ネットショップの売上を伸ばしたいと考えたとき、すぐに思い浮かぶのは「アクセス数を増やす」「新規顧客を集める」といった対策かもしれません。しかし、同じ数の顧客でも「1回の購入あたりの金額(客単価)」を上げることで、効率よく売上を改善することもできます。
その具体的な方法のひとつが「バンドル販売(商品セット販売)」です。単品で販売している商品を、組み合わせてセットとして提案することで、「どうせなら一緒に買っておこう」「このセットなら便利そうだ」といった自然な形での追加購入を促すことができます。
本記事では、Shopify を利用している非エンジニアの担当者の方を対象に、
– バンドル販売がなぜ客単価アップにつながるのか
– どのような組み合わせが効果的なのか
– 実際に商品セットを作成する際の考え方や注意点
といったポイントを、できるだけ専門用語を使わずに解説します。自社の商品ラインナップを見直しながら、すぐに応用できるヒントとしてお役立てください。
目次
- バンドル販売の基本と客単価アップにつながる考え方
- ターゲット顧客を明確にするためのニーズ整理と商品選定の手順
- よく売れる組み合わせパターンと避けたほうがよいセット構成の例
- 利益率と値引き幅を両立させるバンドル価格設定の考え方
- 在庫管理を踏まえたバンドル商品の組み方とSKU運用のポイント
- 商品ページでの見せ方と説明文の工夫によるバンドルの訴求方法
- Shopifyでバンドル販売を始める際の実装手順と運用上の注意点
- insights and Conclusions

バンドル販売の基本と客単価アップにつながる考え方
まず押さえておきたいのは、「まとめて売る」こと自体が目的ではなく、お客様にとって自然で買いやすい組み合わせになっているかどうかです。単品をただセットにするだけでは、かえって選びづらくなることもあります。日常の購入シーンを想像しながら、どの商品が一緒に使われるか、どの順番で消耗されるかを整理すると、セットの方向性が見えやすくなります。特にShopifyでは商品バリエーションが増えがちなので、「お客様の迷いを減らすセット」になっているかを基準に考えると、客単価アップと購入体験の両方を両立しやすくなります。
- 一緒に使われるアイテム(例:メイン商品+ケア用品)
- 使用シーンが同じアイテム(例:旅行用ミニセット)
- ステップが連続するアイテム(例:洗浄→保湿→仕上げ)
- 頻度の異なるアイテム(例:長く使う本体+すぐ減る消耗品)
客単価アップを狙う際は、「値引き幅」よりも組み合わせの納得感と選びやすさに意識を向けます。例えば、単純な割引よりも「これさえ買えば必要なものが一通り揃う」「どれを選べばよいか迷わない」状態を作る方が、結果としてアップセルにつながりやすくなります。Shopify管理画面では、バンドル用の商品を別商品として登録する方法もあれば、アプリで動的に組み合わせる方法もありますが、どの方法でも重要なのはセット名と内容が一目で理解できることです。下記のように、目的別にバンドルの方向性を整理しておくと、ショップ全体の設計もしやすくなります。
| 目的 | バンドルの考え方 | 設定時のポイント |
|---|---|---|
| 客単価アップ | メイン+関連商品をセット化 | 単品合計より少しお得な価格に調整 |
| 在庫回転 | 売れ筋+動きが遅い商品を組み合わせ | セット名にメリットを明確に記載 |
| 初回購入のハードル低減 | お試し用の小さめセット構成 | 「まずはこれ」の位置づけを明確に表示 |

ターゲット顧客を明確にするためのニーズ整理と商品選定の手順
まず行うべきは、「誰に売りたいか」を年齢や性別ではなく、購入シーンや悩みから整理することです。Shopifyの注文履歴や検索キーワード、よく問い合わせが来る内容を確認し、次のような視点でメモを洗い出します。
- 利用シーン:自宅用・プレゼント用・まとめ買い・定期的な買い替え
- 課題・不満:送料を抑えたい・選ぶのが面倒・失敗したくない・在庫切れを避けたい
- 価値の優先度:価格重視・品質重視・時短重視・デザイン重視
こうして具体的な購入状況を整理することで、「どのようなセットなら自然にカゴに入れてもらえるか」が見えやすくなります。
次に、洗い出したニーズごとに、既存の商品をマッピングしていきます。ここでは「売れている商品」だけでなく、「一緒に買われやすい商品」や「単品では魅力が伝わりにくい商品」にも着目します。Shopifyの分析レポートや、カート追加の組み合わせを参考にしながら、以下のように整理すると、バンドル候補が作りやすくなります。
| ニーズ例 | 候補商品 | セットの方向性 |
|---|---|---|
| 送料を抑えたい | リピート購入される消耗品 | まとめ買いバンドル |
| 選ぶのが面倒 | バリエーションが多い定番アイテム | 「おまかせ」セット |
| ギフトに迷う | レビュー評価が高い主力商品 | 人気商品詰め合わせ |
最後に、整理したニーズと商品の組み合わせが、実際のターゲット像と矛盾していないかを確認します。同じ商品でも、ターゲットによって見せ方や組み合わせは変わります。
- 自分用・リピーター向け:単価より「使い切れる量」「在庫切れ防止」などの安心感を重視したセット
- 初めての購入者向け:「お試し」「定番だけを厳選」することで、選択肢を絞ったシンプルな構成
- ギフト需要向け:パッケージの統一感や開封時の印象を重視し、説明書きや同梱物も含めてセット化
この段階まで整理できていれば、あとはShopify上でバンドルアプリを使い、「どのターゲットに向けたセットか」を明記しながら商品を登録していくだけで、意図の伝わる商品セットを運用しやすくなります。

よく売れる組み合わせパターンと避けたほうがよいセット構成の例
実際のストア運営では、「一緒に買われやすい組み合わせ」と「構成を変えるだけで売れ方が変わるセット」があります。定番として成果が出やすいのは、メイン商品に関連性の高い補完アイテムを足すパターンです。例えば、アパレルなら「トップス+ボトムス+小物」、コスメなら「クレンジング+洗顔+保湿」のように、購入後の使用シーンをひとつの流れで完結させる構成が有効です。Shopifyでは、これらをコレクションやタグでグルーピングしておくと、バンドルアプリでのセット化がスムーズになります。
- 消耗品+ストック分:サプリ・コーヒー豆・洗剤などを「通常サイズ+お得なまとめ買い」で構成
- スター商品+お試しサイズ:一番人気の商品に、関連アイテムのミニサイズを添えるセット
- 初回購入向け基本セット:新規顧客が迷わず選べる「これだけあれば足りる」最低限構成
- 用途別フルセット:「在宅ワーク用」「旅行用」など、シーンを明確にしたフルコーディネート
| パターン | 特徴 | 避けたい例 |
|---|---|---|
| 価格バランス型 | 高単価1+中〜低単価1〜2 | 高単価のみを3点以上詰め込む |
| 用途一貫型 | 使用シーンが1つにまとまっている | 季節・用途がバラバラなアイテム混在 |
| 選択負荷軽減型 | 色やサイズのバリエーションを絞る | 色違い・サイズ違いを大量に詰め込む |
一方で、売れにくいセットには共通点があります。例えば、在庫処分を意識しすぎて人気商品と動きの悪い商品を無理にまとめると、顧客から「不要なものまでついてくる」と感じられやすく、セット自体の魅力が下がります。また、価格帯や質感が大きく異なるブランドを混在させると、世界観が崩れ、ストア全体の印象にも影響します。構成に迷う場合は、「単品で買うときと同じ判断軸で選べるか」「セットにしたことで選択が楽になっているか」を基準に見直すと、実際の購入行動に即したバンドルを組みやすくなります。

利益率と値引き幅を両立させるバンドル価格設定の考え方
バンドルの価格設定では、「お得感」を出しつつも、全体の利益率を下げすぎないバランスが重要です。まずは、単品ごとの原価率と粗利率を整理し、セットに入れる商品ごとに「利益を稼ぐ商品」と「値引きで魅力を出す商品」を役割分担させます。特に、リピート購入されやすい消耗品や、在庫回転を高めたい商品を値引き要員にし、利益率の高い主力商品でセット全体の粗利を支える構成が効果的です。
| 要素 | 単品販売 | バンドル販売 |
|---|---|---|
| 販売価格 | 合計 ¥6,000 | セット ¥5,400 |
| 原価合計 | ¥3,000 | ¥3,000 |
| 粗利 | ¥3,000 | ¥2,400 |
| 粗利率 | 50% | 44% |
このように単純な値引きでは粗利率が下がりますが、バンドルは客単価と在庫回転の向上でカバーできます。実務では、以下のポイントを押さえて価格を決めると、利益率と値引き幅の両立がしやすくなります。
- 目標粗利率をあらかじめ決める(例:セット全体で最低40%を維持)
- お客様に伝える値引き率は10〜20%を目安にし、表示は「◯◯円お得」と金額ベースも併用
- 高粗利商品を1点以上含め、「原価の重い商品」単体では大幅値引きしない構成にする
- 同一バンドルを長期間固定せず、販売データを見ながら利益率とCVRを定期的に見直す
shopify上では、ディスカウントコードや自動ディスカウント機能を使って、単品価格とバンドル価格の差を明確に見せることができます。実際の運用では、まずは「原価合計 × 1.4〜1.5」程度の価格からスタートし、売れ行きと利益を見ながら少しずつ調整していくと無理がありません。値引き幅を大きくしすぎる前に、セット内容の見直し(高粗利商品の追加、数量調整)で対応できないかを検討することで、利益を守りながら「お得感」を維持することが可能です。

在庫管理を踏まえたバンドル商品の組み方とSKU運用のポイント
バンドルを考えるときは、まず「どの在庫を基準に販売数量を決めるか」を明確にします。shopify標準機能だけで組む場合、もっとも在庫数の少ない商品に販売可能数が引っ張られるため、在庫の偏りを生まないようにバランスを見ながらセット内容を設計します。例えば、動きの良いメイン商品1点に対して、在庫がだぶつきやすい関連商品を複数点組み合わせると、在庫圧縮と客単価アップを同時に狙えます。逆に、すべての構成商品の在庫がギリギリの組み合わせは、在庫切れによる機会損失が増えるため避ける方が無難です。
- 在庫回転が速い商品:セットの「軸」として1点だけ入れる
- 在庫が多い商品:まとめて消化する役割として2〜3点入れる
- 季節・キャンペーン商品:販売期間を決めて短期的な在庫消化に活用
| SKU設計パターン | 特徴 | 向いている運用 |
|---|---|---|
| 個別SKUのみ | バンドルはディスカウントルールだけで表現 | SKUを増やしたくない小規模ショップ |
| 専用バンドルSKU | セット用の商品コードを発行し、1商品として管理 | 定番セットを長期的に販売する場合 |
| ハイブリッド | 売れ筋セットのみ専用SKU、それ以外はルール運用 | SKU増加と管理コストのバランスを取りたい場合 |
SKU運用では、「在庫実態」と「販売画面」を切り分けて考えると整理しやすくなります。バックエンドでは、実在庫を持つのはあくまで単品SKUに限定し、バンドルは原則として在庫ゼロの仮想SKU、もしくはディスカウントルールとして実装する方が、棚卸しや仕入れ計画がシンプルになります。そのうえで、Shopifyの商品名・オプション名にセット内容を明記し、スタッフ向けには、どのバンドルSKUがどの単品SKUを何個消費するのかを一覧にした運用表を用意しておくと、ピッキングミスや在庫調整ミスを減らせます。

商品ページでの見せ方と説明文の工夫によるバンドルの訴求方法
バンドルを商品ページで自然に選んでもらうためには、まず「単品との違い」がひと目でわかる見せ方が重要です。たとえば、メイン画像付近に「セット内容が一目でわかるイメージ」を配置し、サムネイルには単品とバンドルを並べて表示します。また、価格表示は単品との差が直感的に理解できるように、セット価格と単品合計金額を近い位置に記載し、割引率よりも「いくらお得か」を具体的な金額で示すと、非テクニカルなスタッフでも運用しやすくなります。
- 商品名:タイトルに「3点セット」「スターターセット」などのキーワードを含める
- サブ見出し:「これだけで○○が始められる」「日常使いに必要なアイテムをまとめました」と用途を明示
- 主なメリット:「まとめて届く」「組み合わせを迷わない」「相性が良い組み合わせ」など体験ベースで記載
- 説明文:テクニックの説明よりも、「どんなお客様に向いているか」「どのようなシーンで使えるか」を中心に記述
| 要素 | 単品商品ページ | バンドル商品ページ |
|---|---|---|
| 画像 | 商品の単体写真 | セット全体+使用イメージ |
| 価格表示 | 単品価格のみ | セット価格+単品合計の比較 |
| 説明文 | 仕様・特徴が中心 | 組み合わせの理由・使い方の流れ |
| 訴求ポイント | 商品の良さ | 「これ1つで完結」の便利さ |
Shopifyでバンドル販売を始める際の実装手順と運用上の注意点
実際の構築では、まず「どのようなセットを、どの画面で、どのように見せるか」を決めるところから始めます。テーマカスタマイズが最小限で済むのは、バンドル専用アプリを使う方法です。Shopify App Store から目的に合うアプリを選び、インストール後に「セット内容(商品・バリエーション)」「割引ルール」「表示位置(商品ページ・カート・コレクションページ)」を設定します。ノーコードで使えるアプリが多いため、テーマのコード編集が不要なものを優先すると運用の手間を抑えられます。
- 在庫管理との連動:単品商品とバンドル在庫が自動で連携するか確認
- 価格表示の分かりやすさ:通常価格との差額や、セット合計金額を明示
- カート・チェックアウトでの表示:バンドル名で表示するか、単品の合算で表示するかを統一
- 送料ルール:セット購入時に送料条件が想定どおり適用されるかテスト
| 運用ポイント | 確認タイミング | 具体的なチェック内容 |
|---|---|---|
| 在庫ズレ防止 | 導入前・更新時 | バンドル販売で単品在庫がマイナスにならないか |
| 返品・交換対応 | 運用ルール策定時 | セットのみ返品可なのか、単品ごとの対応が可能か |
| 分析とPDCA | 月次・キャンペーン後 | バンドル経由の売上・客単価・リピート率を確認 |
運用面では、「開始して終わり」ではなく、販売データを見ながらセット内容や訴求方法を調整していくことが重要です。売れ行きの良い組み合わせと動きの悪い組み合わせを比較し、商品画像・説明文・バンドル名の見直しを行います。また、キャンペーンやセール時に一時的なバンドルを作る場合は、終了日をあらかじめ決め、自動で停止するスケジュール機能の有無も確認しておくと、価格の戻し忘れや在庫トラブルを防ぎやすくなります。
Insights and Conclusions
本記事では、バンドル販売を通じて客単価を高めるための基本的な考え方と、実際のセット作成のポイントを整理しました。
重要なのは、「まとめて売ること」そのものではなく、お客様にとって意味のある組み合わせになっているかどうかです。
・ニーズや利用シーンを意識したセット構成
・商品単体よりも分かりやすいメリットの提示
・在庫や利益率を踏まえた無理のない価格設計
・検証と改善を前提とした運用
これらを意識することで、過度な割引に頼らずに、自然な形で客単価の向上を目指すことができます。
Shopifyでは、アプリやテーマ機能を活用することで、専門的な知識がなくてもバンドル販売を取り入れやすくなっています。まずは少数の商品からテスト的にセットを組み、データを見ながら内容や見せ方を調整していくと、運用の負担を抑えつつ、自店舗に合った形を見つけやすくなります。
自店舗の「よく一緒に買われている商品」や「組み合わせると価値が高まる商品」を改めて洗い出し、お客様とショップ双方にとって納得感のあるバンドルセット作りに活かしてみてください。




