2024年以降、Google アナリティクスは「GA4(Google Analytics 4)」への移行が進み、Shopify を運営する多くの事業者にとっても、アクセス解析の考え方を見直すタイミングとなりました。
一方で、「とりあえず GA4 と Shopify を連携させたものの、どの数値を見ればよいのか分からない」「これまでのユニバーサルアナリティクス(UA)と何が違うのか整理できていない」といった声も少なくありません。
本記事では、技術的な細かい設定方法ではなく、2026年の時点で Shopify ストア運営者が GA4 で”実務的に役立つ指標”に絞って、どのように数字を読み、日々の運営に生かしていくかを整理していきます。
売上や広告、リピーター育成など、EC運営でよくある課題に沿って、「最低限ここだけは押さえておきたい」という指標とその見方を、専門用語をできるだけ避けながら解説します。
GA4 の画面に慣れていない方や、社内で数字のレポートをまとめる立場の方でも、この記事を通じて「自店舗にとって重要な指標はどれか」を判断しやすくなることを目指します。
目次
- GA4とShopifyの連携で押さえるべき基本設定と初期チェックポイント
- 2026年に重視したい集客指標 自然検索 広告 SNSのバランスをどう見るか
- 商品別とカテゴリ別のパフォーマンス分析 売上だけに頼らない評価軸
- カート投入から購入完了までの行動データ 離脱ポイントの見つけ方と改善のヒント
- リピーター分析で見るべき指標 購入頻度 生涯価値 LTVのシンプルな捉え方
- 定期的なレポート設計 日次 週次 月次で追うべき指標と見る順番
- GA4とShopifyレポートの見比べ方 数値の違いが出たときの確認ステップ
- The Way forward
GA4とShopifyの連携で押さえるべき基本設定と初期チェックポイント
まず押さえたいのは、計測の「入り口」と「出口」を間違えないことです。ShopifyとGA4を連携する際は、計測タグが二重になっていないか、そしてすべての重要ページにタグが入っているかを確認します。テーマ側に直接コードを埋め込んでいる場合、Shopifyの「Google & YouTubeチャネル」やタグマネージャーと重複していることがよくあります。重複していると、セッション数や売上が実際より多く見えてしまうため、どの経路でGA4タグを配信するかを一つに決めることが重要です。
- ショップURLとデータストリームの整合性(www有無・サブドメイン)
- 通貨設定(JPYになっているか)
- タイムゾーン(日本時間で集計されているか)
- 拡張計測機能(スクロールやサイト内検索の自動計測ON/OFF)
- 内部トラフィックの除外(自社オフィスIPを除外しているか)
| チェック項目 | Shopify側 | GA4側 |
|---|---|---|
| 購入完了URL | /checkouts/thank_you の確認 |
コンバージョンイベントに反映 |
| 決済アプリ利用 | Shopifyペイメント以外の有無 | 外部決済でセッション切断がないか確認 |
| テスト注文 | テスト用クーポンで実施 | 売上・商品・流入元が正しく記録されているか |
初期段階では、あえて「完璧な分析」より「正しく動いているか」を優先して確認します。最低限、次のポイントを押さえておくと、あとから指標を深掘りしやすくなります。
- 主要イベントの計測
「view_item」「add_to_cart」「begin_checkout」「purchase」が記録されていること。 - コンバージョンの設定
「purchase」をコンバージョンに設定し、目標となる売上のベースにすること。 - チャネル別流入の確認
「自然検索」「SNS」「広告」など、主要チャネルごとの売上が分かる状態になっていること。
2026年に重視したい集客指標 自然検索 広告 SNSのバランスをどう見るか
2026年は、「どのチャネルが一番売上に貢献しているか」だけでなく、「どのチャネルが良質な顧客との接点を増やしているか」を見ることが重要になります。GA4とshopifyを連携したうえで、まず意識したいのは、自然検索は”ブランドの基盤”、広告は”売上のブースター”、SNSは”関係性づくり”という役割分担です。この前提を押さえたうえで、各チャネルごとに「新規率」「リピート率」「平均注文額」「コンバージョンまでの日数・接点数」をGA4のレポートで比較していくと、単純なROASやCPCだけでは見えないバランスが見えてきます。
- 自然検索:指名検索(ブランド名検索)と一般キーワードを分けてセッション数とCVRを確認する
- 広告:新規顧客獲得単価(CAC)と初回平均注文額の差をShopify側の実売データでチェックする
- SNS:リンククリックだけでなく、アシストコンバージョン数や、閲覧後に自然検索へ流れているかをGA4で見る
| チャネル | GA4で見る指標 | Shopifyで見る指標 | 判断のポイント |
|---|---|---|---|
| 自然検索 | エンゲージメント率 直帰率に近い指標 |
カテゴリ別売上 新規/リピート比率 |
「探している人」が来ているかを確認 |
| 広告 | ラストクリックと アシストの両方のCV数 |
初回購入額 LTV(簡易で可) |
単発売上ではなく、数ヶ月単位の採算で評価 |
| SNS | 流入後の回遊数 アシストコンバージョン |
フォロワーからの売上比率 | 「今すぐ客」より「将来の購入候補」づくりとして見る |
最終的には、GA4の「広告」→「アトリビューション」レポートを使い、データドリブンモデルや位置ベースモデルでのコンバージョン貢献度を確認しながら、Shopify側の「売上」「粗利」「リピート率」と突き合わせて意思決定していきます。2026年は、プライバシー強化による計測制限が進むため、チャネル単体ではなく”組み合わせ”で成果を出しているかを見る視点が欠かせません。例えば、
- 広告で知ってもらい、SNSで接点を維持し、最終的に自然検索から購入されるパターン
- SNSの口コミが増えたことで、指名検索経由のCVRが上がるパターン
といった動きを、GA4の経路データとShopifyの受注履歴で一緒に確認し、「どのチャネルを伸ばせば全体の売上とLTVが上がるか」を落ち着いて判断していくことが、2026年に求められる集客戦略の考え方になります。
商品別とカテゴリ別のパフォーマンス分析 売上だけに頼らない評価軸
2026年にGA4とShopifyを連携して見るべきなのは、「どの商品が売れているか」だけではなく、「どの商品やカテゴリが利益と成長にどれだけ貢献しているか」です。たとえば、あるアイテムは売上は高いものの、返品率やクーポン利用率が高く、実質の利益貢献が低いケースがあります。逆に、アクセスは少なくても購入率が高いニッチ商品は、広告を少し足すだけで利益を伸ばせることがあります。こうした見極めには、GA4のイベント(閲覧・カート投入・購入完了など)とShopifyの原価・在庫情報を組み合わせて、商品別・カテゴリ別に「本当に残したい商品」を判断していきます。
- 商品別:閲覧数・カート投入率・購入率・返品率・平均利益額
- カテゴリ別:新規顧客獲得数・リピート購入率・クロスセル率・在庫回転日数
- プロモーション影響:ディスカウント適用率・プロモーション経由の利益率
| カテゴリ | 購入率 | 平均利益率 | リピート率 | 在庫回転 |
|---|---|---|---|---|
| ベーシックTシャツ | 3.2% | 28% | 22% | 14日 |
| 季節限定アイテム | 4.8% | 15% | 9% | 45日 |
| アクセサリー | 2.1% | 33% | 31% | 20日 |
上のような指標をGA4の探索レポートやカスタムディメンションで可視化すると、「売上トップ」ではないカテゴリが、リピート率や在庫回転で店舗全体を支えていることが見えてきます。例えば、アクセサリーのように客単価は低くても利益率とリピート率が高いカテゴリは、「まとめ買い」や「セット販売」の軸として育てる価値があります。一方、季節限定アイテムのように売上は伸びていても在庫回転が悪いカテゴリは、仕入れ量やセールタイミングをGA4の閲覧トレンドと合わせて見直す対象になります。売上ランキングだけで判断せず、こうした複数の軸をもとに、残す商品・推す商品・縮小する商品を定期的に見直すことが、2026年のShopify運営では重要になります。
カート投入から購入完了までの行動データ 離脱ポイントの見つけ方と改善のヒント
GA4とShopifyを連携すると、「カートに追加してから購入完了まで」の一連の行動を、ひとつのストーリーとして追えるようになります。特に意識したいのは、どのステップでユーザーが離脱しているかを明確にすることです。GA4では、add_to_cart・begin_checkout・add_shipping_info・add_payment_info・purchaseといったイベントが標準で用意されているため、これらを時系列で確認するだけでも、ボトルネックになっているステップが見えてきます。Shopify側のチェックアウト設定やカート画面のUI変更と組み合わせて、どこを改善すべきかを具体的に検討できます。
| ステップ | 見るべき指標 | 離脱のサイン |
|---|---|---|
| カート | カート投入数 / セッション | 商品ページ閲覧は多いがカートが少ない |
| チェックアウト開始 | カート→begin_checkout率 | 割引コード入力欄での直帰増加 |
| 支払い情報入力 | add_payment_info率 | 特定の決済方法選択後の離脱 |
| 購入完了 | checkout完了率 | 「購入」ボタン手前でのセッション終了 |
離脱ポイントを特定したら、GA4のセグメント機能で「離脱したユーザー」と「購入まで進んだユーザー」を比較し、どのような共通点・違いがあるかを探ります。たとえば、以下の観点で見直すと、Shopifyの管理画面での改善ポイントが整理しやすくなります。
- デバイス別の差:スマホだけ離脱が多い場合、カートやチェックアウトの表示崩れ・入力項目の多さを疑う
- 集客チャネル別の差:広告経由のみカート離脱が多いなら、商品説明と広告文のギャップを確認する
- クーポン利用有無:クーポン入力で戻る操作が多いなら、Shopifyのディスカウント表示方法や案内テキストを見直す
- 配送・決済条件:特定エリア・特定の決済手段で離脱が集中していないかをチェックする
リピーター分析で見るべき指標 購入頻度 生涯価値 LTVのシンプルな捉え方
リピーター分析では、まず「どのくらいのペースで戻ってきているか」を把握することが重要です。GA4では「ユーザーあたりの購入回数」や「再購入までの日数」を、Shopifyでは「注文履歴」から確認し、カテゴリやキャンペーンごとに比較します。感覚的には、30日以内に2回目の購入が発生していれば、かなり良いペースと捉えやすく、60〜90日を超えるとフォロー施策が必要なシグナルと考えると分かりやすくなります。複雑なセグメントを作りこむよりも、まずは「初回〜2回目」「2回目〜3回目」の間隔を安定して縮められているかを、日付と回数の軸でシンプルに追いかけるのがおすすめです。
- 購入間隔:初回〜2回目、2回目〜3回目の平均日数
- 購入回数分布:1回のみ/2〜3回/4回以上の割合
- チャネル別の再購入率:広告・メルマガ・LINEなど、入口ごとのリピートのしやすさ
| セグメント | 平均購入頻度(半年) | LTV(半年) |
|---|---|---|
| 新規のみ | 1.0回 | ¥6,000 |
| 2回購入 | 2.1回 | ¥14,000 |
| 3回以上 | 3.4回 | ¥26,000 |
LTVは難しい数式で考えるより、「このタイプのお客様が半年〜1年で合計いくら使ってくれているか」をざっくり押さえるほうが運用に活かしやすくなります。GA4で「購入ユーザーの平均収益」を期間別に確認し、Shopifyの顧客一覧では平均注文額と平均購入回数を確認して、「平均注文額 × 平均購入回数 ≒ シンプルLTV」という捉え方で十分です。この数字と、1人の新規獲得にかかっている広告費・クーポン原価を並べて見ることで、「どこまで投資して良い顧客層なのか」を判断しやすくなります。
実務では、すべての顧客を一律に見るのではなく、LTVの高いグループと低いグループを分けて、それぞれに合ったコミュニケーションを考えることがポイントです。GA4では「購入回数」や「収益額」でオーディエンスを作り、Shopifyの顧客タグやセグメントと揃えて運用すると、メール・LINE・広告のターゲティングが整理しやすくなります。たとえば、以下のような簡単な分類から始めるだけでも、メッセージ内容やクーポン設計を変えやすくなります。
- LTV高・購入頻度高:新商品先行案内、定期便・セット提案でロイヤル化
- LTV中・購入頻度中:リピートのきっかけになるコンテンツや使用提案を強化
- LTV低・購入1回のみ:商品満足度の確認と、負担の少ないお試しオファー
定期的なレポート設計 日次 週次 月次で追うべき指標と見る順番
日次は「今日の火種を消す」視点でシンプルに絞り込みます。GA4側では、トラフィックの急増・急減とコンバージョン数、Shopify側では売上・注文数・平均注文額を最初に確認します。そのうえで、問題がありそうなときだけ詳細を見る流れにすると、毎日の確認時間を短く保てます。実務では、朝イチに5〜10分で以下の項目をざっと見て、「異常なし」であれば深追いしない運用が現実的です。
- 日次で最初に見る指標(GA4):ユーザー数 / セッション数、コンバージョン数、主要チャネル別のセッション
- 日次で最初に見る指標(Shopify):総売上、注文数、平均注文額、返金・キャンセル有無
- 日次で必要に応じて深掘り:主要キャンペーン別のパフォーマンス、決済エラー率、カート追加〜購入までの離脱
| 頻度 | 最初に見る | 次に見る | 最後に見る |
|---|---|---|---|
| 日次 | 売上・注文数 | トラフィック推移 | 離脱ポイント |
| 週次 | チャネル別売上 | 商品別・カテゴリ別 | キャンペーン効果 |
| 月次 | LTV・リピート率 | ROAS・CPO | 改善テーマの優先度 |
週次は「どこにテコ入れするか」を決める時間です。GA4では集客チャネル別とデバイス別のコンバージョン率の差を見て、Shopifyでは商品別・コレクション別の売上構成を確認します。見る順番は、まず売上とコンバージョン率、次に「どのチャネル・どの商品が作っている売上か」、最後に「どこで取りこぼしているか」という流れにすると、施策候補が自然と見えてきます。
- 週次で押さえるポイント
- チャネル別売上・CVR(オーガニック /広告 /SNS /メルマガなど)
- 新規 vs リピーターの売上比率(GA4のユーザー属性+Shopifyの顧客区分)
- 商品別 / コレクション別の売上ランキングと粗利イメージ
- カゴ落ち率・決済完了率の週次推移
月次は「事業として正しい方向に進んでいるか」を確認する場と考えます。日次・週次で見ている指標を俯瞰し、「今月の顧客をどれだけ来月・来期の売上につなげられそうか」を評価するために、LTV、リピート率、広告の費用対効果をセットで見ます。GA4ではオーディエンス別のエンゲージメントやリピート行動、shopifyでは顧客ごとの累計購入金額や購入回数を確認し、「広告で取った新規がどれだけ定着しているか」を指標化しておくと、2026年以降のクッキーレス環境でも判断を誤りにくくなります。
- 月次で重視したい指標
- 新規・既存別の売上構成とリピート率
- 顧客LTV(簡易でも可:6ヶ月・12ヶ月累計)
- チャネル別ROAS / CPO(1回目購入だけでなく、LTVベースも検討)
- 解約・離脱要因(レビュー、問い合わせ、返品理由の傾向)
GA4とShopifyレポートの見比べ方 数値の違いが出たときの確認ステップ
2026年時点で、GA4とShopifyの数値がずれたときは、まず「どの指標を、どの期間で、どの粒度で比べているか」を丁寧にそろえることが重要です。レポートを開いたら、日付範囲をまったく同じに合わせ、さらに「タイムゾーン」「通貨」が一致しているかも確認します。そのうえで、GA4では「イベントベース」、Shopifyでは「注文ベース」で計測される点を意識しながら、次のような観点で画面を見直します。
- セッション数 vs セッション別ユーザー数(GA4)と、オンラインストア訪問数(Shopify)を混同していないか
- 売上(Revenue)に送料・税金・割引が含まれているかどうかが、両者で揃っているか
- GA4のレポートがサンプリングや推定値になっていないか(行数が多い探索レポートなどで発生しやすい)
| 確認ポイント | GA4側の見る場所 | Shopify側の見る場所 |
|---|---|---|
| 日付・タイムゾーン | 管理画面 > 管理 > データ設定 | 設定 > ストアの詳細 > タイムゾーン |
| 売上の定義 | レポート > 収益関連指標の詳細 | 分析 > 売上レポートの内訳項目 |
| 注文発生タイミング | イベント「purchase」の発生日時 | 注文管理 > 注文作成日時 |
それでも差がある場合は、「どのデータが正しいか」ではなく、「なぜ違うのか」を切り分けることに集中します。具体的には、次のようなステップで原因を探します。
- チャネルの違い:GA4はオンライン広告やソーシャル流入を広く拾いますが、ShopifyはPOSやドラフト注文も含めることがあります。比較時は「オンラインストア」チャネルに絞ると差が見えやすくなります。
- フィルタ・除外設定:GA4で自社IPを除外しているのに、Shopify側ではスタッフのテスト購入が含まれている、などのパターンを確認します。
- データ反映のタイムラグ:GA4はレポート反映までラグが出ることがあり、Shopify側のリアルタイムな注文数と数時間〜1日単位で差が出ることがあります。
The Way Forward
まとめると、2026年以降のGA4とShopifyの活用では、「どの画面で、どのような行動が、どんな売上につながっているか」を、できるだけシンプルな指標で追い続けることが重要になります。
本記事で紹介したような、コンバージョン数・CVR・LTV・離脱ポイントなどの基本指標は、一度設定しておけば、日々の運営判断の「ものさし」として長く使えます。細かい数字を増やすよりも、「毎週・毎月、必ず見る指標を絞る」「数値の変化に気づき、原因を考える」ことの方が、結果的に売上改善につながりやすくなります。
また、GA4やShopifyの仕様は今後も変化していきます。すべてを完璧に理解しようとするのではなく、「自社のビジネスに関係が深い指標から少しずつ使いこなす」という姿勢で十分です。定期的にレポート画面を見直し、「今の自社にとって本当に必要な数字か」を点検しながら、運用を続けていきましょう。
GA4とShopifyのデータを「難しいもの」として遠ざけるのではなく、「お客様の行動を知るための道具」として、無理のない範囲で活用していくことが、2026年以降のEC運営においても安定した成長につながるはずです。

