Shopifyでストアを立ち上げる際、「とりあえず公開してから整えればいい」と考えがちですが、最初の設定が不十分だと、後からトラブルが発生したり、修正に余計な時間がかかったりします。配送が正しく計算されない、決済がうまく完了しない、問い合わせ先が分かりにくい、といった問題は、多くの場合「初期設定の抜け漏れ」が原因です。
本記事では、Shopify初心者の方や、専門的な知識を持たないストア担当者の方でも取り組みやすいように、「最初に必ず押さえておきたい10の初期設定項目」を整理してご紹介します。
難しい専門用語はできるだけ避け、なぜその設定が必要なのか、ストア運営にどのような影響があるのかを分かりやすく説明していきます。
この記事の内容を一つずつ確認していただくことで、「最低限ここまで整っていれば、安心してストアを公開できる」という状態を目指すことができます。公開前のチェックリストとして、あるいは公開後の見直し用としてもご活用ください。
目次
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ストア情報と基本設定で最初に確認しておきたいポイント
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支払い方法の設定と売上受け取りのための口座登録
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配送エリアと送料ルールの設計方法と運用のコツ
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税金設定とインボイス対応を見据えた初期設計
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ドメイン設定とSSL有効化で信頼性を高める手順
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通知メールと注文ステータスメールの文章と配信条件の見直し
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プライバシーポリシー利用規約特商法表記など必須ページの整?
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日本語表示テーマの基本調整とスマートフォン表示のチェックポイント
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まとめ
ストア情報と基本設定で最初に確認しておきたいポイント
まず押さえておきたいのは、「お客様にどんなストアとして見えるのか」を決める情報です。
ストア名・メールアドレス・タイムゾーン・通貨
といった基本情報は、後から変更できるものもありますが、運営開始前にできるだけ整えておく方が混乱を防げます。また、管理用の情報(オーナー名や連絡先)と、お客様向けに表示される情報(フッターやお問い合わせページに出る連絡先)が分かれている点にも注意が必要です。設定画面ではどの情報がどこに表示されるのかを意識しながら入力していきましょう。
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ストア名:
ヘッダーやメール、請求書に表示される名称
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ストアの連絡先メール:
注文通知やお問い合わせの受信用
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送信元メールアドレス:
お客様に届く自動メールの差出人として表示
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タイムゾーン・通貨:
注文日時・売上集計・価格表示の基準になる設定
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項目 |
確認ポイント |
影響する場面 |
|---|---|---|
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ストア名 |
ブランド名と一致しているか |
サイトヘッダー・メール件名 |
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連絡先メール |
日常的に確認できるか |
お問い合わせ・エラー通知 |
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送信元メール |
独自ドメインで信頼感があるか |
注文確認メール・発送通知 |
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タイムゾーン |
主要な販売地域と合っているか |
セール期間・レポート集計 |
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通貨 |
実際に受け取りたい通貨か |
商品価格・決済金額 |
あわせて、
会社情報や住所
もできる限り正式な情報を登録しておきましょう。これらは送料計算や税設定だけでなく、フッターに表示される事業者情報や領収書の発行内容にも関わります。もし自宅兼オフィスで住所公開に抵抗がある場合は、ビジネス用の住所(バーチャルオフィスなどを含む)を検討するケースもあります。また、運営メンバーが複数いる場合は、オーナーアカウントとスタッフアカウントを分け、それぞれの権限を整理しておくことで、誤操作や情報漏えいのリスクを減らすことができます。
支払い方法の設定と売上受け取りのための口座登録
まずは、どの決済手段をお客様に提供するかを整理します。国内向けであれば、
クレジットカード決済
と
コンビニ払い
を基本に、必要に応じて
銀行振込
や
代金引換
を検討すると運用しやすくなります。複数の決済を用意しつつも、管理が複雑になりすぎないように、まずは「最小限のよく使われる手段」からスタートするのがおすすめです。特にクレジットカードは、Shopify ペイメントを利用することで、個別のカード会社との契約を行わずに導入できます。
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クレジットカード
:利用率が最も高い基本手段
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コンビニ払い
:カードを持たない層へのカバー
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銀行振込
:法人・高額商品に相性が良い
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代金引換
:未払いリスクは低いが、返品時の手間に注意
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決済手段 |
特徴 |
運用ポイント |
|---|---|---|
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Shopify ペイメント |
カード・一部ウォレットを一括管理 |
手数料と入金サイクルを事前確認 |
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外部決済サービス |
PayPal など追加手段として |
アカウント開設と連携テストが必要 |
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銀行振込 |
シンプルだが入金確認は手動が基本 |
支払期限と振込名義のルールを明記 |
売上の入金先となる銀行口座は、できれば
プライベート口座とは分けた事業用口座
を登録します。Shopify の管理画面から、金融機関名・支店名・口座種別・口座番号・名義を入力し、フォーマットどおりに正確に登録してください。特に、名義の全角・半角やスペースの有無が原因で振込エラーになるケースがあるため、通帳やネットバンキング画面を見ながら入力するのが安全です。また、口座を変更する場合は、
入金サイクルの切り替わりタイミング
を確認し、売上が宙に浮かないように注意しながら更新しましょう。
配送エリアと送料ルールの設計方法と運用のコツ
まずは、自社の「届けたいお客様」と「利益を確保できる範囲」を整理して、エリア区分の軸を決めます。多くのストアでは、
都道府県別
か
地域ブロック別(北海道・本州・四国・九州など)
での設定が現実的です。配送会社の料金表をもとにしつつ、ショップ側で吸収できるコストと、お客様に負担してもらう金額のバランスを考えます。その際、離島や中継料が必要な地域は、あらかじめ
別エリア扱い
にしておくと、後からのトラブルを防げます。
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一律送料
:単価の高い商品・全国均一のサービスに向いている
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地域別送料
:宅配業者の実費に近づけたい場合に有効
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重量・価格別送料
:カゴの合計金額や重さに応じて自動計算
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送料無料ライン
:平均注文単価を上げたいときの基本施策
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エリア |
送料 |
補足ルール |
|---|---|---|
|
本州 |
¥700 |
¥8,000以上で送料無料 |
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北海道・九州 |
¥900 |
クール便は+¥200 |
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沖縄・離島 |
¥1,400 |
大型商品は個別見積もり |
運用面では、
「例外」と「コスト変動」への対応ルール
を最初に決めて、メモしておくことが重要です。たとえば、定期的に配送会社の運賃を見直すタイミングを決めておく、セール期間中だけ一時的に送料無料ラインを下げる、といった運用ルールをあらかじめ設計しておきます。また、商品ページやカート画面の近くに「送料の早見表」や「送料無料条件」を簡潔に表示し、お客様が
購入前に送料をイメージできる状態
をつくることで、カゴ落ちを減らせます。トラブルが起きた場合は、その事例をもとにエリアや金額設定を見直し、
「現場で起きたことを設定に反映する」
サイクルを回すことが、運用の安定につながります。
税金設定とインボイス対応を見据えた初期設計
日本の消費税は「いつ・どの取引に・いくら課税するか」を明確にしておくことが重要です。Shopifyの税金設定では、まず
事業者区分
(免税・課税)、
所在地
(都道府県)、そして
配送地域ごとの税率
を整理してから入力します。とくに海外発送やデジタル商品を扱う場合は、最初から「課税対象」と「非課税・不課税」を区別する前提で商品登録のルールを決めておくと、後からの修正や顧客への説明トラブルを避けやすくなります。
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ショップ所在地
:都道府県・郵便番号を正確に登録
-
税区分の方針
:すべて課税/一部非課税などの基本ルールを決定
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商品ごとの税扱い
:食品・書籍など軽減税率商品の有無を確認
-
送料の扱い
:送料・手数料を課税対象にするかを統一
インボイス制度(適格請求書)を見据える場合、注文データと帳票(領収書・明細)の設計を最初から「税務署に見せても困らないレベル」にそろえておくことがポイントです。少なくとも、
適格請求書発行事業者かどうか
、
登録番号
、
税率ごとの税込・税抜金額
を管理・出力できるようにしておくと、会計ソフトとの連携や顧問税理士とのやり取りがスムーズになります。以下のような情報を、ストア情報やメールテンプレート、PDF明細(アプリ利用の場合)に反映できる形で設計しておきましょう。
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項目 |
設定のポイント |
|---|---|
|
登録番号 |
ショップフッターや領収書に必ず表示 |
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発行者情報 |
屋号・住所・電話番号を統一表記に固定 |
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税率区分 |
10%/8%など税率ごとに合計表示できる形で管理 |
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明細粒度 |
商品単位で税額が追えるようSKUと紐づけ |
ドメイン設定とSSL有効化で信頼性を高める手順
まず取り組みたいのは、「どのURLが正しいお店なのか」をお客様に一目で伝えることです。Shopify管理画面の「ドメイン」から独自ドメインを接続し、メインとして使用するドメインを明確にします。目的は見た目を整えることだけでなく、検索結果やSNSで共有されたときに、常に同じURLへアクセスさせることです。これにより、ブックマークや再訪問もしやすくなり、「このお店で合っている」という安心感につながります。
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ブランド名に近いドメイン
を選び、他サービスと混同されないようにする
-
メールアドレスも同じドメインにそろえ、
一貫した印象
を持たせる
-
Shopify側で
リダイレクト(wwwあり/なしの統一)
が効いているか確認する
-
検索結果やSNSプロフィール欄のURLも
必ず最新のドメインに更新
する
次に、SSL(https)を有効化し、ブラウザのアドレスバーに「鍵マーク」を表示させます。Shopifyでは基本的に証明書は自動発行されますが、反映までに時間がかかったり、外部ドメイン側の設定が原因でエラーになることもあります。そのため、公開前に以下を確認しておくと安全です。
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確認ポイント |
チェック内容 |
|---|---|
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URL表示 |
https:// で始まっているか |
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ブラウザの警告 |
「安全ではありません」などが出ていないか |
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画像やバナー |
http画像が混在していないか(鍵マークが外れない原因) |
最後に、SSLが有効な状態でストア全体の動作をテストします。トップページだけでなく、商品ページ、カート、チェックアウト、問い合わせフォームまで順にアクセスし、すべてのページで「https」と鍵マークが維持されているかを確認してください。特に、外部サービスのバナーや埋め込みフォームは、httpリンクが残りやすい箇所です。必要に応じて、
外部リンクや埋め込みコードをhttps版に差し替える
ことで、決済時も含めて一貫して「安全なサイト」として表示されるように整えていきます。
通知メールと注文ステータスメールの文章と配信条件の見直し
Shopifyが自動送信するメールは、初期設定のままだと「無機質」「情報不足」になりがちです。まずは、どのメールがいつ送られているかを把握し、ブランドのトーンに合わせて文章を整えます。特に、購入体験に直結するものから優先的に見直すと効率的です。
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注文確認メール:
購入直後に届くため、安心感と今後の流れを明確に記載
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発送通知メール:
配送会社・追跡番号・お届け目安をわかりやすく表示
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配送遅延や在庫切れ時:
遅延理由と対応策(キャンセル可否・代替案)を簡潔に案内
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アカウント関連メール:
パスワードリセットや会員登録完了メールもブランドトーンに合わせる
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メール種別 |
見直しポイント |
配信タイミング |
|---|---|---|
|
注文確認 |
購入内容・合計金額・今後の流れを簡潔に |
決済完了直後 |
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発送通知 |
追跡リンク・お届け目安・問い合わせ先を明記 |
出荷処理完了時 |
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キャンセル/返品 |
返金方法と日数、注意事項を短く整理 |
ステータス変更時 |
次に、どのステータスのときに、どのメールを送るかを整理します。「とりあえず全部オン」にすると、お客様が類似のメールを何通も受け取り、かえって混乱を招くことがあります。逆に、
発送通知をオフにしたまま
など重要メールが送られていないケースもあるため、以下の観点で配信条件を決めておきます。
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必須で送るもの:
注文確認、発送通知、キャンセル・返品受付
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必要に応じて検討:
「支払い保留」「一部出荷」「予約販売のリマインド」など
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重複を避ける:
アプリが独自の通知メールを送る場合、内容やタイミングがかぶらないかを確認
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テスト送信の実施:
文言・差出人名・件名・改行崩れを、実際のメールクライアントでチェック
文章を編集する際は、専門用語を避け、問い合わせを減らすための情報を優先的に盛り込みます。例えば、注文確認メールには「よくある質問」ページへのリンクや、サポート窓口の営業時間を記載しておくと、サポート負荷の軽減につながります。また、件名に
「【店舗名】」「ご注文ありがとうございます」
などを入れることで、お客様が受信ボックスで探しやすくなります。必要に応じて、
配送予定日が変わる可能性
や
年末年始などの特別なスケジュール
を定型文として用意し、毎回ゼロから書き換えなくても対応できる運用にしておくと、非技術者でも扱いやすくなります。
プライバシーポリシー利用規約特商法表記など必須ページの整?
まず、ネットショップ運営では、
プライバシーポリシー
と
利用規約
、そして
特定商取引法に基づく表記
が最低限必要な「お店のルールブック」です。Shopifyでは、テーマ側にそれぞれリンクを設定するだけでなく、内容ページをきちんと用意し、フッターメニューなどからいつでも確認できるようにしておくことが重要です。とくに日本の顧客は「このお店は信頼できるか」を細かく確認する傾向があるため、住所や連絡先、返品条件などを明確に書いておくことで、問い合わせやトラブルの予防にもつながります。
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プライバシーポリシー:
取得する個人情報の種類、利用目的、第三者提供の有無、保管期間
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利用規約:
会員登録の条件、禁止事項、注文の成立タイミング、アカウント停止条件
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特定商取引法表記:
販売業者名、運営責任者名、所在地、電話番号、販売価格、送料・手数料、支払い方法、返品・キャンセル条件
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ページ種別 |
shopifyでの設置ポイント |
実務上のポイント |
|---|---|---|
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プライバシーポリシー |
「設定」→「ポリシー」→該当欄に貼り付け |
Googleアナリティクス等の利用も明記 |
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利用規約 |
固定ページで作成し、フッターメニューにリンク |
決済確定のタイミングをはっきり書く |
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特定商取引法表記 |
「設定」→「ポリシー」→特商法欄に記入 |
実在する住所・電話番号を必ず記載 |
日本語表示テーマの基本調整とスマートフォン表示のチェックポイント
日本語でストアを見せる場合、まずはテーマの文言とフォントを整えることが重要です。管理画面の「オンラインストア → テーマ → カスタマイズ」から、ボタンやメニュー、カートまわりに英語が残っていないかを確認し、必要に応じてテキストを日本語に書き換えます。あわせて、日本語に適したフォント(例:Noto Sans JP、游ゴシックなど)や文字サイズも調整し、読みやすさを優先します。特に長めの商品名や説明文は、改行位置や行間が詰まりすぎていないかを実機で確認しておきましょう。
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メインメニュー
:カテゴリ名は短く、意味がすぐ伝わる日本語に統一
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ボタン文言
:「Add to cart」→「カートに入れる」など自然な表現に変更
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フッターテキスト
:特商法表記、プライバシーポリシーなど法務ページへの導線を明確に配置
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価格表示
:「¥」と「税込・税別」の表記をそろえ、誤解を生まない表現に統一
スマートフォン表示では、PCよりも情報量を絞り、「縦に読み進めやすいか」を基準にチェックします。以下のような観点をもとに、テーマカスタマイズとプレビューを繰り返しながら調整すると、離脱を防ぎやすくなります。
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チェック項目 |
ポイント |
|---|---|
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ヘッダー |
ロゴが大きすぎず、ハンバーガーメニューが押しやすい位置にあるか |
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商品画像 |
縦長すぎないか、スワイプ操作で複数画像を見やすいか |
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ボタン |
「カートに入れる」など主要ボタンが親指で押しやすい大きさか |
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テキスト |
改行が不自然でないか、1行あたりの文字数が多すぎないか |
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フォーム |
お問い合わせや会員登録フォームで入力欄が小さすぎないか |
まとめ
以上、Shopifyストアを運営するうえで、最低限おさえておきたい初期設定10項目について整理しました。
これらはどれも「一度きちんと設定しておくことで、その後の運営をスムーズにする」ための土台となる部分です。とくに、決済や配送、税金、プライバシーポリシーなどは、トラブル防止やお客様からの信頼確保にも直結します。
もしまだ設定できていない項目があれば、この機会に一つずつ見直してみてください。すでに設定済みの場合でも、ストアの方針や取扱商品、ターゲットが変わったタイミングで、定期的に内容をチェックすることをおすすめします。
初期設定が整っていれば、今後は商品企画やマーケティング、お客様対応といった「売上につながる活動」に、より多くの時間とエネルギーを割けるようになります。この記事が、日々のストア運営を見直す際のチェックリストとしてお役に立てば幸いです。
