年間を通じて安定して売上を伸ばしていくためには、日々の運営だけでなく、「いつ・何を・どのように売るか」を計画的に考えることが重要です。特に、季節の変わり目やクリスマス、バレンタイン、セール期などのイベントは、オンラインショップにとって大きなチャンスとなります。一方で、準備が不十分なままその時期を迎えてしまうと、在庫やページ構成が追いつかず、機会損失につながることも少なくありません。
本記事では、Shopifyを使っている非エンジニアの運営担当者の方を対象に、季節やイベントに合わせた販売戦略をどのように立て、ショップに反映していくかを整理して解説します。具体的には、「どのイベントを重視すべきかの考え方」「シーズン商品や特集ページの組み立て方」「バナーやコレクションの見せ方」「クーポンやキャンペーンの基本的な設計」など、実務にすぐ活かせるポイントを中心に取り上げます。
専門用語や複雑なアプリ設定には踏み込みすぎず、Shopifyの標準機能をベースに、「まず何から始めればよいか」「毎年繰り返して使える型をどう作るか」を分かりやすく紹介していきます。季節・イベントごとの売上を計画的に伸ばしたい方は、自店舗に置き換えながら読み進めてみてください。
目次
- 季節・イベント別に売れやすい商品を整理し優先度を決める方法
- 年間カレンダーを作成して販促時期と作業スケジュールを逆算する
- 期間限定コレクションと商品ページの見せ方を最適化するポイント
- トップページとバナーを季節感に合わせて効果的に更新する方法
- クーポンやセール設定で利益率を守りながら割引施策を行うコツ
- メルマガとSNSを連動させた季節キャンペーン告知の進め方
- イベント後の売上データを活用した次シーズンへの改善手順
- 最後に
季節・イベント別に売れやすい商品を整理し優先度を決める方法
まず行うべきは、過去の売上データやショップ内の検索履歴から「どの季節・イベントで、どの商品が動いているか」を洗い出すことです。Shopifyのレポート機能で、月別・週別の売上を確認し、売れるタイミングが偏っている商品に印を付けていきます。次に、カレンダーに「母の日」「父の日」「ボーナス時期」「お中元」「クリスマス」「年度末」など、自店に関係しそうなイベントを書き出し、各イベントごとに関連しそうな商品をひも付けます。この段階では「売れた実績があるもの」と「まだ試していないが相性が良さそうなもの」を分けて整理するのがポイントです。
- 実績商品:過去に特定の季節・イベントで売上が上がった商品
- 拡張候補:既存のお客様のニーズから見て、同じイベントで提案しやすい関連商品
- 在庫調整が必要な商品:生産リードタイムが長く、事前準備が必要な商品
- テスト商品:新しく追加したい小ロットの季節商品・限定商品
| イベント | 商品タイプ | 優先度 | 判断基準 |
|---|---|---|---|
| 母の日 | 実績商品(ギフトセット) | 高 | 前年同週比で売上増・レビュー件数が多い |
| 夏ボーナス | 拡張候補(高単価アイテム) | 中 | アクセスは多いが、カート投入率が課題 |
| ハロウィン | テスト商品(小物・セット) | 低〜中 | 自店との親和性はあるが実績がない |
優先度を決める際は、「売上貢献度」「利益率」「在庫リスク」「準備工数」という4つの観点で整理すると判断しやすくなります。たとえば、過去に売上が大きく、利益率も高い実績商品は、写真の撮り直しや特集ページの作成などに時間をかける価値があります。一方で、利益率が低い大量在庫商品は、イベント中にまとめ買いキャンペーンやセット販売で在庫圧縮を狙う、といった役割を与えます。このように、各イベントごとに「どの商品にリソースを集中させるか」を決めておくと、バナー制作・メルマガ・SNS投稿の内容も迷いにくくなり、全体の販売計画が組み立てやすくなります。
年間カレンダーを作成して販促時期と作業スケジュールを逆算する
季節・イベントに合わせた販売を安定して行うには、まず「いつ、何に力を入れるのか」を1年単位で見える化することが重要です。Excelやスプレッドシート、あるいは紙の年間カレンダーでも構いません。ポイントは、売上が動きやすい時期と作業に時間がかかるタスクを同じカレンダー上に整理することです。例えば「3月:新生活」「6月:父の日」「11月:ブラックフライデー」など、イベント名と、そこで狙いたい商品カテゴリを書き出しておくと、月ごとのテーマが明確になります。
| 月 | 主なイベント | 販売テーマ例 |
|---|---|---|
| 3月 | 卒業・新生活 | スターターセット、ギフト |
| 6月 | 父の日 | 名入れ商品、実用品 |
| 9月 | 敬老の日 | 健康・リラックス系 |
| 11月 | セールシーズン | まとめ買い・在庫処分 |
年間カレンダーには、イベントそのものだけでなく、それに向けた準備タスクを逆算して書き込むことが実務上のポイントです。例えば、6月の父の日セールを行う場合、1〜2か月前から以下のような作業を配置します。
- −60〜45日前:企画決定(対象商品・割引率・セット内容)
- −45〜30日前:商品ページの見直し、バナー素材の準備、メルマガ本文案作成
- −30〜14日前:在庫確認・発注、配送リードタイムの再確認
- −14〜7日前:Shopify上でディスカウント設定のテスト、トップページ構成の準備
- イベント開始前:告知メール配信、SNS投稿の予約設定
この逆算カレンダーは、単にタスクを並べるだけでなく、「誰が・何を・どのツールで」行うかまで書き込むと抜け漏れが減ります。Shopifyの管理画面で完結する作業(ディスカウント設定、コレクション作成、テーマのセクション入れ替えなど)と、外部ツールを使う作業(バナー制作、メルマガ配信、SNS投稿予約など)を視覚的に分けておくと、オペレーションが整理しやすくなります。また、年ごとに同じテンプレートを使い回し、実績をメモしておくことで、翌年以降は改善ポイントを踏まえたスケジュールに更新していけます。
期間限定コレクションと商品ページの見せ方を最適化するポイント
季節やイベントに合わせたコレクションは、「特別感」を演出しつつも、ユーザーが迷わず探せる構成が重要です。トップページでは、期間限定の特集バナーを大きく出しつつ、同時にグローバルナビやコレクション一覧にも同じ名称でリンクを配置し、一貫性を持たせます。商品点数が多い場合は、テーマのコレクションページ設定で「並び替え」を活用し、まずは「おすすめ」や「新着順」で表示、その上でタグやフィルターを使い「カラー」「サイズ」「価格帯」など、ユーザーが直感的に絞り込める導線を用意します。
- 限定期間・対象イベントを明示(バナーやコレクション説明文に期間とテーマを記載)
- 視覚的なまとまり(サムネイルの背景色や撮影テイストを揃え、一覧で世界観を統一)
- 購入判断に必要な情報を手前に配置(価格、サイズ展開、在庫状況は一覧でも分かりやすく)
- 回遊先を用意(特集コレクション下部に「通常ラインナップを見る」などのリンクを設置)
| 商品ページの要素 | 期間限定向けの工夫 |
|---|---|
| 商品タイトル | [春限定]など、季節・イベント名を含めて一覧でも分かるようにする |
| メイン画像 | 季節感のある背景や小物を使い、通常商品との違いを一目で伝える |
| 説明文 | 冒頭で「販売期間」「おすすめシーン」「通常商品との違い」を短く整理 |
| CTA周り | カートボタン付近に「◯月◯日まで」など、終了時期を簡潔に表示 |
トップページとバナーを季節感に合わせて効果的に更新する方法
まず意識したいのは、「季節感=色と写真」と「ショップの世界観」のバランスです。トップページ全体を大きく作り変えるのではなく、テーマカラーのトーンを少し変えたり、メインビジュアルの写真を差し替えるところから始めると、運用負荷を抑えながらも印象を更新できます。例えば、春は淡いトーンと柔らかい光の写真、夏はコントラストの強い写真とクリアな色、秋冬は落ち着いた色味や質感のある素材を意識します。大切なのは、季節感を出しながらも、ロゴやフォント、基本レイアウトといったブランドの骨格は変えずに「いつものお店」と認識できる状態を保つことです。
バナーは「どんな行動をしてほしいか」を明確にして設計します。デザインを考える前に、以下のような観点を整理すると迷いが減ります。
- 目的:新商品の訴求/セール告知/ギフト提案 など
- 期間:何日間掲出するのか、終了後にどう差し替えるか
- リンク先:特集ページ/コレクションページ/ブログ記事 など
- メッセージ:一言で何を伝えたいのか(例:「母の日ギフト特集」)
テキストは短く、フォントサイズはスマートフォンで読みやすい大きさを基準にします。特にスマートフォンでは、文字を詰め込みすぎると読まれませんので、「キャッチコピー+一言説明+ボタンテキスト」程度に抑えるのが運用上も扱いやすいです。
| 季節・イベント | トップの見せ方 | バナーの役割 |
|---|---|---|
| 春(新生活) | 明るい写真で「始まり」を印象づける | 新生活向けセット商品への導線 |
| 夏(セール) | 余白を多めにして軽さを演出 | クリアランスコレクションへの誘導 |
| 秋冬(ギフト) | 落ち着いた背景に商品を大きく表示 | ギフト特集・ラッピング案内ページへ誘導 |
| イベント(母の日など) | 通常デザインにワンポイント装飾を追加 | 限定ページ・予約商品への入口に徹する |
運用面では、季節やイベントごとにあらかじめ数パターンのバナーを用意し、Shopifyのテーマエディタで差し替えるだけにしておくとスムーズです。「いつ更新するか」「どのバナーに変えるか」を簡単なカレンダーやシートにしておくと、制作の抜け漏れが減ります。期間終了後にすぐ通常バナーへ戻せるよう、常に「基本版バナー」と「季節版バナー」をセットで管理することも、安定した売場づくりにつながります。
クーポンやセール設定で利益率を守りながら割引施策を行うコツ
まず重要なのは、「いくら割り引くか」ではなく「どこまでなら割り引いても利益が残るか」を明確にしておくことです。ざっくりとでも構わないので、仕入れや製造費用だけでなく、送料・梱包資材・決済手数料・広告費まで含めた原価を出し、そこから最低限確保したい利益率を決めておきます。そのうえでクーポンを作る際は、通常価格からではなく「最低限守りたい利益率」が保たれるラインから逆算して、割引率や割引額を設定すると、感覚ではなく数字に基づいた施策になります。
- 割引率ではなく割引上限額を設定して、想定外の値引きにならないようにする
- 「まとめ買い割引」は客単価アップとセットで考え、総利益が増える条件を決める
- 期間限定クーポンは在庫消化目的など、明確なゴールと紐づける
- リピーター向けと新規向けでクーポン内容を分け、利益構造をコントロールする
| 施策タイプ | おすすめ設定例 | 利益を守るポイント |
|---|---|---|
| 新規客向けクーポン | 10%OFF+割引上限1,000円 | 広告費の一部と考え、上限額を必ず設定 |
| 季節セール | 対象商品を価格帯別に一律値引き | 粗利の低い商品は割引対象から外す |
| セット販売 | 2点以上で合計金額から5〜8%OFF | 客単価UPにより総利益が増える組み合わせに限定 |
メルマガとSNSを連動させた季節キャンペーン告知の進め方
季節キャンペーンでは、まずメルマガを「軸」、SNSを「拡散・補完」として設計します。メルマガでは、キャンペーンの全体像・期間・特典内容・ショップ側の意図をしっかり伝え、SNSでは「断片的で理解しやすい情報」を小出しにしていきます。たとえば、メルマガで詳細なキャンペーン案内を配信した当日〜翌日に、SNSで「要点を3つだけ抜き出した投稿」を行い、メルマガへの誘導リンクやショップへの来訪導線を添えます。これにより、メルマガで理解→SNSで想起・再認識という流れを作りやすくなります。
- 配信カレンダーを一元管理:Googleカレンダーやスプレッドシートで、メルマガ配信日とSNS投稿日を同じシート上で管理する。
- 役割分担を明確化:メルマガは「深い説明・理由づけ」、SNSは「画像・動画での雰囲気訴求」と決めておく。
- メッセージの一貫性:キャッチコピー、割引率、キャンペーン名称は媒体ごとに変えず、基本フレーズを統一する。
| タイミング | メルマガの内容 | SNSの内容 |
|---|---|---|
| 7〜10日前 | 予告配信:期間・対象商品のチラ見せ | カウントダウン投稿・ビジュアルの先出し |
| 開始当日 | 本告知:クーポンコードや条件を詳細に案内 | 要点3つ+ストーリーズやリールで雰囲気訴求 |
| 中盤 | 売れ筋ランキング・スタッフのおすすめを紹介 | ユーザー投稿のシェアや簡単なアンケート |
| 終了前 | ラストコール:終了日時を明記し再案内 | 「あと◯時間」で締めのリマインド投稿 |
イベント後の売上データを活用した次シーズンへの改善手順
イベント終了後は、まず「感覚」ではなく「数字」で振り返ります。Shopifyのアナリティクスやレポート機能から、期間をイベント開催前後で絞り込み、どのページ・どの商品がどの程度見られ、カート投入・購入に至ったかを確認します。特に確認したいのは、売上・アクセス数・コンバージョン率・平均注文額の4点です。これらを、通常期との比較で見ることで、「イベントだから売れた」のか「恒常的に人気がある」のかを切り分けられます。
- よく売れた商品と、アクセスは多いが売れなかった商品を分けて把握する
- クーポン利用の有無や、割引率ごとの反応をチェックする
- 広告・メルマガ・SNSなど、流入経路ごとの成果を確認する
| 確認したい指標 | 見るポイント | 次シーズンでの活かし方 |
|---|---|---|
| 売上TOP商品 | 在庫切れタイミング・利益率 | 発注数増・セット販売の軸にする |
| 閲覧数が多いのに売れない商品 | 価格・説明文・画像 | 価格調整や訴求内容の見直し |
| 流入チャネル別売上 | 広告費とのバランス | 効果の高いチャネルに予算を集中 |
分析結果をもとに、次シーズンでは「やめること」「続けること」「強化すること」を具体的に決めます。たとえば、反応が弱かったバナーのデザインは流用せず、クリック率の高かったパターンを基準に作り直します。割引率が高すぎて利益を圧迫した場合は、同じ売上を維持できる範囲で割引設定を見直します。また、好評だった商品は在庫を多めに確保しつつ、関連アイテムを同じコレクションにまとめ、特集ページやバンドル商品として販売するなど、ストア構成や商品構成も併せて調整します。
- 成果が出たキャンペーン要素(期間、割引率、訴求コピー)はテンプレート化する
- 在庫不足・配送遅延などのオペレーション課題は、チェックリストにして準備段階で潰す
- 反応の高かったセグメント(リピーター、新規顧客など)ごとに、次シーズン向けメールやフローを設定する
最後に、次シーズンの実行計画を「いつ・誰が・何をするか」まで落とし込み、カレンダーに紐づけます。たとえば、イベントの1か月前にバナー差し替え、3週間前にメルマガ初回配信、2週間前にリマインド、終了後3日以内にサンクスメールとレビュー依頼、といった形で具体的なタスクを設定します。Shopifyのディスカウント機能や、メール配信アプリのスケジュール機能を活用し、なるべく事前に仕込んでおくことで、当日は運営に集中できます。こうして、データの振り返りから改善案の作成、タスク化までを毎回同じ流れで行うことで、季節・イベント施策の精度を少しずつ高めていくことができます。
- イベント終了直後に「振り返りミーティング」の日時を決めておく
- 前回のレポートと今回の結果を同じフォーマットで記録し、比較しやすくする
- 小さな改善でも、必ず次のシーズン用チェックリストに追加しておく
最後に
本記事では、季節やイベントに合わせた販売戦略を考える際の基本的なポイントと、Shopifyで実践するための具体的なヒントをご紹介しました。
重要なのは、「一年を通したカレンダーを作り、事前に準備すること」と「振り返りを行い、次回に生かすこと」です。大掛かりなキャンペーンでなくても、バナーや商品コレクション、文言や画像を少し工夫するだけで、ショップ全体の印象や売れ行きは変わっていきます。
まずは、自店にとって優先度の高い季節・イベントを一つか二つ選び、小さくテストしながら改善を重ねていくと無理なく取り組めます。今回ご紹介した手順やチェックポイントを、自社のブランドやお客様の特性に合わせてカスタマイズし、継続的な運用につなげていってください。

