えていきます。
SNSのポジティブな投稿は、単に「嬉しい声」として終わらせず、
売れる文言の素材
として再利用します。ユーザーが自発的に使っている言葉は、そのままLPや商品ページのキャッチコピー、見出し、アイコンテキストに転用可能です。また、以下のように
次の改善サイクル
へつなげる導線を用意することで、声がさらに集まりやすくなります。
-
購入後メールでレビュー投稿を依頼し、クーポンを付与
-
Instagramで「使ってみた投稿」を募集し、ストーリーズで紹介
-
レビューを元に行った改善内容をブログやニュースで公表
こうして「声を集める → 整理する → 変える → 変えたことを伝える」というループを回し続けると、レビュー欄が
不満のゴミ箱
から
共創の場
に変わっていきます。Shopify上の商品バリエーションの追加や限定カラーのテスト販売なども、このループから生まれたニーズをもとに小さく実験し、反応の良かったものだけを本採用することで、リスクを抑えながら「売れる商品」の精度を高めていくことができます。
在庫データと売上データから「次に売れる商品」を読み解くコツ
「売れているから在庫が少ない」のか、「在庫を持ちすぎて動いていない」のか。まず押さえたいのは、この二つをデータで切り分ける視点です。Shopifyの在庫数と売上数量・期間を紐づけて見ることで、単純な売れ行きではなく、
回転率
と
滞留度合い
を把握できます。例えば、同じ在庫50でも、30日で売り切る商品と180日残り続ける商品では、次に伸ばすべき優先順位がまったく異なります。
分析の起点になるのが、「どのくらいのスピードで在庫が減っているか」を数値化することです。以下のようなテーブルで、感覚ではなくデータで把握してみましょう。
|
商品名 |
在庫数 |
30日売上数 |
在庫回転(回/月) |
|---|---|---|---|
|
商品A |
20 |
60 |
3.0 |
|
商品B |
80 |
40 |
0.5 |
|
商品C |
15 |
30 |
2.0 |
ここから浮かび上がるのは、「今すでに売れているもの」ではなく、「これから強く押すべき候補」です。
回転は早いのに在庫が薄い商品
は、広告やバンドル販売で売上を伸ばしつつ、在庫切れを防ぐべき有望株。一方で、
在庫は多いのに回転が遅い商品
は、そのままでは埋もれてしまいますが、関連商品のセット化や価格調整で”掘り起こし”できるポテンシャルがあります。
このとき、単品の数字だけで判断するのではなく、売れている商品との組み合わせで見ると、次の一手が見えやすくなります。
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よく一緒にカートに入る商品
:セット割で「ついで買い」狙いの候補に
-
閲覧数は多いが売れていない商品
:価格・写真・説明のどこかにネックがある”惜しい商品”
-
リピート率の高い商品
:定期購入やまとめ買い訴求でLTVアップが狙える中核商品
さらに、季節要因やキャンペーン期間の売上データを重ねると、「今はまだ動いていないが、あるタイミングで一気に伸びる商品」も見えてきます。たとえば、毎年同じ月に検索数が跳ねるカテゴリは、早めに在庫を仕込み、関連アイテムと一緒に特集ページを組むことで、
需要が顕在化する前から”次に売れる商品”として育てる
ことが可能です。数字を追う作業を、ただの棚卸しで終わらせず、「未来のヒットを仕込むための地図」として扱うことがポイントです。
締めくくり
「売れる商品」と「売れない商品」の違いは、決してセンスや運だけで片づけられるものではありません。
市場の文脈を読み、ターゲットの「いま欲しい理由」を掘り下げ、それを伝わるかたちで届ける――この積み重ねが、Shopify上での”売れる必然”を少しずつ育てていきます。
もし現在、なかなか売上が伸びない商品があったとしても、それは「失敗作」ではなく、「まだ価値の見せ方が定まっていない途中のプロジェクト」にすぎません。価格設定、商品ページの構成、写真やコピー、同梱物やストーリーの語り方。見直せるポイントは、想像しているよりもずっと多く残されています。
Shopifyは、テストと思考を繰り返すための実験場として、とても相性の良いプラットフォームです。
小さな仮説を立てて、ページを修正し、データを見て、また手を加える。そのプロセスを続けることで、「売れない」と感じていた商品が、ある日を境に「指名買いされる商品」に変わっていくことも決して珍しくありません。
「売れる・売れない」という二元論に縛られるのではなく、
「どうすればこの商品は”選ばれる理由”をもっと増やせるだろう?」
そんな問いを起点に、あなたのShopifyストアに並ぶ一つひとつの商品と、もう一度じっくり向き合ってみてください。
その視点の変化こそが、「売れない商品」を「売れる商品」へと変えていく、最初の一歩になります。

