2025年、Shopifyは「Shopifyパートナープログラム」の仕組みを大きく見直し、新しいティア(階層)モデルを導入します。これにより、Shopifyパートナーとの付き合い方や、依頼先を選ぶ際の基準が、これまでとは少し変わってくる可能性があります。
本記事では、日々の運営に注力しているストアオーナーや非エンジニアのご担当者の方にもわかりやすいように、技術的な専門用語をできるだけ避けつつ、この「新ティアモデル」で何が変わるのかを整理して解説します。
具体的には、
– 新ティアモデルの全体像
– 各ティアが意味する「パートナーの実力や実績」の見方
– ストア運営者にとってのメリット・注意点
– 既に取引しているパートナーとの関係にどのような影響があるか
といったポイントを中心に取り上げます。
今後の制作会社・フリーランスパートナー選びや、既存パートナーとの付き合い方を考えるうえでの「判断材料」として、ご活用いただければ幸いです。
目次
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2025年版Shopifyパートナープログラム全体像と主な変更点
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新ティアモデルの構造と各ティアで求められる条件
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収益分配と報酬体系の変更点と押さえておきたい注意事項
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既存パートナーへの影響と2025年までに行うべき準?
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ティアアップを目指すための実務的なステップと優先順位
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小規模事業者向けパートナー活用方法と選定のチェックポイント
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Shopifyパートナーとの継続的な協業体制を築くための運用ルールと評価指?
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Wrapping Up
2025年版Shopifyパートナープログラム全体像と主な変更点
2025年のアップデートでは、パートナー全体を「実績」と「専門性」で整理する新ティアモデルが導入され、従来より自社の立ち位置が把握しやすくなりました。特に、ストア構築や運用代行を主軸とする事業者にとっては、売上ボリュームだけでなく、
稼働中ストア数
や
継続サポート実績
も評価指標として重視されるようになっています。これにより、大規模案件に偏らず、月額運用や保守契約を中心にしたパートナーでも、安定的にティアを上げていける設計になっています。
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新ティア構造:
ベーシック層から上位層までを明確に区分し、要件と特典を整理
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評価指標の見直し:
紹介件数だけでなく、継続サポートや専門分野も評価
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サポート窓口の再編:
ティアに応じてサポートチャネルと応答スピードを差別化
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教育コンテンツの拡充:
非エンジニア向けに運用・提案ノウハウの教材を追加
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主なティア |
想定パートナー像 |
2025年の主な変更点 |
|---|---|---|
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スタンダード |
Shopify導入を年数件扱う制作・運用事業者 |
初期要件が緩和され、参加ハードルが低下 |
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プロフェッショナル |
継続運用やLTV改善を支援するコンサル型パートナー |
稼働ストア数と継続率が評価指標に追加 |
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プレミアム |
複数ブランドを横断して支援する上位パートナー |
専用サポート窓口と共同マーケティング枠が拡充 |
新ティアモデルの構造と各ティアで求められる条件
2025年の更新では、ティアはこれまでの「売上規模」だけでなく、パートナーとしての
総合的な関与度
で評価される構造に変わります。新モデルでは、ベースとなる「エッセンシャル」に加え、「グロース」「アドバンスド」の3階層が設定され、それぞれで必要な実績やサポート体制、専門性の水準が明確になっています。特に、単発のストア立ち上げ件数よりも、継続的な運用支援やマーチャント満足度が重視されるため、長期的な伴走型の支援を行うパートナーほど上位ティアに到達しやすい構造です。
各ティアの条件は、わかりやすく言えば「どれだけShopifyの成長に貢献したか」を示す指標の組み合わせです。数値条件としては、
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紹介したマーチャント数
(新規ストアの立ち上げ数)
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維持されているアクティブストア数
(一定期間以上、稼働し続けている店舗数)
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対象ストアの月次売上規模
(目安ベースでのGMVレンジ)
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パートナー教育コンテンツへの参加状況
(ウェビナー・認定プログラム受講など)
といった要素が組み合わされます。技術資格だけで判断されるわけではなく、非エンジニアの運用伴走やコンサルティング型の支援も評価対象に含まれるため、日々のショップ運営サポートの質が、そのままティアに反映されると考えてよいでしょう。
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ティア |
主な条件の目安 |
求められる役割 |
|---|---|---|
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エッセンシャル |
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テーマ導入やアプリ設定など、立ち上げ時の実務サポートを中心に対応 |
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グロース |
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CVR改善やキャンペーン設計など、売上成長に直結する運用提案を継続的に実施 |
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アドバンスド |
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複数ブランドの中長期戦略に関わり、越境ECやオムニチャネルなど高度な運用をリード |
収益分配と報酬体系の変更点と押さえておきたい注意事項
2025年の更新では、パートナーのティアに応じて
収益分配率
と
報酬の対象範囲
が見直されています。従来は新規ストアの紹介報酬が中心でしたが、今後はストアの継続利用やアプリ・テーマ導入など、より「長期的な関与」を評価する仕組みに近づきます。これにより、短期的な案件数よりも、既存マーチャントとの関係性やサポートの質をどう維持・強化するかが、収益に直接影響するようになります。
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ティア |
主な収益源 |
特徴 |
|---|---|---|
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スタンダード |
新規紹介手数料 |
単発案件中心 |
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グロース |
紹介+月次レベニューシェア |
継続運用に強み |
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プレミアム |
レベニューシェア+ボーナス |
高LTVストア重視 |
運用面で押さえておきたいのは、
報酬の条件とカウント方法
が細かく変わる点です。特に、以下のような部分は事前にチェックしておくと、想定外の減収を防ぎやすくなります。
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支払い対象となるプラン種別
:トライアル延長や割引プランが増えるため、どのタイミングから報酬対象になるかを確認する。
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非アクティブ扱いの基準
:売上ゼロの期間が続くとレベニューシェアが停止されるケースがあるため、休眠しそうなストアのフォロー計画を立てる。
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通貨・為替の扱い
:レポート表示通貨と実際の支払通貨が異なる場合、レート変動で想定額と差が出るため、月次での照合を行う。
また、報酬体系の変更に伴い、
自社の料金表や契約書の見直し
も必要になります。とくに「構築費+運用サポート費」を請求している場合、Shopifyからの収益分配をどこまでクライアント価格に織り込むかを整理しておかないと、ティアの昇格・降格によって利益率がぶれやすくなります。社内では次のような観点でルール化しておくと、担当者ごとの判断がばらつかず、長期的な収益管理がしやすくなります。
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Shopifyからの収益は「割引原資」として扱うのか、「社内利益」として確保するのか
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ティア変更時の価格調整タイミング
(年度更新時のみ変更する、契約更新ごとに反映する、など)
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報酬見込みの共有方法
:営業・運用チーム間で月次レポートを共有し、値付けや提案内容の基準をそろえる。
既存パートナーへの影響と2025年までに行うべき準?
今回の新プログラムは、既存のパートナーにも少なからず見直しを迫ります。とくに、これまで「テーマ制作だけ」「アプリ開発だけ」といった単一領域で活動してきた場合、評価指標や露出機会が、より
総合的なマーチャント価値
に紐づくように再設計されることで、案件の獲得経路が変わる可能性があります。一方で、既存クライアントとの関係性や運用ノウハウは重要な資産のままであり、それを起点に「運用支援」「改善提案」「データに基づく継続サポート」へとサービスを拡張することで、新しいティアでも安定したポジションを築きやすくなります。
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単発構築から継続運用サポート型
へのサービス転換
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売上だけでなく
リピート率やCVR改善
といった指標も意識した提案
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アプリ選定・設定代行などの
「つなぎ役」サービス
の明確化
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自社サイト・SNSでの
提供メニューの整理と再発信
2025年までに取り組むべきことは、あくまで「大掛かりな技術投資」よりも、現実的な構造改革と情報整理です。例えば、以下のようなロードマップを簡単に作成しておくと、チームメンバーや外部パートナーとの共通認識づくりに役立ちます。
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期間 |
主なフォーカス |
具体的なアクション |
|---|---|---|
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〜2024年Q4 |
現状把握 |
提供メニュー・売上構成・担当者スキルを棚卸し |
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2025年Q1 |
サービス再設計 |
運用支援プランの設計、料金と成果指標の整理 |
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2025年Q2〜 |
実行と改善 |
既存顧客へ新プランを提案し、事例を蓄積 |
最後に、情報面で取り残されないことも重要です。英語情報だけに頼らず、日本語でフォローしているパートナー向けコミュニティやメディアを把握し、
四半期ごとに仕様変更・プログラム変更を確認
する習慣をつけておくと、クライアントへの説明や提案もスムーズになります。すべてを一度に変える必要はなく、既存の強みをベースにしながら、2025年までに少しずつ「運用寄りの専門家」としての立ち位置を固めていくことが、長期的に見て最もリスクの低い対応策になります。
ティアアップを目指すための実務的なステップと優先順位
ティアアップを現実的な目標にするためには、まず現在の自社の「稼げる領域」と「伸ばしやすい指標」を明確にします。ダッシュボード上の実績を眺めるだけでなく、
どのサービスが収益と紹介実績に最も貢献しているか
を分解して確認しましょう。たとえば、テーマ構築よりも定期運用サポートが強みなら、そこにリソースを集中させたほうがティア条件を達成しやすくなります。同時に、チームでKPIを共有し、毎月どの数値をどこまで伸ばせば次のティアに近づくのかを、シンプルなシートやレポートで可視化しておくと運用しやすくなります。
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短期(〜3か月):
既存クライアントへのアップセル・クロスセルを計画
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中期(〜6か月):
Shopify案件比率を高めるためのサービスメニュー整理
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長期(〜12か月):
パートナー実績を活用した事例公開・セミナー開催
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優先度 |
アクション |
目的 |
|---|---|---|
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高 |
既存案件のLTV向上 |
短期間で売上指標を底上げ |
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中 |
Shopify特化の提案資料を作成 |
商談成約率の改善 |
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低 |
将来ティアに合わせた採用計画 |
長期的な供給体制の整備 |
次に、日々の運用レベルに落とし込んだルーチンを設計します。特別なツールを増やさなくても、
週次・月次でやることを固定化するだけで達成度は大きく変わります
。たとえば、週に一度はShopifyパートナーダッシュボードの数値を確認し、見込み案件リストと照らし合わせて「今月あと何件・いくら必要か」を確認する時間を確保します。加えて、
案件の入り口から出口までのフローを整理し、Shopify利用を前提とした提案を標準化
することで、ティア条件に直結する案件数と売上を安定的に積み上げやすくなります。
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週1回:ダッシュボードの数値確認と見込み案件の更新
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月1回:どのサービスがティア実績に貢献しているかの振り返り
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四半期ごと:ティア条件と自社目標のギャップ分析と軌道修正
小規模事業者向けパートナー活用方法と選定のチェックポイント
小規模な運営体制では、「すべてを自分でやる」発想から一歩離れ、パートナーをタスク単位で組み合わせていく方が、結果的にコストを抑えやすくなります。たとえば、テーマ改修だけをスポットで依頼し、マーケティングは月数時間の伴走支援に絞るなど、役割を明確に分けるイメージです。特に2025年の新ティアモデルでは、ティアごとに得意領域が可視化されるため、自社の「今足りない部分」だけを補う形でパートナーを活用しやすくなっています。
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予算の上限と期間
:月額いくらまで・何カ月続けるかを先に決める
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任せたい業務範囲
:制作・運用・広告などをざっくりカテゴリー分けする
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求める成果イメージ
:売上・作業削減・CVR改善など、何を優先するかを一つに絞る
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コミュニケーション頻度
:チャット中心か、定例MTGが必要かを明確にする
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チェック項目 |
確認ポイント |
注意したいサイン |
|---|---|---|
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新ティアランク |
Shopify公式でティアと実績分野を確認 |
ティアや認定バッジの更新が止まっている |
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小規模案件の経験 |
月商数十万〜数百万規模の事例があるか |
大規模案件ばかりで、予算感が合わない |
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運用目線の提案 |
自走しやすい設定・運用フローを提案してくれるか |
制作物納品のみで、その後の運用に触れない |
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コミュニケーション |
返信スピードと説明のわかりやすさ |
専門用語が多く、判断材料が伝わりにくい |
Shopifyパートナーとの継続的な協業体制を築くための運用ルールと評価指?
長期的に成果を出すには、パートナーとの関係性を「一度きりの外注」ではなく、共通のKPIに基づく共同運営と捉えることが重要です。運用ルールは、
誰が・いつ・何を・どのツールで
行うかを明文化し、パートナーと共有します。たとえば、週次の在庫状況レビュー、月次のキャンペーン振り返り、四半期ごとの戦略ミーティングといったリズムをあらかじめ決めておくと、意思決定が属人化しにくくなります。また、コミュニケーションチャネル(メール、Slack、プロジェクト管理ツールなど)も固定し、問い合わせから回答までの目安時間も合意しておきます。
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運用タスクの整理:
日次・週次・月次で必要な作業と担当者を明確にする
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権限と責任範囲:
テーマ編集やアプリ導入の「最終承認者」を決める
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変更履歴管理:
設定変更や施策実行時は、理由と日時を必ず記録する
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指標カテゴリ |
具体的な評価指標 |
確認頻度 |
|---|---|---|
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売上・集客 |
CVR / 平均注文額 / 直帰率 |
月次 |
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運用品質 |
バグ対応時間 / 公開ミス件数 |
四半期 |
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協業プロセス |
提案数 / 施策実行率 / レポートの分かりやすさ |
月次〜四半期 |
評価指標は「数字」と「コミュニケーション」の両面から設計します。売上やコンバージョン率だけでなく、
改善提案の頻度
や
レポートの理解しやすさ
といった定性的な項目も含めると、パートナーの貢献度がより正確に見えてきます。評価は一方通行ではなく、パートナーからも「社内の意思決定スピード」「素材提供のしやすさ」などについてフィードバックをもらう場を設けると、双方の改善が進みます。
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定例レビューの実施:
事前に共有されたレポートをもとに、成果と課題を短時間で確認
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合意済みKPIの見直し:
シーズンや施策に応じて、KPIの重み付けを柔軟に調整
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契約更新時の材料:
評価指標の推移を、パートナー選定・報酬見直しの根拠にする
最後に、パートナーとの関係性を継続的に高めるためには、
「何を期待しているか」を定期的に言語化する
ことが欠かせません。たとえば、「今期は新規獲得よりもリピート強化を重視したい」「短期の売上よりも、ブランド体験の改善に比重を置きたい」といった方針を共有し、それに沿った運用ルールと評価基準に微調整していきます。これにより、パートナーは自社の優先順位を理解しやすくなり、担当者が変わっても一貫した方針で並走してもらえる体制を維持しやすくなります。
Wrapping Up
まとめると、2025年のShopifyパートナープログラムの新ティアモデルは、パートナーの実績や役割をより明確に評価し、長期的な協業を前提とした仕組みに再設計されたものと言えます。
日々のストア運営に直結する変更ではないものの、「どのパートナーに、何を相談するべきか」を判断する際の一つの指標として、ティアや認定区分を把握しておくことは有益です。
今後、詳細な条件や運用ルールが追加・更新される可能性もあります。
shopify公式のアナウンスや、現在取引のあるパートナーからの情報提供をこまめに確認しつつ、自社の課題に合った支援体制を検討していくことが重要です。
この記事が、新ティアモデルの全体像を整理し、自社とパートナーとの関係性を見直す際の参考になれば幸いです。

