オンラインストアの運営において、「テーマ」はショップの第一印象を決める重要な要素です。デザインだけでなく、ページの読み込み速度や購入までのスムーズさ、日々の更新のしやすさにも直結するため、どのようなテーマの仕組みを選ぶかは、運営担当者にとって大きなポイントになります。
本記事で取り上げる「Horizon Framework」は、Shopifyの新しいテーマ開発コンセプトにもとづいた、次世代のテーマシステムです。従来のテーマと比べて、拡張性や保守性、コンテンツ更新の柔軟さが高められており、デザイナーや開発者だけでなく、日々ショップを運営する担当者にとっても、扱いやすさを意識して設計されています。
とはいえ、「フレームワーク」や「コンポーネント」といった言葉を聞くと、専門的で難しい印象を持つ方も多いかもしれません。本ガイドでは、技術的な細部に踏み込みすぎることなく、非エンジニアのショップ運営者の方にも理解しやすい形で、Horizon Frameworkの全体像を整理します。
・Horizon Frameworkで何が変わるのか
・従来のテーマとの違い
・日々の運用や更新がどう楽になるのか
・導入や移行を検討する際に確認しておきたいポイント
といった観点から、順を追って解説していきます。Horizon Frameworkの特徴を把握することで、自社ストアにとって本当に必要な機能や運用体制を、より具体的にイメージできるはずです。
目次
- Horizon Frameworkとは何かと既存テーマとの違い
- Horizon Framework導入で変わる日々のストア運営フロー
- テーマ設定とセクション構成の考え方とおすすめ初期設定
- デザイン調整を効率化するためのプリセット活用と管理方法
- アプリ連携と拡張機能を見据えたテーマ設計のポイント
- パフォーマンスと表示速度を意識した運用上の注意点
- 運営チームでの役割分担とワークフロー構築の実践例
- 移行前後のチェックリストとトラブルを防ぐための確認事項
- Closing Remarks
Horizon Frameworkとは何かと既存テーマとの違い
Horizon Frameworkは、従来のShopifyテーマのように「1つの完成品テーマ」を購入してから設定するのではなく、あらかじめ整理されたコンポーネントやレイアウトパターンを組み合わせて、自社向けのテーマを柔軟に組み立てていく考え方に基づいています。コードにほとんど触れずに、運用担当者が扱いやすい形で「ブランド一貫性」と「更新のしやすさ」を両立できるよう設計されており、テスト用のテンプレート切り替えや、キャンペーン用のページ構成の再利用も前提にしています。
既存テーマとのいちばん大きな違いは、「ページごとの設定」ではなく「仕組みごとの設計」に重心がある点です。たとえば、トップページや商品ページに共通して使えるブロックやセクションが体系化されており、同じブロックを再利用してもデザインが崩れにくい構造になっています。また、運用担当者向けに次のような特徴があります。
- 更新作業の標準化: 各ページで同じルール・同じ用語で編集できる
- ブランド表現の統一: 色やタイポグラフィを一元管理し、全ページに反映
- 検証・改善のしやすさ: コンポーネント単位でABテストや改善がしやすい
| 項目 | 一般的なテーマ | Horizon Framework |
|---|---|---|
| 運用イメージ | 出来上がったテーマを微調整 | 部品を組み合わせて構成を設計 |
| デザイン変更 | ページごとに個別対応 | 共通設定から全体に反映 |
| キャンペーン対応 | 都度ページを新規作成 | 既存パターンを再利用して構築 |
| 非エンジニアの負担 | ページごとの調整が膨らみやすい | あらかじめ決めたルールに沿って更新 |
Horizon Framework導入で変わる日々のストア運営フロー
Horizon Frameworkを本格的に運用に乗せると、まず変わるのは「どこで、何を触るか」という日々の作業ポイントです。テーマコードではなく、事前に設計されたコンポーネントやプリセットを選び、組み合わせていく形になるため、更新作業は「編集」から「選択と調整」が中心になります。たとえば新商品の特集ページを作る場合でも、あらかじめ用意されたレイアウトを呼び出し、テキストと画像を差し替えるだけで公開できるため、制作の手順が安定し、担当者が変わっても同じクオリティを保ちやすくなります。
- デザイン変更:色・フォント・ボタン形状などをテーマ設定で一括管理
- コンテンツ更新:バナーやセクションをコンポーネント単位で差し替え
- キャンペーン対応:既存レイアウトを複製し、最小限の編集で展開
- 確認フロー:プレビュー環境で複数パターンを比較してから公開
運営フローを整理すると、作業の「属人化」が減り、誰が更新しても同じステップを踏めるようになります。下記のように、従来型テーマと比べた日々の作業イメージは大きく変わります。
| 項目 | 従来テーマ | Horizon利用時 |
|---|---|---|
| バナー差し替え | 都度デザイン制作+レイアウト調整 | 既存ブロックに画像とテキストを入力 |
| 季節特集ページ | 新規テンプレートを一から作成 | プリセットを複製して内容のみ変更 |
| テスト公開 | 別テーマで下書き、切替時に調整が発生 | 同一テーマ内のバリエーションで比較 |
| 担当者引き継ぎ | 操作ノウハウが個人に依存 | ルール化された構成と命名で共有しやすい |
日々の運用では、更新リクエストを受けてから公開するまでの流れも組み替えやすくなります。たとえば、マーケティング担当がコンテンツ案をまとめ、運用担当がHorizonのコンポーネントに落とし込み、最後に責任者がプレビューで確認して公開、といった役割分担がしやすくなります。これにより、「誰がどこまでやるか」を明確にした運営ルールを作りやすくなり、リリース遅延や更新ミスを減らすことができます。結果として、ストア全体の更新サイクルが一定のリズムで回るようになり、キャンペーンや施策の計画も立てやすくなります。
テーマ設定とセクション構成の考え方とおすすめ初期設定
まず押さえておきたいのは、「何を売るのか」よりも「どう見せたいのか」を先に決めることです。Horizon Frameworkでは、テーマ全体を貫く軸として、ブランドの印象を決めるビジュアルの一貫性と、訪問者が迷わない導線のわかりやすさをテーマ設定で先に固めておくと、後の修正が最小限で済みます。たとえば、色・タイポグラフィ・余白・ボタン形状といった「共通パーツ」を最初に決め、それを前提にトップページや商品ページのセクションを組み立てていくと、ページ追加のたびにデザインが崩れるリスクを抑えられます。
- ブランドカラー:アクセントは1色、補助色は1〜2色に絞る
- フォント:見出し用と本文用の2種類を基本に統一
- ボタンスタイル:角の丸み・影の有無・ホバー時の色を全ページ共通に
- 余白ルール:セクション間は「広め」、要素間は「中程度」に固定
次に、ページごとのセクション構成は「何を最初に見せたいか」から逆算します。特にトップページでは、上から順に認知 → 信頼 → 商品理解 → 行動の流れを作ると、非技術者でも編集しやすくなります。Horizon Frameworkでは、よく使うセクションをあらかじめ並べておき、不要なものだけ非表示にする運用が扱いやすいです。以下のような初期構成を作っておき、ショップの成長に合わせて微調整する方法がおすすめです。
| 表示順 | セクション | 主な目的 |
|---|---|---|
| 1 | ヒーローバナー | 一言で「何の店か」を伝える |
| 2 | おすすめ商品 | 迷わせず代表商品を見せる |
| 3 | ブランドストーリー | 信頼と共感を補強する |
| 4 | レビュー・実績 | 購入の不安を下げる |
| 5 | FAQ / お問い合わせ導線 | 最後の迷いを解消する |
初期設定では、「いきなり細かく作り込みすぎない」ことも大切です。まずは上記のような骨組みを、全ページでおおよそそろえることを優先し、細部はデータを見ながら調整していきます。具体的には、最初の段階では次のような設定にとどめておき、実際のアクセス状況や売上の動きを見ながら、セクションの順番入れ替えや削除を行うと運用負荷を抑えられます。
- トップページ:基本セクションをすべて仮配置し、テキストと画像は最低限で公開
- 商品ページ:商品説明の下にレビューと関連商品だけを配置し、セクション数を絞る
- コレクションページ:フィルターと並び替えのみ先に設定し、装飾的なセクションは後から追加
- 共通フッター:メニュー構成を固定し、追ってコンテンツを差し替える方針にする
デザイン調整を効率化するためのプリセット活用と管理方法
Horizon Frameworkでは、色・タイポグラフィ・セクションレイアウトなどを「プリセット」として保存しておくことで、ストア全体のデザイン調整を短時間で行えます。たとえばキャンペーン用のカラーセットや、ギフトシーズン向けのフォント組み合わせをプリセット化しておけば、テーマエディタ上で切り替えるだけでページの印象をまとめて変更できます。重要なのは、日常的に使うパターンだけを厳選してプリセット化し、「どの場面で使うか」が一目でわかる名称をつけておくことです。
- 命名ルール:[用途] - [ページタイプ] - [季節] など、後から見ても迷わない形式
- 利用頻度の整理:週1回以上使うスタイルだけをプリセットに登録し、残りは一時的なカスタムで対応
- 誤適用の防止:ブランドカラーを変更するプリセットには「グローバル変更」と明記しておく
| プリセット名 | 想定シーン | 運用ポイント |
|---|---|---|
| Brand Base / 通常営業 | 日常の全ページ共通デザイン | 最初に必ずこの状態を保存しておく |
| Sale Focus / トップ | セール期間のトップページ強調 | バナー色とボタン色のみ変更し、可読性を維持 |
| Gift Season / 一覧 | ギフト特集用コレクションページ | 季節の終了日をメモに残し、戻し忘れを防ぐ |
また、プリセットを増やしすぎないことも運用上のポイントです。月に一度、不要になったプリセットを整理し、似た内容のものは統合します。チームで運用している場合は、簡単なルールをドキュメント化し、更新履歴を共有ツールに残しておくと、誰がどのタイミングでどのプリセットを編集したのかが把握しやすくなります。最終的には、次のような観点で定期チェックを行うと管理が安定します。
- 重複チェック:見た目がほぼ同じプリセットがないかを確認
- 動作確認:主要デバイス(PC・スマホ)で切り替え後の崩れがないかを確認
- 権限管理:プリセットの作成・編集を担当者に限定し、誤編集を防止
アプリ連携と拡張機能を見据えたテーマ設計のポイント
アプリとの連携を前提にテーマを設計する際に意識したいのは、「あとからアプリを差し替えても、ストアの見え方と運用フローを極力変えない」ことです。Horizon Frameworkでは、バナーやレビュー、レコメンドなど、アプリが表示する要素をあらかじめ想定し、表示位置・余白・見出しスタイルをテーマ側で標準化しておくと、異なるアプリへ切り替えても見た目のブレが抑えられます。具体的には、アプリ用の専用セクションやブロックを用意しておき、そこに「このエリアはアプリが入る」という共通ルールをつくるイメージです。
また、拡張機能を見据えるうえで重要なのが、「今すぐ使う機能」と「将来使うかもしれない機能」を分けて考えることです。テーマの編集画面で混乱を生まないように、将来用にとっておきたいエリアは非表示状態でプリセットしておくと運用がスムーズになります。例えば、以下のような考え方であらかじめ枠だけ用意しておくと、後からアプリを入れる際のレイアウト調整がほとんど不要です。
- レビューアプリ用エリア:商品ページの「説明文の下」に固定レイアウトとして確保
- レコメンドアプリ用エリア:カート下部や記事下部に配置できる共通セクション
- チャット・サポート用エリア:フッター付近に簡易案内ブロックを事前に用意
| エリア | 想定アプリ | テーマ側で決めておくこと |
|---|---|---|
| 商品ページ中段 | レビュー・UGC | 見出し文言と余白の基準 |
| カート直下 | アップセル | PC/SPでの表示/非表示ルール |
| フッター上 | チャット・FAQ | 背景色とテキスト長さの目安 |
パフォーマンスと表示速度を意識した運用上の注意点
Horizon Frameworkは柔軟性が高い一方で、設定やアプリの追加によっては表示速度に影響が出やすくなります。とくに、トップページやコレクションページはアクセス数が多いため、読み込みに時間がかかる構成は避けたいところです。実務上は「装飾を増やす前に、必ず速度への影響を確認する」という習慣が重要です。日々の運用では、テーマ変更よりも「セクションの追加・アプリの導入・画像の差し替え」が速度低下の原因になりやすい点を意識しておくと、トラブルを未然に防ぎやすくなります。
- 画像サイズとフォーマットの最適化:ヒーローバナーやスライドは、PCとスマホで適切なサイズに圧縮し、必要以上に大きな画像をアップしないようにします。
- セクション数のコントロール:折りたたみ機能やスライダーを活用して情報を整理し、スクロール量とコンテンツ量のバランスを取ります。
- アプリ依存の最小化:バナーやレビュー表示など、テーマ機能で代替できる部分はHorizon側で対応し、外部アプリの読み込みスクリプトを減らします。
- フォントとアイコンの絞り込み:日本語Webフォントの多用やアイコンフォントの重複読み込みは避け、ブランドに必要な最小限に抑えます。
| 運用アクション | 推奨頻度 | ポイント |
|---|---|---|
| 速度スコアの確認(PageSpeedなど) | 月1回 | 大きく下がったタイミングをメモ |
| トップページ構成の見直し | シーズンごと | 最上部のセクション数を抑える |
| 利用アプリ一覧の棚卸し | 四半期ごと | 未使用ウィジェットを停止・削除 |
運営チームでの役割分担とワークフロー構築の実践例
Horizon Frameworkをチームで運用する際は、まず「誰がどこまで責任を持つか」を明確にすることが重要です。たとえば、テーマ構成を管理するフレームワーク管理担当、商品ページやコレクションページの更新を行うコンテンツ編集担当、売上データに基づき改善点を洗い出す分析・改善担当といった形で分けると、作業の抜け漏れを防げます。特に非エンジニアの運営チームでは、専門用語ではなく、日常業務ベースで役割を定義することがポイントです。例えば「テンプレートの構成をさわる人」「バナーやテキストをさわる人」「数字を見て変更リクエストを出す人」というように、わかりやすい呼び方に統一しておくと、引き継ぎもスムーズになります。
具体的なワークフローを整える際は、「どのタイミングで、誰が、どの画面で作業するか」をあらかじめ決めておきます。以下のようなステップで進めると、Horizon Frameworkの変更が日常業務に組み込みやすくなります。
- 週次での改善テーマ決定:分析・改善担当がレポートをもとに改善ポイントを簡潔に整理
- 変更方針の共有:フレームワーク管理担当が、「どのページを、どのセクションで、どう変えるか」をドキュメント化
- コンテンツ編集:コンテンツ編集担当がコピーや画像を用意し、テーマエディタ上で仮反映
- プレビュー確認:運営チーム全員でプレビューURLを確認し、チェックリストに沿って承認
- 公開と振り返り:公開後1~2週間の数値を比較し、次回サイクルの改善材料にする
| 担当 | 主なツール | Horizonでの具体的な作業 |
|---|---|---|
| フレームワーク管理 | テーマエディタ 設定ドキュメント |
レイアウト構成の決定、セクションの有効・無効化 |
| コンテンツ編集 | 画像管理ツール コピー用スプレッドシート |
テキスト・画像差し替え、バナー文言の更新 |
| 分析・改善 | Shopify分析 外部レポートツール |
CVR変化の確認、改善提案と優先度付け |
移行前後のチェックリストとトラブルを防ぐための確認事項
テーマの切り替えは「公開ボタンを押す前」と「公開した直後」で見るべきポイントが変わります。まずは移行前に、現在のテーマで使っている機能やアプリ、スクリプトなどを書き出しておきましょう。特に、売上に直結する部分は優先度を上げて確認します。
- 必須ページ(トップ・商品・コレクション・カート・チェックアウトへの導線)
- アプリ連携(レビュー、アップセル、サブスク、翻訳などの表示位置と動作)
- トラッキング類(Shopifyのコンバージョン設定、Meta・googleタグ、その他ピクセル系)
- デザイン要素(ロゴ、ブランドカラー、ボタン文言、フォントの再現度)
- 法務関連(特商法表記、プライバシーポリシー、利用規約、返金ポリシー表示)
| タイミング | チェック箇所 | 目的 |
|---|---|---|
| 公開前 | テスト注文 | 決済〜サンクスページの動作確認 |
| 公開直後 | アクセス解析 | トラッキングの計測漏れ防止 |
| 1〜3日後 | カート離脱率 | 導線の不具合や文言の影響確認 |
公開後にトラブルを防ぐためには、「実際のユーザーの動き」に沿った確認が重要です。PCとスマホの両方で、トップページから商品閲覧、カート投入、クーポン適用、会員登録、チェックアウトまで、スタッフが自分で一連の操作を行うようにします。また、以下のようなポイントを短時間で見直すチェックとして運用すると、抜け漏れを減らせます。
- リンク切れや404ページがないか(メニュー、フッター、バナーリンク)
- 送料・税金の表示が想定どおりか(カート・チェックアウト両方)
- 在庫表示や「残りわずか」などの表現が正しく反映されているか
- メール通知(注文確認メールなど)のデザイン崩れや差出人名のズレがないか
- ページ表示速度が極端に遅くなっていないか(画像サイズやアプリ読み込みを含む)
Closing Remarks
本記事では、Horizon Frameworkの基本的な考え方から、テーマ構造、ブロック・セクションの柔軟な活用方法、運用面でのポイントまでを整理してご紹介しました。
Horizon Frameworkは、開発者向けの高度な仕組みでありながら、ストア運営者にとっても「更新・管理しやすいテーマ」を実現するための土台となる存在です。特に、ページごとのレイアウト調整やコンテンツ差し替えを行う場面では、そのメリットを実感しやすいはずです。
今後テーマのリプレイスや新規ストア構築、デザインリニューアルを検討される際には、
「Horizon Frameworkに対応しているか」
「運営者側でどこまで柔軟に編集できるか」
といった観点を踏まえてテーマやパートナーを選ぶことで、日々の更新作業がスムーズになり、中長期的な運営コストの削減にもつながります。
まずは、現在お使いのテーマの構造や編集画面を見直しながら、本記事の内容と照らし合わせて「どこを改善できそうか」「どの部分にHorizon Framework的な考え方を取り入れられそうか」を確認してみてください。
Horizon Frameworkの理解が深まるほど、テーマ運用の選択肢も広がっていくはずです。

