「もっと商品数を増やせば、売上は上がるはずだ。」
「とりあえず全部並べておけば、お客様が選んでくれるだろう。」
Shopifyでストアを運営していると、ついこんな発想に陥りがちです。しかし、実際には”どれだけ売るか”よりも”何を売るか・どう見せるか”が、売上やリピート率を大きく左右します。
商品を足し算で増やし続けるだけでは、ストアはすぐに「選びにくいお店」になり、お客様の離脱を招きます。
そこで鍵になるのが、「商品構成(アソート)」の見直しです。
同じSKU数でも、構成と見せ方を整理するだけで、平均注文額が上がったり、在庫の回転が良くなったり、広告効率が改善したりします。
本記事では、
– 何を残し、何を削るのか
– どのラインを厚くし、どこを絞るのか
– Shopifyの機能を前提に、どう整理・設計していくのか
といった視点から、「Shopifyの商品構成を見直すときの考え方」を、順を追って整理していきます。商品数の多さではなく、「売れるまとまり」としての商品構成を、一度フラットに見直してみましょう。
売れる商品構成を設計するためのゴール設定とKPIの決め方
まずは、「どんな状態になったら成功と言えるのか」を言語化することが重要です。売上◯%アップのような抽象的な目標だけでなく、平均注文単価の向上、リピート率の改善、在庫回転率の最適化など、商品構成と直結する指標に落とし込んでいきましょう。たとえば、「3カ月以内にセット商品の売上比率を20%まで伸ばす」「単価の低い商品だけで完結する注文を30%以下に抑える」といったように、具体的で測定可能なゴールを設定することで、日々の運営の判断軸が明確になります。
次に、ゴールを分解し、それぞれに紐づくKPIを設計します。KPIは、店舗全体で1つ決めて終わりではなく、集客・商品閲覧・カート投入・購入完了といったカスタマージャーニーの各ステップに応じて設定するのがポイントです。たとえば「セット商品を増やしたい」場合は、セット商品のページ閲覧数、商品ページからのカート投入率、関連商品のクリック率などを追いかけることで、どこで離脱しているのか、商品構成のどこを改善すべきかが見えてきます。
- 売上ゴール:期間・カテゴリ別で明確な数値目標を設定
- 商品構成ゴール:主力・準主力・集客商品などの役割比率を定義
- 顧客体験ゴール:カート追加率・リピート率など体験指標を設計
- 在庫・利益ゴール:在庫回転日数や粗利率の目安を決定
| ゴールの種類 | 例 | 紐づくKPI |
|---|---|---|
| 売上構成 | セット売上比率25% | セット商品のCVR・PV数 |
| 利益最適化 | 粗利率+5pt | 商品別粗利・割引率 |
| 顧客単価 | 平均注文単価+1,000円 | 1注文あたり購入点数 |
Shopifyの管理画面やアプリを活用することで、こうしたKPIを可視化しやすくなります。商品タイプ別レポートやコレクション別売上を定期的にチェックし、「売れている商品」だけでなく「一緒にカゴに入れられている商品」「値引きしないと動かない商品」などを把握しましょう。必要に応じて、タグやメタフィールドを整理し、レポートの切り口を増やしておくと、商品構成の見直しがより戦略的になります。
最後に、設定したゴールとKPIは「一度決めたら終わり」ではなく、検証と微調整を前提とした仮説として扱うことが大切です。季節要因やキャンペーン、広告施策によって、商品構成の最適解はつねに変化します。月次あるいは四半期ごとに、目標値と実績を比較し、どの商品群を強化・縮小・入れ替えるのかを判断するサイクルを回しましょう。数値を起点にしながらも、レビュー内容や問い合わせなどの定性的な情報も合わせて見ることで、より精度の高い商品構成設計が可能になります。
データから読み解く売れ筋と死に筋の見極め方と整理の優先順位
まず押さえたいのは、「なんとなくの感覚」ではなく、Shopifyのレポートやアナリティクスを使って客観的に商品ごとの貢献度を可視化することです。売上金額だけでなく、販売数量・粗利額・閲覧数(セッション)・カート追加率を組み合わせることで、本当に残すべき商品と、見直すべき商品が浮かび上がります。例えば、閲覧数は多いのに購入につながっていない商品は、価格や写真、LP構成がボトルネックになっている可能性があります。
視覚的に判断しやすくするために、商品をシンプルなマトリクスで整理してみましょう。売上と利益率で分類すると、以下のような優先順位が見えてきます。
| タイプ | 特徴 | アクションの優先度 |
|---|---|---|
| 主力商品 | 売上高 × 利益率ともに高い | 在庫確保と露出強化を最優先 |
| 育成商品 | 売上は中程度だが伸びている | 訴求強化・レビュー獲得に投資 |
| 話題先行商品 | 閲覧数は多いが購入が少ない | 価格・ページ改善をテスト |
| 整理候補 | 売上・利益率ともに低い | 廃盤・バンドル化を検討 |
次に、棚卸しの際には数字だけでなく、時間軸を意識してトレンドを読むことが欠かせません。直近30日だけを見るのではなく、少なくとも半年〜1年の推移を振り返り、以下のような視点でチェックします。
- 季節要因で一時的に落ちているだけではないか
- 広告停止やSNS投稿の減少と連動していないか
- 競合商品の登場後に急激に売上が落ちていないか
- リピーター率が高いのに新規流入が少ないだけではないか
整理の優先順位を決めるときは、単に売れていない商品から切るのではなく、「どこに時間と在庫を投下すると、全体の売上と利益が最大化するか」という観点で逆算します。具体的には、
- 利益率の高い主力商品のバリエーション(サイズ・カラー・セット)を最優先で整える
- 伸びそうな育成商品には、説明文・画像・レビューのテコ入れを優先配分
- 明らかに回転の悪いSKUは、セール・セット販売で在庫圧縮を先に実施
- そのうえで、本当に動かない商品を段階的に非公開・廃盤へ移行
最後に、判断を「一度きりの大掃除」にしないために、Shopifyのレポートを使って定期的なレビューの型を作っておくと管理が一気に楽になります。例えば、月次ではベストセラーとワーストセラーを確認し、四半期ごとに商品マトリクスを更新する、といったリズムです。こうしたルーティンを決めておくことで、感覚に頼らず、データに基づいて商品構成を軽やかに入れ替えていけるストア運営に近づいていきます。
単価と利益を最大化するためのラインナップ設計と価格レンジの考え方
まず考えたいのは、「今のラインナップで、本当に一番売りたい単価帯の商品が売れているか?」という視点です。多くのショップでは、売れ筋は中価格帯に集中しますが、そこだけを厚くしてしまうと、平均単価が頭打ちになりがちです。理想は、アクセスやトラフィックを集めるエントリーモデル、利益を最も取りやすいメインレンジ、ブランド価値を押し上げるプレミアムレンジを明確に階層化し、それぞれの役割をはっきりさせること。価格そのものよりも、「どのラインに顧客を導きたいのか」というストーリーを先に描きます。
このとき、単価レンジを「なんとなく」並べるのではなく、Shopifyの分析データをもとに、カート平均額やよく一緒に購入される商品から逆算して設計するのがポイントです。たとえば、平均注文額が8,000円なら、5,000〜9,000円を狙ったセット商品を積極的に用意し、逆に2,000円以下の商品は「単品で完結させず、まとめ買いを促す入口」と位置づける、といった具合です。このように役割を明示することで、同じ商品数でも売上構成と利益率
| レンジ | 目安価格 | 役割 |
|---|---|---|
| エントリー | 〜3,000円 | 集客・お試し |
| メイン | 4,000〜9,000円 | 利益の柱 |
| プレミアム | 10,000円〜 | 単価・ブランド向上 |
同じく重要なのが、価格差にきちんと理由と物語を持たせることです。原価が高いから高い、ではお客様の納得は得られません。機能、素材、ストーリー、提供価値のどこを強調して価格を上げるのかを決め、価格帯ごとに訴求軸を変えます。たとえば次のような整理が有効です。
- エントリー:「まずは気軽に試せる」シンプルさと安心感
- メイン:「一番バランスが良い」機能・デザイン・価格の最適解
- プレミアム:「自分へのご褒美」希少性・限定性・ストーリー性
さらに、ラインナップ全体で単価アップの導線を設計することも欠かせません。メインレンジの商品ページでは、上位モデルとの比較表や、セット購入で総額は上がるが単品合計より割安に感じるバンドルを提案します。また、関連商品ブロックには安い商品ではなく、あえて一段上の価格帯の商品を優先的に表示し、「少し背伸びすれば届く」選択肢を常に目に入る位置に配置します。Shopifyのコレクションやレコメンド機能を組み合わせて、見せたい価格レンジへ自然と誘導するレイアウトを意識すると、単価と利益を同時に引き上げやすくなります。
最後に、ラインナップと価格レンジは一度決めて終わりではなく、ABテストと定期的な見直しが前提です。季節やキャンペーン、広告の出稿状況によって「一番おいしい価格帯」は変動します。売上だけでなく、粗利額・リピート率・レビュー内容もあわせてチェックし、「よく売れるが利益が薄い商品」「数は少ないが高利益の商品」を洗い出します。そのうえで、売れているのに利益を削っている商品はバンドル化や仕様変更で格上げし、高すぎて動いていない商品は価値の見せ方を変えるか、思い切って下げる。こうした細かな調整を繰り返すことで、ショップ全体の単価と利益を底上げしていくことができます。
バリエーションと在庫の持ち方を最適化するSKU戦略の具体的ステップ
まず押さえたいのは、「売れているSKU」と「売れていないSKU」を冷静に仕分けることです。Shopifyのレポート機能やGoogleスプレッドシートを活用して、一定期間(例:直近3か月)の売上数量・売上金額・粗利をSKU単位で一覧化し、貢献度の低いバリエーションを可視化します。そのうえで、売上が立っていないのに在庫だけを圧迫しているもの、ページ上の選択肢を無駄に増やしているだけのものに印を付けていくと、「削る候補」と「伸ばす候補」が自然と浮き上がってきます。
- 売上数量が少ないが、粗利率は高いニッチSKU
- 売上数量は多いが、粗利率が低いボリュームSKU
- アクセスは多いが、ほとんどカート投入されない見せかけSKU
- 在庫リスクが高い季節・トレンド依存SKU
次に、選択肢の持たせ方そのものを見直します。色・サイズ・セット内容などのバリエーションは、増やすほど「探す・選ぶ・比較する」負荷が高まり、コンバージョンを下げることもあります。そこで、売筋パターンに絞った”勝ちパターンSKU”を軸にし、それ以外は「受注生産」や「予約商品」として扱う、あるいは別商品として切り出してページ構成をシンプルにする方法が有効です。とくにアパレルや雑貨では、カラーバリエーションをフルラインで持つのではなく、アクセス・売上データの良い色だけ在庫を持つようにすると、在庫回転率が一気に改善します。
| SKUタイプ | 在庫方針 | Shopify上の扱い |
|---|---|---|
| 売れ筋カラー・サイズ | 常時在庫 | 通常バリエーションとして表示 |
| ニッチだが熱狂的ファンあり | 少量ストック+短納期補充 | 在庫数を少なく設定 |
| テスト中の新色・限定品 | 在庫極小+期間限定 | 「限定」ラベル付きで訴求 |
| ほぼ動いていない型 | 在庫消化後は廃番 | セールタグ・アウトレット枠で処理 |
在庫の持ち方を設計するうえで、「どこで持つか」を分けて考えるのも重要です。自社倉庫に厚めに置くのか、サプライヤー在庫を前提に薄く構えるのか、あるいはプリントオンデマンドやドロップシッピングで、そもそも物理在庫を持たないのか。Shopifyでは、ロケーション機能を使って複数倉庫や外部フルフィルメントを一元管理できますから、売れ筋SKUだけ自社倉庫に近接配置し、その他はリードタイムを許容した上で外部保管に振り分けると、キャッシュフローの負担を抑えられます。
- 高回転&高利益SKU:自社倉庫で厚めに在庫、即日〜翌日発送を徹底
- 中回転SKU:発注ロットを小さくし、販売速度を見ながら在庫を調整
- 低回転SKU:受注生産・予約販売・外部在庫依存でリスクヘッジ
最後に、SKU戦略は一度決めて終わりではなく、「テスト → 計測 → 改定」のサイクルで常に磨き込んでいきます。例えば、あえてバリエーション数を半分に削ってみて、コンバージョン率・平均客単価・返品率がどう変化したかを比較し、その結果をもとにラインナップの幅や深さを調整します。Shopifyのタグやメタフィールドを使って「実験対象SKU」をマーキングしておくと、後からデータを分析しやすくなります。感覚ではなく数字に基づいて、「どのバリエーションに在庫とページ上のスペースを投資するのか」を選び抜くことが、収益性の高い商品構成への近道です。
Shopifyならではのコレクション設計とレコメンド配置で商品構成を活かす方法
Shopifyでは、まず「カテゴリ」発想から一度離れて、ユーザーの行動や購入シナリオから逆算したコレクション設計を意識します。ブランド側が決めた論理的な分類だけでなく、「いま欲しいものがすぐ見つかるか」という視点で、テーマ別・用途別・悩み別のコレクションを組み合わせるのがポイントです。たとえばアパレルなら「オンオフ兼用」「在宅ワーク向け」「今週入荷の新作」など、購入のきっかけになりやすい切り口で並べることで、同じ商品構成でもストア全体の印象がガラリと変わります。
こうしたコレクションを活かすために、トップページやコレクションページには「導線の強いコレクション」から順に見せる構成を取り入れます。売上の中心となる定番ラインと、新規顧客の入り口になるトレンド系コレクションでは役割が違うため、それぞれに適した見せ方を設計すると効果的です。
- 売上を支えるベストセラーコレクションをファーストビュー付近に配置
- 認知拡大を狙う新作・トレンドコレクションをその直後に配置
- リピート促進用のまとめ買い・セットコレクションを中盤〜下部に設置
| コレクション種別 | 主な目的 | おすすめ配置 |
|---|---|---|
| ベストセラー | 売上の最大化 | トップページ上部 |
| 新作・シーズン | 来店理由の創出 | トップページ中段 |
| 用途別・悩み別 | 回遊の促進 | コレクションページ内 |
商品詳細ページでは、Shopifyのレコメンド機能や関連商品ブロックを使い、単に「似ている商品」を並べるのではなく、「次の一手」を提案するレコメンドを意識します。たとえばコスメなら「一緒に買われている下地・クレンジング」、家具なら「サイズ違い・色違い」といったように、「検討中の商品を軸に、もう一歩深く選べる」構成にします。これにより、1点買いで終わるはずだったカートが、自然にセット買いへと広がっていきます。
さらに、コレクションページの下部やカートページには、「買い逃し防止」や「ついで買い」専用のレコメンド枠を用意します。ここでは売りたい商品を無理に押し込むというより、ユーザーが「あと一品あれば便利になる」ものだけを厳選するのがコツです。
- カートページ:消耗品・ストック系アイテムを中心にレコメンド
- コレクション下部:同価格帯・同テイストの商品を軸に提案
- ブログ記事内:記事テーマと連動したコレクションやセットを紹介
このように、Shopifyならではの柔軟なコレクション設計とレコメンド配置を組み合わせることで、商品点数を増やさなくても「見え方」と「導線」だけで売り場の体感価値を高めることができます。結果として、ユーザーは迷わず商品にたどり着き、ストア側は既存の商品構成を最大限に活かした売上づくりが可能になります。
締めくくり
商品構成を見直すという行為は、「いまある商品を整理すること」ではなく、「これからのお客さまとの関係を選び直すこと」でもあります。
どの商品を残し、どの商品を増やし、どの商品にそっと幕を引くのか。その一つひとつの判断が、ストアの世界観を少しずつ形づくっていきます。
数字を追う視点と、ブランドらしさを守る視点。
効率と、遊び心。
売れ筋と、挑戦枠。
そのあいだを行き来しながら、仮説を立て、Shopify上で試し、また組み替えていく。
この往復運動こそが、変化し続ける市場の中で、ストアを「動き続ける存在」にしてくれます。
今日見直した商品構成は、あくまで「いま」の最適解にすぎません。
季節が変われば、お客さまの気分も変わり、ストアの役割も少しずつ変わっていきます。だからこそ、一度決めた形に固執するのではなく、定期的に問い直し続けることが大切です。
「この商品構成は、本当にいまの自分たちとお客さまに合っているだろうか?」
その問いを忘れずに、Shopifyの管理画面をひらくたびに、少しだけ視点を変えて眺めてみてください。
その小さな違和感や気づきが、次の一手につながり、ストアの未来の売れ筋を、いま静かに棚の中で育てているのかもしれません。

