オンラインショップを運営していると、「このページはどれくらい見られているのか」「どの商品がよくチェックされているのか」「どこからお客様が来ているのか」といった疑問が自然と出てきます。これらの疑問に答えるための代表的なツールが、Google Analytics(グーグルアナリティクス)です。
しかし、実際に使おうとすると、
– 設定方法がよく分からない
– どの画面を見ればよいのか迷ってしまう
– 専門用語が多くて難しく感じる
といった理由から、導入を後回しにしている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、Shopifyを運営している方向けに、Google Analyticsの基本的な設定方法と、最低限おさえておきたい画面や指標の見方を、できるだけ専門用語を使わずに解説します。
技術的な知識があまりない方でも、自社ショップの現状を把握し、日々の運営に活かせるようになることを目的としています。まずは「正しく計測できる状態にする」ことから始め、そのうえで「どこを、どう見るとよいのか」を順を追って見ていきましょう。
目次
- ShopifyとGoogle Analyticsを連携する前に確認しておきたいポイント
- ShopifyストアとGoogle Analyticsの基本的な連携手順
- 標準で確認しておきたい主要レポートの見方と活用方法
- 集客状況を把握するためのトラフィック分析のチェックポイント
- 商品ページとカート周りの行動を理解するためのコンバージョン分析
- 売上向上につなげるためのセグメント活用と簡易レポート例
- 日次と月次で行いたいGoogle Analyticsの定期チェック項目と運用のコツ
- 最後に
ShopifyとGoogle Analyticsを連携する前に確認しておきたいポイント
まず押さえておきたいのは、「どのデータを誰が見るのか」をあらかじめ整理しておくことです。Google Analyticsでは、すべてのアクセスが計測対象になるため、意図せずノイズの多いレポートになりがちです。たとえば、自社スタッフのテストアクセスや、管理画面からのプレビュー閲覧がそのまま集計されると、コンバージョン率や直帰率の数値が実態とかけ離れてしまいます。事前に、社内IPの除外やテスト環境での計測停止といったルールを決め、運用メンバー間で共有しておくと、後から「どれが本当の数字か分からない」という混乱を防げます。
次に重要なのが、「どこまでを成果として計測するか」の線引きです。Shopify側の「注文完了」だけを成果とするのか、カート投入やチェックアウト開始などの中間ステップも追いかけるのかで、必要な設定が変わります。また、複数のマーケティング施策を並行して行う場合、Google Analyticsと広告管理画面の数値がズレやすくなります。あらかじめ、
- 主に見る指標(例:セッション数、コンバージョン率、客単価)
- 確認する頻度(例:毎日・週次・月次)
- 誰がどのレポートを見るか
を決めておくと、数値チェックが「なんとなく眺める」状態から、「意思決定に使える」状態へと変わります。
最後に、連携前にアカウントやプロパティの整理をしておくと、後々のトラブルを減らせます。特に、すでに別サイトでGoogle Analyticsを使っている場合、既存アカウントにShopify用プロパティを追加するのか、あるいはShopify専用に新しく作るのかを早めに決めておきましょう。また、複数人で運用する場合は、権限設定も重要です。
| 確認項目 | おすすめ設定 |
|---|---|
| 社内アクセス | IPフィルタで除外 |
| テスト注文 | テスト期間中は別ビューで計測 |
| アカウント構成 | ブランド単位でプロパティを分ける |
| ユーザー権限 | 閲覧・編集を役割ごとに分離 |
ShopifyストアとGoogle Analyticsの基本的な連携手順
まず前提として、現時点のShopifyは「ユニバーサル アナリティクス(UA)」ではなく、Google Analytics 4(GA4)を使う前提で考えます。管理画面の「設定」→「アプリと販売チャネル」からGoogleチャネル(またはGoogle & YouTubeアプリ)を追加し、指示に沿ってGoogleアカウントとプロパティを接続します。その際、すでに作成済みのGA4プロパティを選ぶか、新規作成しますが、どちらの場合も「ウェブストリームID(測定ID)」が正しく紐づいていることを確認しておくと後のトラブルを避けやすくなります。
接続後は、ストア側の計測範囲をきちんと押さえることが大切です。Shopify側で自動的に送信されるイベント(例:商品閲覧、カート追加、購入完了など)に加え、必要に応じて以下のようなチェックを行います。
- テーマの「オンラインストア > テーマ > カスタマイズ」で、追加の計測タグが二重に入っていないか確認
- 「設定 > プライバシーとコンセント」で、クッキー同意時のみ計測する設定になっている場合は、その仕様を把握
- テスト注文を1件行い、GA4の「リアルタイム」レポートでイベントが届いているか確認
| 確認ポイント | Shopify側の場所 | 目的 |
|---|---|---|
| 計測タグの重複 | テーマ編集 & アプリ | 数字の二重カウント防止 |
| 基本イベント | テスト注文・リアルタイム | 購入計測が動いているか確認 |
| ドメイン設定 | Shopifyドメイン・GA4 | セッション分断を防ぐ |
最後に、ドメインとコンバージョンの扱いも最低限そろえておきます。Shopify側の「ドメイン」で本番用ドメインを接続したうえで、GA4の「管理 > データストリーム > 詳細設定」から、自社ドメインとチェックアウトドメインがクロスドメインとして正しく扱われるかを確認します。また、GA4では「コンバージョン」設定画面で購入イベント(通常 purchase)をコンバージョンとしてオンにしておくことで、レポート上で売上が追いやすくなります。ここまで設定が終われば、日々の分析で必要になる基本的なデータは一通り取得できている状態だと考えてよいでしょう。
標準で確認しておきたい主要レポートの見方と活用方法
まず押さえておきたいのは、「どのレポートを見れば、どんな判断ができるのか」を明確にすることです。標準レポートの中でも、日常的に見るべきなのは、集客(トラフィックの質)、行動(商品ページの貢献度)、コンバージョン(売上・目標達成)の3つです。例えば、集客レポートでは「どの流入経路が売上につながっているか」、行動レポートでは「どの商品ページやコレクションページがよく見られているか」、コンバージョンレポートでは「カート追加後どこで離脱が多いか」を確認します。この3つをひとつの流れとしてセットで見ることで、単なるアクセス数ではなく、売上までの全体像が把握しやすくなります。
- ユーザー獲得レポート:チャネル別(オーガニック検索、SNS、メールなど)のセッション数と売上を比較し、効果的な集客源を特定します。
- ページ・スクリーンレポート:商品詳細ページやコレクションページの閲覧数と直帰率を見て、改善が必要なページを洗い出します。
- コンバージョン(購入ファネル):「商品閲覧 → カート追加 → 決済開始 → 購入完了」の各ステップでの離脱ポイントを把握します。
| レポート | 主な確認項目 | Shopify運営での活用例 |
|---|---|---|
| ユーザー獲得 | チャネル別CVR・売上 | 広告予算の配分を見直す |
| ページ・スクリーン | 商品ページの閲覧数・直帰率 | 画像や説明文の改善対象を決める |
| コンバージョン | 各ステップの離脱率 | カートや決済画面のUI改善を検討する |
日常の運営では、これらのレポートを「定点観測」として使うのがおすすめです。例えば、週1回はチャネル別の売上とCVRをチェックし、「今週どの流入が良かったか/悪かったか」を把握します。月1回は商品ページのレポートを見て、PVは多いが購入に結びついていない商品をピックアップし、写真・価格・説明文・レビュー表示の見直しを行います。また、コンバージョンレポートは大きな施策(テーマ変更、アプリ追加、送料ルール変更など)の前後で比較し、施策がカート追加率や購入完了率にプラスかマイナスかを確認する指標として活用すると、感覚ではなく数字に基づいた改善が進めやすくなります。
集客状況を把握するためのトラフィック分析のチェックポイント
集客状況を把握するうえで、まず確認したいのは「どこからお客様が来ているのか」です。Google Analytics では、チャネル別・メディア別のデータを見て、広告・検索・SNS・メールなど、それぞれの流入元の役割を整理します。特にshopifyでは、集客施策ごとにランディングページを分けているケースも多いため、「どのチャネルがどのページに人を連れてきているか」をセットで確認することが重要です。
- チャネル別セッション数:訪問のボリュームを把握
- 新規ユーザー比率:新規集客とリピート訪問のバランスを確認
- ランディングページごとの流入元:施策別の入口ページを把握
- デバイス(PC / モバイル)別トラフィック:スマホ最適化の優先度を判断
| 指標 | 目的 | チェックのポイント |
|---|---|---|
| セッション数 | 集客のボリュームを確認 | 前週・前月との増減を見る |
| ユーザー数 | 実際の訪問者数を把握 | 広告配信やキャンペーンの影響を比較 |
| 直帰率 | 入口ページの質を確認 | 特定チャネルからの直帰が高くないか |
| 平均エンゲージメント時間 | 内容への興味度合いを把握 | 集客元ごとの滞在の長さを比較 |
また、Shopifyの売上と紐づけて集客を評価するためには、トラフィックの質に注目することが欠かせません。同じセッション数でも、購入やカート追加につながる割合がチャネルによって大きく異なります。Google Analytics では、集客レポートと「コンバージョン(購入)」や「イベント(カート追加、会員登録など)」をセットで確認し、「アクセス数が少なくても売上貢献度が高いチャネル」や「アクセスは多いが成果に結びついていないチャネル」を見分けることで、次の広告予算の配分やコンテンツ改善の優先順位を決めやすくなります。
商品ページとカート周りの行動を理解するためのコンバージョン分析
商品ページの分析では、まず「どの商品ページからカート投入が行われているか」を把握することが重要です。Google Analytics では、対象期間を決めたうえで、商品詳細ページ(例:/products/〜)へのアクセス数と、そこから発生した「カートに追加」イベントの数・率を確認します。これにより、ページ閲覧数は多いのにカート投入率が低い商品や、逆に閲覧数は少ないがカート投入率の高い”隠れ優良商品”を見つけることができます。こうした差分が見つかったら、商品説明、価格、画像、レビュー表示の有無など、ページ要素の違いをチェックし、改善の仮説を立てていきます。
| 指標 | 見るポイント | 主な改善の方向性 |
|---|---|---|
| 商品ページ閲覧数 | 集客の強い商品かどうか | 広告・導線・SEOの見直し |
| カート投入率 | 商品訴求が伝わっているか | 説明文・画像・価格・レビューの調整 |
| 離脱率 | 他ページへ誘導できているか | 関連商品やカテゴリへのリンク追加 |
カート周りの行動を理解するには、商品ページからの流れを「カート投入 → カートページ閲覧 → チェックアウト開始 → 購入完了」というステップに分解して、各ステップでの離脱を確認します。特に注目したいのは、次のようなポイントです。
- カート投入はあるが、カートページでの離脱が多い:送料・合計金額・お届け目安などの表示や、クーポン入力欄の分かりやすさを確認します。
- チェックアウト開始後の離脱が多い:入力項目の多さ、ゲスト購入の可否、支払い方法のバリエーションなどを整理します。
- モバイルで離脱が偏っている:ボタン位置やテキストサイズ、読み込み速度など、スマホ特有の使い勝手を見直します。
分析を継続的な改善につなげるには、計測指標をあらかじめシンプルに決めておくと運用しやすくなります。例えば、週次レポートとして以下のような表を用意すると、商品ページとカート周りの状況を短時間で把握できます。
| 商品名 | 商品ページ閲覧数 | カート投入率 | チェックアウト到達率 | 購入率 |
|---|---|---|---|---|
| 商品A | 1,200 | 8.5% | 5.2% | 3.1% |
| 商品B | 450 | 15.0% | 10.0% | 7.5% |
| 商品C | 2,000 | 3.0% | 1.5% | 0.9% |
このように、どの商品がどのステップでつまずいているかを数字で把握することで、ページ改善・送料設定・支払い方法の見直しなど、具体的な打ち手を優先順位をつけて進めやすくなります。
売上向上につなげるためのセグメント活用と簡易レポート例
セグメントは「どのようなユーザーが、どの経路で、どの商品を買っているのか」を切り分けて見るための基本ツールです。たとえば、直近30日間のデータから「スマホ×新規ユーザー」「リピーター×メール経由」「カート追加あり×購入なし」といった条件で絞り込むことで、売上に直結する改善ポイントが見えやすくなります。Shopify側の注文データと照らし合わせながら、Google Analyticsで次のような切り口を定番セグメントとして保存しておくと、毎週のチェックが効率的になります。
- デバイス別:スマホ・PC・タブレットごとのコンバージョン率を確認
- 新規 / リピーター:初回購入と2回目以降では見るべき指標を分ける
- 流入チャネル別:広告、SNS、検索、メールなどの流入元ごとに成果を比較
- 商品カテゴリ別:売れ筋カテゴリと伸び悩みカテゴリを分けて分析
日々の運用では、詳細なダッシュボードを作り込むよりも、「すぐに判断できる」「Shopifyの施策に直結する」簡易レポートにまとめる方が実務では扱いやすくなります。以下は、毎週または毎月の定例確認用に使えるシンプルなレポート例です。
| セグメント | 見る指標 | 確認ポイント | 次のアクション例 |
|---|---|---|---|
| スマホユーザー | CVR / 離脱率 | PCよりCVRが低いか | 商品ページの画像・説明文・ボタン配置を見直す |
| リピーター | 平均注文額 | 新規より客単価が高いか | 関連商品ブロックやまとめ買い割引を検討 |
| カート追加あり・購入なし | 商品別の離脱率 | 特定商品で離脱が多いか | 価格・送料・在庫表示・商品説明を再確認 |
| メール経由 | セッション数 / CVR | 他チャネルよりCVRが高いか | 成果の良い件名・訴求内容をテンプレート化 |
こうした簡易レポートは、Google Analyticsのデフォルトレポートにセグメントを適用し、必要な指標だけを絞ってエクスポートするだけでも十分です。毎回ゼロから分析するのではなく、「見るべき組み合わせ」をあらかじめ決めておくことで、限られた時間でも継続的に改善サイクルを回しやすくなります。ポイントは、数値を見るだけで終わらせず、必ず1つ以上の具体的な施策案をメモしてShopify側で実行することです。この積み重ねが、長期的な売上向上につながります。
日次と月次で行いたいGoogle Analyticsの定期チェック項目と運用のコツ
日次で確認したいのは「異常がないか」のチェックです。特にShopifyでは、テーマ変更やアプリ追加の影響で計測が急に変わることがあるため、毎朝5〜10分だけでも画面を開く習慣をつくると安心です。目安としては、前日比や前週同曜日比で大きな変化がないかを見ていきます。具体的には、トラフィックの急増・急減、コンバージョン率の急な変動、主要デバイス別のセッション数の変化などをざっくり押さえ、気になる数字があればShopifyの受注数や広告管理画面と照らし合わせて原因を探ります。
- 日次でチェックしたい項目
- セッション数・ユーザー数(前日比・前週同曜日比)
- 購入完了(コンバージョン)数とコンバージョン率
- 平均注文値(AOV)の大きな変動の有無
- 主要チャネル(Organic / Direct / Paid / Social)の構成比
- デバイス別(PC / モバイル)のセッション数とCV率
| 頻度 | 主なチェック視点 | 運用のコツ |
|---|---|---|
| 日次 | 異常検知・数値の急変 | 3〜5指標に絞り、毎日同じ順番で確認 |
| 月次 | 傾向把握・改善テーマの抽出 | Shopifyの売上と必ずセットで振り返り |
月次では、売上結果と合わせて「どの集客が効いているか」「どのページがボトルネックになっているか」を整理します。日別のブレよりも、1か月単位での傾向を見るイメージです。例えば、チャネル別のセッション数とCV率を並べて、広告チャネルでアクセスは増えているのに購入数が伸びていない場合は、広告配信内容かランディングページのどちらかに課題があると判断できます。また、ランディングページ別の離脱率・スクロール率を見て、離脱が多いページは画像差し替えや商品説明の書き換え候補としてメモしておくと、次月の改善計画が立てやすくなります。
- 月次でチェックしたい項目
- 月間売上・注文数・平均注文値(ShopifyとGAの両方で比較)
- チャネル別のセッション数・コンバージョン率・売上構成比
- 主要ランディングページの直帰率・スクロールの深さ
- 新規ユーザーとリピーターの比率・CV率の違い
- デバイス別のページ読み込み速度と離脱率
運用を継続するポイントは、「なんとなく見る」をやめて、毎月のテーマを1〜2個に絞ることです。例えば「今月は新規集客の質を上げる」「今月はカート離脱を減らす」などテーマを決め、そのテーマに関連する指標だけを深掘りします。また、日次・月次のチェック内容を簡単なメモやスプレッドシートに残し、前月との比較コメント(良くなった点/悪くなった点/来月試すこと)を書き足すと、数字の変化が「ただの結果」ではなく、次の施策のヒントとして活かせるようになります。
最後に
本記事では、ShopifyストアにおけるGoogleアナリティクスの基本的な設定方法と、日々の運営に役立つ指標の見方についてお伝えしました。
すべてを完璧に理解する必要はなく、「どのページにどれくらい人が来ているのか」「どこで離脱しやすいのか」「どの経路からの集客が売上につながっているのか」といった、まず押さえておきたいポイントだけでも十分に実務に活かすことができます。
最初は画面や用語に戸惑うかもしれませんが、定期的に同じ指標を確認していくことで、自分のストアの「ふだんの状態」がつかめるようになります。そこから少しずつ、集客施策や商品ページの改善、キャンペーンの振り返りなどに活用していくと、数字の変化が具体的な行動と結び付きやすくなります。
Googleアナリティクスは、ストア運営の「答え」そのものを教えてくれるツールではありませんが、「どこを見直すべきか」を示すヒントを与えてくれるツールです。
本記事の内容を参考に、まずは基本的な設定と、主要なレポートの確認から始めてみてください。継続してデータを見ていくことで、自店舗に合った運営判断がしやすくなっていくはずです。